読者のご質問に答えて21. ICRPはNPO・・・ICRPを隠れ蓑にして右往左往しない(12/2 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

(文字起こしをお手伝いして下さった方からの投稿です。danielle(ダニエル)様、ありがとうございました)


読者のご質問に答えて21. ICRPはNPO・・・ICRPを隠れ蓑にして右往左往しない(12/29)

--------ここからブログ記事--------


ICRPはNPOで特に責任を持っている機関ではない。それを隠しに隠し、あたかも日本政府の上にICRPがあるようなことを政府、安全委員会、専門家が言い続けてきて、今でも私が講演でICRPは任意団体だというとビックリされる方が多い。


任意団体だからいい加減ということではないが、日本には法律(11ミリ、1平方メートルあたり4万ベクレルなど)があり、日本人としてはまず法律を言い、その次にこれまでの経過(「医学的には判らないという合意」)を言い、さらに日本の医療は放射線を使いすぎているという指摘が従来からあることを言うのが適切だ。



判らないこと(低線量における健康への影響)をあたかも判っているようなことを言い、法律で定められた11ミリとか、1平方メートルあたり4万ベクレル以上の場合、東電にかたづける義務があることを言わずに、「危険を煽る」とか「風評だ」とか言うのは犯罪である。



--------ここから音声内容--------



えーと、ま、簡単に言えば日本政府が悪いんですけどね。もちろんね、安全委員会も専門家も悪いんですが、
皆ですねICRPがNPOで別に責任を持っている機関ではないということも、十分に知っているんですね。
それを隠して、あたかも何かICRPが決めれば、日本国民はそれに従わなきゃなんないっていうようなね、そういうトリックを掛けて、責任を要するにICRPに転嫁して、そして20ミリでもいいとか、100ミリでもいいとか、
そういうことをいったわけですね。で、今更ICRPはいい加減だなんていうことになってきたわけですけども、それはもう被曝した人、取り返せませんからね。


酷いもんですよ、ほんと。だけどICRPが任意団体だから、もちろんNPOですから任意団体なんですけど、だからといっていい加減というわけではないんですね。その決定とか国際的な話し合いに基づいて、まぁ日本の法律が1年1ミリとか1平方メートル当たり4万ベクレル以上になったら、東電がすぐ片付けに来なさいという法律があるわけですね。



だからまず順序としては法律を言って、それまでの経緯ですね、ICRPの具体的なことよりか、むしろ経緯ですね。例えば、医学的には判らないんだ、と。低線量率は。だからとりあえず1年1ミリにするんだ、と。ま、それでやってみると、どうも1年1ミリで良かった感じだな、と。5ミリ以上になると、ちょっと白血病が増えたりしてますからね。


そういうことを説明するのが、本当は専門家であり安全委員会なんですよ。安全委員会というのはね、東電側じゃないんですからね。反東電なんですから。安全委員会っていうものは元々日本にあるのはですね、反東電つまり反電力のような機関を作っとかなきゃ危ないっていうんですよ。ところがもう全部取り込まれてね。国民の方を騙す方になっちゃったわけですよ。今の安全委員会は全部一応辞職しなきゃいけないですよ、事故も起こったし、嘘もついてるし。


それで、まぁ一番問題なのはですね、判らないこと、つまり低線量率においては健康にどういう影響か判んないんですよ。判らないことを判ったようにいっちゃいけないんですよ。これは非常にもう重要ですね。


しかも、私がどう非難されたって全然気にしてないんですけど、私が1年1ミリとか言うとですね、「危険を煽る」とか「風評だ」とかっていうわけですね。これもう本当に悪質で犯罪ですよ、これは。えぇ、犯罪! 法律をそのまま説明した人を、危険を煽るという批判をするって、これは犯罪ですよ。はっきりとした。ほんとね。



ええとですね、それからもうちょっと付け足しときますと、
例えばICRPはですね、学術的機関なんで色々議論されてですね、その結果例えば1年10ミリということになったとしますね。この10ミリっていうのはですね、弱い人は入ってないのが普通なんですよ。ま、そういう場合もありますけどね。大体平均的なことを議論するわけですよ。


例えばどこの何万人がどういう被曝をして、このくらいガンが出たとか、知能障害が出たとかっていう整理をしますからね。その中には弱い人も強い人もいるんですね。そこで年齢だとかそういうのも考えて、一応1年が10ミリだと標準的なことが決まりますとね、そういう弱い人とか、生活スタイルの違う人とか、環境だとかを考えますとね、どんなに高くても1年10ミリから1ミリには落とさんといかんですよ。10分の1にはしなきゃいけないんですよ。そうしないとですね、中心値でやったら弱い人全部切り捨てになっちゃいますからね。そういうわけにいかないんですよね。



更に学問的な間違いもあります。例えば1年10ミリっていうことが決まったにしてもね、ICRPが、あぁ、このくらいだということが将来判ったにしても。また100年経つと変わったりするんですよ。例えば、昔は水を飲まずにスポーツするとかですね、日光浴が良いとかいってましたけど。この頃は、水を飲んでスポーツしなきゃなんない。日光浴はいけない。とこうに変わりますからね。ですから、その分も見とかなきゃなんない。何でかっていうと、医学が変わったから、その人が病気になっていいっていうわけじゃないんですよ。



それでまた10分の1ぐらいにしますとね、結局100分の1ぐらいになるんですね。ということは、ICRPが1年10ミリって決めたら、一応法律では1年0.1ミリになると、まぁこんな感じなんですね。ですからICRPの人も、それ考えなきゃいけないし、もちろん、日本政府とか安全委員会とか専門家はですね、「どうもICRPが20ミリまでいいってことは、0.2ミリから0.1ミリぐらいのところですね」と。「だけど、日本の法律はまだあるんですよ」と。とこういう風にですね、誠意を持って説明するってことですね。


今度のこと見てますとね、まぁ、色んな人がいましたね。
自分をかっこよく見せたいっていうんで「大丈夫だおじさん」になった人もいるし。大丈夫だおじさんはですね、「いや、そんなの大丈夫だよ」って言ってかっこつけてるわけですよ。そういうのは少年の心に時々あるんですね。例えば、「え、あそこ100キロの制限速度?いや別に俺は160キロで走ったって大丈夫だよ」とかね。
「俺なんか、しょっちゅう若い頃は酔っ払い運転してたよ」と。それはそうかもしれないんだけど、だからといって、酔っ払い運転していいっていうわけじゃないんですね。


だから若い心を持ってるってことは大変大切なんですけども、若い心はかっこよさを求めます。だけどそれはですね、人の健康を損なってはいけないですからね。
そこを、この際ちょっと考えて頂きたいなと思います。