2011現代環境論本編6. (挿入編)温暖化すると南極の氷は融けるか?(12/25) | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

(文字起こしをお手伝いして下さった方からの投稿です。danielle(ダニエル)様、ありがとうございました)


2011現代環境論本編6. (挿入編)温暖化すると南極の氷は融けるか?(12/25)


--------ここからブログ記事--------


良く「南極の気温が上がるので氷が融ける」と言いますが、氷は「気温が上がったらとける」のではなく、「0℃を超えたらとける」ということです。南極の気温はマイナス40℃ですから、5℃上がってもマイナス35℃です。また「周辺の問題」は先に考えることではなく、大きなことを整理した後の方が頭の整理はできやすいのです。


--------ここから音声内容--------


えーと、温暖化の話が非常に盛んに日本で行なわれて、新聞とかテレビでも毎日のように温暖化の事やってた時代がありましてね。その頃、「温暖化したら南極の氷が解ける」って言ってる人が多かったんですよ。
私ね、何か変なこと言ってるなぁと思ったわけですね。


氷って言うのは温度が上がったら解けるっていうもんじゃないんですよね。0℃を越したら解ける、ってそういうもんなんですね。



例えば、-40℃の所があって、そこが今日は-30℃になったって解けるわけじゃないわけですよ。当たり前の事ですよね。誰だって知ってるわけですよ。



ところが、-2℃ぐらいでそれが氷で0℃で解けるって事はあるわけですね、温度が上がって。その時だけに限られるわけですから。



南極で温度が上がると氷が解けるって皆が言ってんのを聞いて、ほんとにどういう風に思ってるんだろうなって思ったらですね、近くの人に聞いたら「暖かくなるから解けるんじゃないですか」と、こういう風に答えられるんですよ。まぁびっくりしましたね。というのは、これは専門家が言ったからだと思うんですね。

原子力発電所の事故の時も、専門家が言うとやっぱり信用しちゃうんですよ。専門家は嘘言っちゃいけないですね。「専門家は判んなかったん違うか?」…そんなことありません。普通の人も知ってる事ですからね。専門家がこんな事、間違える事ありません。



南極は-40℃なんですよ。ですからこれが5℃上がって-35℃になっても氷は解けないんですよ、原則として。
先ずはですね、大きく考えなきゃいけませんね。端(はじ)はどうなんだなんて後で考えるべきですから。

それから海はですね、少し暖かくなりますから、そこから蒸発する水がですね、まぁ雪となって降るわけですので、「南極が少し暖かくなったらどうなるんですか?」と聞かれたらば「氷が増える方向ですね」とこういう風に答えてたんですよ。



これを私、やしきたかじんの番組に5年位前に出た時ですね、辛坊さんっていう人が「温暖化したら南極の氷はどうなるんですか?」と。

「いや、増えますよ」と言ったら、辛坊さんもスタジオも「えーっ!?」って言ってるんですよ。
「じゃ、海水面は?」

「そりゃ、下がるでしょうね」

また「えーっ!?」って言ってるんですね。
「えーっ!?」って言われた僕の方が「えーっ!?」と驚いちゃったわけですね。
というのは、今言ったように当然の事ですね。


それから半年くらい経って、私がややテレビに出かかった頃なんですが、テレビの画面にいつも“武田説”って出てくるんですよ。「南極は温暖化すると氷が増える “武田説”」とこう出てくるんですね。「独自の理論」と書いてですね。

ところがその頃、IPCCっていう地球温暖化の政府間パネルってのありまして、それを日本の人は全部学んでるという事になってたんですよ。そこにはですね、5年間でたった25ページの薄い報告書が出るんですね。それは各国首脳が読む為に書かれるやつですから、厚くないんですよ。



よく私にですね「IPCCの報告書って、そんな厚いの読めないよ」って言うけど、それは違うんですね。そこに3行ではっきり書いてあるんですよ。「南極は余りに冷たいので、気温が少し上がっても変わらない」と。「かえって海の水が暖まって雪が増えるので、氷が増える」と。このように書いてあるんですね。


それをね、環境省が逆に訳したんですよ。恐ろしいことにね、環境省っていうのはね、自分たちの天下り先が出来れば、環境の事なんかどうでもいいんですからね。
ま、役所ってもしかしたら、全部そうなのかもしれませんが。環境省だけが悪いんじゃなくて、全部の役所が悪いんだって言う風に言えないことも無いんですけどね。平気で嘘をつく人達なんですね。



一番最後の「温暖化したら結局のところ“氷が増える”」と書いてあるところ、“氷が減る”と反対に訳したんですよ。恐ろしいことですね。で、反対に訳したことを長々と言い訳した後、私を攻撃してくるんですよ。



いや、あなた、そんな人を攻撃できるの?と。「増える」と書いてあるのを「減る」と訳してね。もちろん専門家で判ってるんですよ。判って故意にやったんですよ。これね、そういう風に言いますと、役人はそんなことない。って。



いや、あのね、日本の中央政府の役人はそんなね、「増える」を「減る」と訳すような、英語が出来ない人達じゃありません。しかも、非常に重要な政策に関わる事ですからね。そういう事なんです。



えーと、まぁ周辺の問題とかですね、それからいろんな問題があります。それはですね、また別の機会に少しお話しようと思いますが、ここであんまり話したくないのは、実はですね、「南極の氷はどうなんだ」  「グリーンランドの氷はどうなんだ」  「アルプスの氷はどうなんだ」って事は、一つ一つ非常に細かい考えを整理しなきゃいけないんですね。



ただ、私がここで「挿入編」としてはっきり言いたいのは、環境を考えるときに、やっぱり知識で考えなきゃいけない。科学の問題ですからね。地球温暖化というのは全然精神的な問題じゃありませんので、先ず科学で考えるって事と、我々が学校で学んだような科学はやっぱり使わなきゃいけないって事ですよね。



ま、そういう事ですので、それを先ず、きちっと言っておきたい。それから、IPCCに書いてあるものをですね、環境省が故意に誤訳するっていうのはね、やっぱりこれは大きな犯罪ですよ。詐欺ですね。それで環境税を取るとかね、やってるわけですから。



ですからこれは明らかな詐欺なんで、科学的な衣を着た詐欺ですからね。これは警察が必ず動いて、誰が誤訳をしたのか?っていうんで逮捕しないとね、これはやっぱダメだと思いますよ。自由な学者でしたら権限も何も無いですからね、まぁ、間違って誤訳したって別に「あの学者は頭悪いな」で済みますけども、役所はですね、それに基づいて税金を使いますからね、それから強制力を働かせますから。これはやっぱりもう少し厳しくやって欲しいですね。



イタリアで今度、地震予知に失敗した学者が今起訴されて裁判してますけど、それはちょっと可哀相かなと思いますけどね。ま、それもやり方酷かったから、まぁいいかなと思いますが。



この環境省の事件はね、これはね、やっぱり犯罪の匂いがしますね。私たち国民はそれの被害を受けました。