息子は統合失調症 -26ページ目
午前中面会に行くと開口一番
今日、退院する。
そうか、そう決めたのか。
いったい何が一番ツライ?
ひと言ひと言 考えながら
聞こえるか聞こえないかの声で
ボソボソと話す。
病院のペースについていけない。
自分の動作が遅いから足手まとい。
ベッドでボーッとしてると、
自分に対する舌打ちが聞こえる。
トイレを我慢してるから、
足が臭い。
だから、同室の人に迷惑かけてる。
話は昨日と同じ。
幻聴も相変わらず聞こえている。
それでも、退院したい息子。
午後、先生に相談しましょう。
そう看護師さんに言われ、
私は午後出直すことに。
午後の面会。
入院してはじめてのお風呂。
月曜と木曜がお風呂の日。
お風呂は熱くて入れなかったけど
シャワーを浴びて、
ちょっとすっきりした息子。
もう少し頑張ってみようかな…
おや、すっきりしたら
考えもすっきりしたかな。
相変わらず便秘。
それもすっきりしたら楽になる?
午後は、はにかんだ笑顔を見た。
しかし、いくら待っても
先生には会えず、帰宅。
さて、明日の息子はいかに?
どうすることがいいのか迷う。
どう言葉をかけたらいいのか迷う。
午後、面会へ。
いつものように病室から出てきた。
まずはいつもの私の一方的な話。
ところが今日は違った。
「退院したい」とつぶやいた。
入院生活がツライ。
家で一人でいた方がよかった。
たとえ良くならなくても、
家でツライ思いをする方がいい。
良くなると思って入院したけど、
何も変わらない。
幻聴は聞こえる。
ツライだけ。
なぜ、何がツライの?
同室の人に迷惑をかけている。
どんな?
自分の臭い。
え?臭いってこと?
そう。
他にもあるの?
食べるのに時間がかかる。
食べ方が汚い。
足手まといに違いない。
そんなことないよ。
これはいつものこと。
入院していなくても感じてしまう。
自分を否定することばかり。
途中、担当の看護師さんも同席。
息子の話をじっくり聞いて
答えてくれた。
臭いも食べ方も、
何も気になることはないよ。
3日間頑張ったんだね。
自分の気持ちを話せるって
いいことだよ。
すべて肯定的に寄り添ってくれた。
明日、先生にも相談してみようね。
任意の入院だから、
いつだって退院できるよ。
そう安心させてくれた。
自分の気持ちを吐き出して、
息子は少しスッキリしたようだった。
まだ、4日目。
これから何かが変わるかもしれない。
変わるはず!
そう期待している。
ここで諦めたら…という親の思い。
でも、ツライんだよね。
どこまで我慢をさせるべきなのか?
ツライ選択。
眠れなかったという息子。
看護師さんに聞いてみる。
確かにしばらくは眠れなかったよう。
でも、2時以降は寝ていたらしい。
本人の中では、その意識がないだけとか。
テレビ番組表の雑誌を持って行った。
ここで一緒に見て、
持ち帰るならいいと許可を得た。
大好きなアイドルの特集。
それでも笑顔はなかった。
それよりも横になりたい?
うなづく。
ほんの10分の面会。
今日も雨。
まずは区役所。
限度額適用認定証をもらいに行った。
入院が長期化するということだろう。
世帯の収入によって限度額が決まる。
病院の面会時間は、午前10時~12時と
午後1時半~4時半までの2回。
午前中の面会。
病棟にたどり着くまでのミッション。
①面会票に記入
②病棟のインターホンで面会を知らせる
③看護士が下りてきて、エレベーター作動
④病棟の階に着、除菌スプレー噴射
⑤渡す物と面会者の持ち物チェック
ようやく病棟に入り、息子が呼ばれる。
病室に入れないので、スペースでの面会。
眠れなかったという息子
疲れた目をしていた。
私の目をしっかり見てはいるが暗い表情。
朝食で牛乳を飲んで気持ち悪くなったと。
そうか、苦手だった。
これから検査という息子に同伴。
レントゲン、脳波、心電図。
はじめての脳波検査。
30分くらいだったろうか。
目を開けたり閉じたり、
部屋が暗くなったり、
フラッシュが点滅したり、
深呼吸したり…
そんな指示の中、脳波が記録されていた。
私は一度帰宅。
午後また面会。
目つきは相変わらず。
病院に入っても幻聴は聞こえている。
そんな中、少しだけ、
ほんの少しだけ笑顔になった。
これが見たかった。
でも、話は弾まない。
「横になりたい」と言われ帰る。
ずっと消えない幻聴との戦い。
「早く死ね」
3月の首吊り未遂
4月の飛び降り未遂
それでも入院せずに
家で見守ってきた。
でも、やはりまた首を吊ろうとした。
どれも死ねるほどの紐でもなく、
本当に飛び降りたわけでもなく、
成功するはずのないもの。
とはいえ、万が一成功してしまったら
取り返しはつかない。
ずっと入院を迷っていた息子、
今回は入院を納得した。
土砂降りの雨の日、入院。

