イラスト&ショートストーリー製作工場 -82ページ目

「なな、こっち向いて」

カテゴリのタイトルにもなっているのですが、

ウチで一緒に暮らしているトイプーの なな は、

写真を撮られるのが嫌いです。


日刊というわりには、ほぼ週刊「キミに伝えたいこと。」キャンペーン中!



記念写真を撮ろうとすると、そっぽ向いてしまう。


だから旅行先では、そのたびに

「なな、こっち向いて」

と、僕は言っています。



そこで、写真嫌いな なな を(3コマ目で)

カメラに顔を向かせるのは、どれだと思います?


中には、見た途端に逃げ出すものもあります・・・
















(答え)


かろうじて「おやつ」です。


おやつによっては無視するものもあります。

これからの季節ならバニラアイスクリームなら、

鼻をヒクヒクして前を向いてくれます。

逃げ出そうとするのは言うまでもありませんよね




「ダヤン風に、なな(トイプー)を描いてみたら」

池田あきこさんの著書「ダヤンのパステル教室」


本の中で教えられた方法で、なな(トイプー)を描いてみました。



すると、こんな感じに・・・



日刊というわりには、ほぼ週刊「キミに伝えたいこと。」キャンペーン中!

池田あきこさんのダヤンは猫ですが、犬もありかな


なんて。


なんだか、物語を始めたくなりました。

「つくづくな恋の見分け方」

「あなたは、つくづくな恋をご存知なくて?」


そう言って、初対面のご老人は目を細めた。

和服姿のおばあちゃんである。


初夏を思わせる日差しのためなのか

それともその恋を思い浮かべてなのか、

彼女はとても眩しげに目を細めた。


通りに面した午後のカフェテラスで

偶然に隣り合わせになったおばあちゃん。

このご老人、僕の使っていたiPadにいたく興味を持ったらしく、

隣の席から首を伸ばして使い方を聞いてきたのだった。


僕もとりたててアップするほどの記事もなかったので、

iPadを彼女の手元に置き、

「やれやれな恋の相談」の文章を見せながら、

簡単な操作の説明をした。


彼女は人差し指一本で、米軍が好みそうなピンポイントなキー操作で、

画面をスライドさせたり、文字を画面いっぱいに拡大させたりした。


僕がジョブズのプレゼン同様に、ご高齢の彼女に対して、

効果的に機能を伝えられたのかどうかは別にして、
一様に彼女は納得すると

「愛はいくら拡大させても変わらないわね」と言った。


それはそれは、人間の業とも言える恋があるのよ。

と彼女は微笑んだ。


私はそうした恋を『つくづくな恋』と呼んでみたらいいと思うの。

あなたの恋の話に付け加えられるかしら。

彼女は丸の内のオフィスビルの谷間に見える空を見ながら、

そんな風に、ため息を付いた。


つくづくな恋に幸せな結末はない。

だからつくづくなの。

ひとを好きになって恋が成就することが結婚なら、

決して成就することのない、たとえば不倫のような愛のかたち。

つくづくな恋は、捨て身で、いつも受け身。

先が見えず、絶えず不安が伴うもの。

それでも、一週間に一度くらいは手のひらにのるほどの

ほんの小さな幸せがあるの。

後から思えば、それが刺激的で、

その幸せがいとおしくてたまらないのね。

どう?

そんなつくづくな恋をあなたはしたことがあって?


「いいえ」

と僕は答えた。


「それは幸いだわ」

彼女は年相応に、とてもチャーミングに微笑んだ。


つくづくな恋も、恋は恋。

あら、歌の文句みたいね。

初恋のように甘くせつない恋もあるけれど、

辛くせつない恋もあるの。


彼女はひとり言のようにそう呟くと、僕にiPadを返した。

「ありがとう」

彼女はそう言うと、軽く目頭を押さえた。

「年を取ると、何をするにも不便なものね・・・」


僕はその後に続く言葉を待っていたが、結局、彼女は何も言わなかった。


冷めた紅茶を口にすると「お邪魔しました」と頭を下げて、

彼女は席を立ってしまった。


僕は会釈を返すと、しばらく彼女が見ていたであろうビルの谷間の

ちっぽけな空を眺めていた。



日刊というわりには、ほぼ週刊「キミに伝えたいこと。」キャンペーン中!


そしてノートパッドを開き、

僕はこう書き出したのだった。


『つくづくな恋をしたひとは、恋の結末を話さないものだ』と・・・