私がオカリナで吹く曲は、かつて親しんだ曲、人に教えてもらった曲、たまたま小耳に挟んで気に入って探し求めた曲などだ。かつて親しんだ唱歌やフォークソング、流行歌は、吹いているとその当時がよみがえって懐かしさを覚える。こんな曲はどうかと人に教えられた曲は、私にとっては新たな出会いだ。半世紀以上も前に、器楽練習で覚えた「ペルシャの市場にて」は、今でもそのリズムを忘れない。
最近ではあいみょんの「裸の心」だ。歌手の名も曲も初耳だった。練習して徐々に吹けるようになると、体がリズムを覚えて忘れない。また、たまたま小耳に挟んで気になった曲は、玉石混交だ。初めは気に入ったけれども、何度も聴いているうちに興味が薄れるものと、逆に、何回も聴くうちにその曲にはまっていくものとがある。
印象深い始まり方
この「ガブリエルのオーボエ」曲を初めて聴いたときは、メリハリのない、影の薄い印象だった。だが、曲の出だしの、4/4拍子としては調子を合わせにくい、あたかも水中からバブルが浮かんでは消えていくような、不規則なリズムが何度も繰り返されるこの曲を聴くうちに、次第にその旋律に魅了された。
調べてみると映画音楽の巨匠と言われるエンリオ・モリコーネが、「ミッション」(1986年)という映画のために作曲した曲とわかった。なるほど映画用の曲だから、本来の映像の方への集中力を乱さないように、控えめで、静かな曲だったのだ。
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