ユダヤ人は追われる中で団結した
以前から不思議に思ってきたことがいくつかある。その一つがユダヤ人は、なぜお金持ちやノーベル賞など名高い業績を残す人が多いのか、なぜ他民族から嫌われるのかという疑問だった。このところユダヤ教や聖書の歴史本を何冊か読んで、自分なりにようやく納得できる要因が見つかった思いだ。
ユダヤ人の祖先は、紀元前10世紀頃は今のパレスチナ辺りに住んでいた砂漠の遊牧民らしい。今のイラクからエジプトにかけての中東地域は、海に囲まれた日本民族の置かれた環境とはかなり違い、古来、強い民族が他を制圧支配する、異質な世界だった。で、エジプトに流れ、そこをまた追われ、バビロン(イラク)方面に流れというように、1000年単位で各地を転々とした。
やがてイスラエル王国を作ったものの、西暦70年頃にローマ軍に滅ぼされ、再び地中海周辺諸地域、遠くはモロッコやスペインなどに逃れた。なぜ逃れねばならなかったかというと、被支配民族は、迫害や奴隷化という過酷な状況があった。
土地所有が認められなかった
以来、中世になり地中海貿易が盛んになると、北アフリカから欧州各地に散らばった、土地を所有できないので農業に従事できないユダヤ人に、許された数少ない仕事は、商業や金融だった。特に地中海貿易は、各地のユダヤ人の信用あるネットワークがうまく生かせた。諸都市の支配層にとって、貿易で次第に財力を付けたユダヤ人は、急用の資金を用立てしてくれたり、多額の税金を納めてくれる有用な存在になった。
次第に支配層から重宝され、官吏に迎い入れられたりして力を蓄える立場になっていった。また、経済的に豊かになれば、子弟教育にも有利となった。一方で、富裕な商人となったユダヤ人は、一般市民から妬まれる存在にもなった。うん、ようやくストーリーが見えてきた。続きはまたの機会に。