久しぶりの遠出に心躍る
名古屋から車で3時間ほどの越前勝山にある平泉寺と大野城を巡ってきた。私にとっては久しぶりの遠出であり、雨となるのが一番心配だったが、それも杞憂に帰し、当日は朝から申し分のない好天となった。これまで名前も場所も知らないところだったので、行く前から小学生の遠足のように気持ちかワクワクした。
現地は黄金色に実った小麦畑や、穏やかに光る田植え後の水田、緑の小高い山々に囲まれた勝山盆地が静かに横たわっていた。平日のせいか観光客の姿はまばらで静寂だった。平泉寺境内に満ちるヒノキの香りが、心地良かった。百年以上にわたり地元の氏子らの手塩が掛けられた苔は、実に清楚に輝いていた。周囲に漂うフィトンの香りが日々の心の滓を洗い流してくれた。
平泉寺は、717年に泰澄が、白山に登ろうとして開いた由緒あるお寺だそうだ。中世には寺の周囲は多くの宿坊が建つ霊場だったと聞いたが、今はその面影もなく山里にひっそりとたたずむ山寺の雰囲気だ。歴史をずっしりと沁み込ませたこの平泉寺一帯の環境は、いつまでも残ってほしいものだ。手のかかった苔寺への入場料が無料だというのは、地元の人の心遣いを感じてとてもぜいたくなことだ。また、境内入口の「まつや」で食したお昼の越前そばが、とてもおいしかった。
天空の城から領地を見下ろす殿様の気分
平泉寺を参観した後、1576年に築城されたという、標高250mの大野城を訪れた。やや汗ばむ山道を20分ほどかけて上がった山頂に天守閣はあった。息を切らしてたどり着いた山頂を吹き抜ける初夏の風が涼しかった。ここは、あの雲海に浮かぶ「天空の城」として有名だ。雲海を想像しながら眼下の越前大野の整然とした街並みを眺めていると、その美しさを自慢げに愛でる殿様になった気分がした。
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