第8回神宮24時間チャレンジ | Born to Run

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人類は走るために進化してきたらしい。

今年下半期での一番の挑戦と見据えていた24時間チャレンジが終了した。
一ヶ月前から20~30km程のジョギングを1km辺り6分を切らないペースで繰り返すことに終始してどこまでも行けるペースを自分の体に覚えこませる。目標のペースは1km辺り6分40秒、維持できれば200km走っても1時間30分程の余裕が生まれる。
給水、給食、トイレなどの時間を考えるとそう多い余裕とは言えないがペースを上げても維持できるとは思えなかった。

◆スタート前

スタート受付で最終チェックを受けてゼッケンと記録チップを貰って準備、数人の知り合いと挨拶を交わし開会式で有力選手が紹介される。周りの人を見渡しても相当走りこんでいる身体をした人ばかり。紹介された有力選手は現役の24時間走日本代表選手達と100kmウルトラの実力者達。
日本代表選手の選考も兼ねているとあってレベルの高さが伺われた。

日本代表選手の一人、本田さんから「これからスタートして24時間後、皆でまたここに立っていましょう。苦楽を共にして家族になるんです。」という熱いお言葉を頂いた。

川の道でもお世話になった藤原さんから「絶対に序盤から飛ばしちゃダメだよ」と助言を頂く。
飛ばせるスピードなど持ち合わせていないので勿論付いて行く気など無かった。

◆スタート~中盤

縦に並んでスタートをする、私は後ろのほうからのんびりとスタート。
LSDのようなペースで刻んでいこうとするが一周を8分台の予定より少しだけ速いペースになっている、速いランナーに抜かされるたびに見事な走りを見られるのが嬉しかった。

3時間ほど経つとスローペースと単調な周回がいけなかったのか、まだ14時だというのに眠くなってくる、周回のタイムも9分台後半になってしまって明らかにスローダウンしてしまったので、カフェイン入りのジェル(クリフショット ダブルエスプレッソ)を飲んで頭を覚醒させた。しばらく走ると効果が現れてまたペースが上げられるようになってくる。

75周(約100km)通過が10時間20分程、想定ペースより少々速いがペースを落とすと眠くなるのでキロ6分ほどを維持しつつ4周する毎に一回エイドにより小休止を挟む。

今回の私のペースグラフがこんな感じ。


◆中盤~ゴール

11時間経過した後、足の痛さも手伝ってペースが落ちる→ゆっくりで眠くなる→更にペースが・・・という悪循環の負のスパイラルに囚われそうになったので一度荷物置き場に戻って胃腸薬、カフェイン薬と栄養剤(ガスター10、エスタロンモカ、VESPA PRO)を一気に飲む。

眠気も少し回復したところでトロトロ走るが痛みが収まることはなくて14時間経過した辺りでこのままのペースでは200km達成が不可能なことに気がつく。足の痛みから走り続ける時間が減り、2周に1回エイドに寄って休んでしまっていた。
エイドで休むと飲み物や食べ物を摂ることになるので体が重くなり、トイレに行く必要も増える。2周だと3kmに満たない距離なので本来は補給の必要など無いし、消耗もしないはずだった。

痛さに負けてしまう自分が情けなかったが仕方なくロキソニン服用を決断する、いつも通りなら1時間後には効果が現れて痛みが緩和され、その効果は3時間ほど続く。効果が切れた後ひどい痛みが襲ってくるが、200km達成するために出来ることはしようと思っていた。

気合を入れなおして1時間に6周目指して走る、エイドによるのも4周に一回のペースに戻した。薬を飲んでも効果がすぐに現れるわけではないが効いているはずだと信じて一周するペースを9分台になるように調整して走った。

100マイル(約160km)はいつの間にか超えて夜明けが近づいてくる、野球練習場の早朝練習は朝の4時から始まっているようで、球児たちの練習の音が聞こえ出した。12時間走と6時間走の選手が走行を終える中ペースを維持する。緩和されているはずの足の痛みは酷いが、川の道で経験したことに比べれば大したことではない。身体が動いているうちは痛みは緩和されて止まると激痛になるのでエイドでの補給も短めにした。

朝が近づいてくるにつれて応援してくれる人が増える、全ての人に毎回受け答えをして元気を貰った。痛みのあまり嗚咽が出ることが多くなり呼吸が苦しくなることも増えたがペースは落とさないで22時間経過、歩いても200km達成が確実になったところで長めにエイドで休憩して走る。

早く経って欲しいと思っていた苦しい残り時間も後1時間ちょっととなると名残惜しくなってくる、道中やトイレで居合わせたランナーとの会話を思い出し、追い越すランナーと言葉を交わしながら走った。

トップグループの方々は序盤ほどではないが後半も素晴らしい走りで私をパスしていく、一方序盤は素晴らしい走りだった方が苦しそうに止まっている姿や、過呼吸の様になって歩いていたり、吐きそうにしている様子など私とは別次元だと思っていた方々も皆苦しんでいた。

最後に寄ったトイレで開会式の時に代表挨拶された本田さんと居合わせて少々話した「すごい走りでした、お疲れ様です。」私が言うと「ここで走ってる人は全員すごいですよ、本当に全員すごかった。最後までがんばりましょう!」と熱い言葉をまたくれた。

ゴール前に来ると約束していた彼女も9時過ぎ頃には来てくれて写真を撮りながら応援してくれる。近づいて無事に200kmは超えられそうだと言うこととあと少し頑張ると伝えてノロノロ走った。

残り時間が30分を切ったあとのエイドで各自のゼッケンと同じプラスチック製の札を渡される、最終到達地点に札を置いて計測がされることになっていた。私のゼッケン「92」と書かれた黄色い札を受け取って最後の周回を重ねた。

ペースアップを心掛けたがあまりにも足が消耗しているため長続きしない、走路に居るスタッフの方にラスト3分を告げられてから全速力で走る。あと百メートルちょっとで156周というところで時間切れになった。

◆ゴール後

すぐ横で止まったランナーとお疲れ様を言い合い健闘を称える。私よりフルマラソン一本分多く走り上位入賞したその方も全てを出し尽くして座り込んで笑っていた。

周回に散らばっていたランナーたちがぞろぞろとスタート地点に戻って来て健闘を讃え合う。悔しい顔をしている方も多く見られたが真剣に取り組んだ証だと思った。

正確な計測が行われるために完走証の発行などに少々時間がかかる。その間に着替えを済ませて上位者の表彰式を兼ねた閉会式が行われた。女子は4位から男子は10位からが入賞。
1位の重見さんはNHKの取材で追いかけられている「村おこしウルトラランナー」、売木村(うるぎむら)をウルトラランニングで盛り上げようと奮起されている方で見事優勝。

優勝だけではなく国内最高記録の269.225kmを樹立した。何度も追いぬかれたが終始軽快な走りでとても長距離走っているようには見えなくてフルマラソンの持ちタイムも2時間18分というスピードの持ち主。
素晴らしい記録が生まれて主催者の方も閉会式に参加した皆も興奮している様子だった。

いつものレースでは遠く離れて一緒に走ることが出来ないランナーたちとずっと一緒に24時間走って色々な事があった。周回は自分に向いているとは思えないけど是非次もこの素晴らしい大会に参加したい。



◆検証

事前に配られた資料から男性参加者の上位50位までの走行距離とフルマラソンの持ちタイムをグラフにしてみた。


200km以上走った人でサブスリーで無いのは私と後一人だけ、後一人のかたも3時間3分ということで私より大分速い。

24時間走にはイーブンペースで走る作戦と、序盤突っ込んで後半にかけて粘る作戦があるそうで、序盤トップランナーは100km通過も8時間切りトップグループの多くは8時間台前半で100km通過した模様。

103名の男子参加者のうちサブ3ランナーは65人ということらしく速そうな筋肉質の足をした人が多かった。改めてスピードの無さを感じたがイーブンペースで続ける面白さも分かった。短い距離の速さをもう少し付けて次は220kmを目指したい。