熱中症対策 アイスバス | おじさんのブログ

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1998年に米国にアスレチックトレーナーを目指して留学し、2017年に帰国。現在、東京の教育機関でアスレチックトレーナー(ATC)として自分が日本でどこまでできるかを検証するブログです。スポーツの安心安全を、周辺の医療を活かしてスポーツセーフティを目指しています。

こんにちは。最近の東京は微妙に肌寒い日が続いていましたが、夏模様が少し戻ってきている今日この頃です。皆様はいかがお過ごしでしょうか。

 

夏模様とは言え今のところ気温は温暖で、30度以上の日も数える程ぐらいのような気がしています。そんな中、配達に随分とかかったようですが、写真にあるバスタブが届きました。これは、熱中症対策のアイテムとして使用します。

 

テレビやネットニュースで、夏になると「熱中症で病院に搬送」という言葉を頻繁に見聞きしますが、この言葉だけでは少し足らないと自分は思います。厚労省や日本スポーツ協会なども謳っていますが、医学的には熱中症は「熱痙攣」「熱失神」「熱疲労」「熱射病」という病症に別れており、その総称を熱中症と呼ぶとなっています。また、その病症を軽度、中度、重度という度合いにも分けていますが、ここでは無視します。(ぶっちゃけこの言い回しはややこしいと個人的には思います。)

 

その中でも、熱射病は非常に危険です。日本スポーツ協会のお言葉を抜粋させて頂きますと、「過度に体温かが昇(40°C以上)して脳機能に異常をきたした状態です。体温調節も働かなくなります。種々の程度の意識障害がみられ、応答が鈍い、言動がおかしいといった状態から進行すると昏睡状態になります。高体温が持続すると脳だけでなく、肝臓、腎臓、肺、心臓などの多臓器障害を併発し、死亡率が高くなります。」とあり、「死の危険のある緊急事態であり、救命できるかどうかは、いかに早く体温を下げられるかにかかっています。救急車を要請し、速やかに冷却処置を開始します。」と掲載しておられます。

 

その速やかな冷却処置として、アイスバスが最も有効だとされています。状況を判断し、熱射病と判断すれば即座にこのアイテムが使えるように準備をしておきます。同時に救急車も呼ぶ必要もありますが、体を冷やさずに救急車を呼んだだけだと、死の危険度というのは上がるのではと察します。

 

よく他の施設で使われているのでは子供用のプールなどがありますが、当校の状況からしてこのアイテムが一番理想だと思ったので、2万ほどしましたが学校に購入して頂きました。水の温度に関しては10℃ー15℃に下げるのが効果的だと学んでおり、おおよそ30リットルの氷で11℃まで下げることができました。今の状況からしたらこれがベストです。

 

これでかなり安全度が増しました。ですが、一つ問題があります。先ほども言いましたが、熱射病は体温が40℃以上となっています。これは深部体温のことで、要するにお尻のとこから計らないと正確な体温は測れないということです。非接触型やデジタルでは正確性に誤差もあり、米国でもこの体温を測る部分では高校の現場ですと色々と議論が生じているようです。アイスバスは体温を39℃以下にするのが目的です。かといって冷やしすぎてもいけません。他の症状を見れば大方の予想はつくかと思いますが、この数字としての基準がわかるのとわからないの差はあるかと思います。米国にいた時、私のボスは「やらない」と明言していました。そしてここは日本です。もし深部体温を測るとなれば、ナースの方に準備をお願いすることになる感じでしょうか。とにかくはこのアイテムはAED的な存在で必要なものです。買ってもらって良かった。。

 

長々と話しましたが、まずはこれを使わずに済むのが一番です。米国では熱射病は100%予防可能と言われています。日本だと環境や状況は違うのでそのフレーズをそのまま持ち込むことはできないかもですが、それでも生徒をリードする我々大人がしっかりと意識し、熱射病を絶対に引き起こさないようにしなければなりません。