2015.11.22 維新案も政府案と同じく自衛隊員を守る法案ではない | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する人道復興支援活動等に関する法律案

第189国会 衆議院提出法案第二十六号

江田憲司議員(維新)外四名

 

この法案は、政府の提出した国際平和協力支援法案への維新の党による対案。

 

先ほどの維新案にあった自衛隊法等改正案と違って、この法案には反対したい。

 

政府提出法案を述べたときから主張したように、国際平和協力に関しての自衛隊員の地位保障が全くなっておらず、この維新案においてもそれは改正されていない。

 

目的は、「国際平和共同対処事態」に際し、人道復興支援活動又は協力支援活動等を行うことにより、国際社会の平和及び安全の確保に資することであり、基本原則は、人道復興支援活動・協力支援活動・捜索救助活動について、①適切かつ迅速な実施、②武力行使に当たらない活動をすること、③活動区域の限定、④内閣総理大臣の指揮監督、⑤関係行政機関の長による協力としている。

※ 「国際平和共同対処事態」…国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、国家の自主的な再建を図る国又はその国民を支援するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い、共同して対処する活動を行い、又はその脅威を除去するために国際社会が同条約第七章に従い共同して対処する活動を行い、かつ、我が国が国際社会の一員としてこれらに主体的かつ積極的に寄与する必要があるもの 

 

維新案では四つの歯止めとして以下のものを挙げている。

 

① 国連の授権決議がある場合のみ派遣を容認

 → いわゆる「関連決議」に基づく派遣は容認せず。

 ② 「非戦闘地域」概念を維持

 → 戦闘現場以外なら活動できるような仕組みとはしない。

 ③ 「武力行使の一体化」による制約は現行法制どおり維持

 → 武器弾薬の提供、戦闘発進準備中の航空機への給油等は禁止。

 ④ 個別の活動でなく計画そのものを国会承認の対象に

 → シビリアン・コントロールを強化。

また、旧イラク特措法のように、「非戦闘地域」における人道復興支援活動のために要員派遣を可能にする一般法を制定することとしている。

 

 多くの場合、ある紛争国の政府と反政府勢力の停戦監視、これを日本はPKO活動としてやってきた。この停戦監視中に紛争が起きたら自衛隊はどうしなければならないか。その際は撤退をしなければならないことになっている。

 

他国の軍隊や現地住民からしてみれば、そんなら最初から来るなということになる。それでは法改正して、撤退しないでそのままそこにいることができ、そのままその戦闘に参加したらどうなるか。この場合、憲法に違反しているかどうかは横に置く。本来、安倍首相は改憲してから、この平和安保法制をすればよいのであるが、それができないと判断してか、合憲であると主張して法案を出しているが、仮に改憲がうまくいき、この法案を出したとしても解決しない問題がある。

 

新しく改正された憲法の下で、この政府案ないし維新案が成立した状態で想定する。

 

住民が、軍隊によるPKF(国連平和維持活動)の際に目の前で殺される、殺され始めたらどうするかということについては、国連中ででもずっと議論されてきたが、この状態になると介入ということになり、国連は一方の側に立ち、戦闘の当事者になる。

 

国際人道法は、相対する交戦主体同士が、お互いを合法的な攻撃目標とし、人道的な戦争をする流儀を定めている。したがって、その一方だけが保護特権を持つということは概念上許されない。

 

よって、PKFがみずから武力行使をしたら、その保護特権は失われる、そして交戦相手と同等になるという考え方が国連では定着している。

 

ようは、戦争の中に入るということであり、これについて民主党は反対しているわけだ。しかしここでは、これは仮に合憲だとする。すなわち集団的自衛権は、日本は軍隊を持っていないけれども、自国の防衛のため許されるという決まりになっているとする。

 

そのとき、自衛隊員が任務遂行の中で誤って現地の人々を傷つけてしまったら、これは過失となる。非戦闘員、つまり住民を多く殺傷すれば、国際社会はそれを国際人道法違反とみなされる。

 

 PKOでは、国連が一括して地位協定を現地政府と結ぶことで、現地法からの訴追免除の特権を国連PKF部隊全体に付託する。PKF部隊が過失を起こした場合、国連には軍事法廷はないので、各国の軍法で裁くことになっている。PKF部隊が過失を起こした場合、日本はこの言いわけができない。軍法会議がないため、その当事国の検察、裁判所に自衛官を引き渡すこととなる。

 

その過失は日本の刑法、国外犯規定で裁かれる。日本人が海外で犯す過失は裁けないこととなっているからである。つまり、日本の場合は、自衛隊員個人が犯罪として責任を負う。

 

自衛隊員は、国防に命を懸けるために任務に当たっている。しかし、それを政府が全責任を負うのは当然ではないか。

 

しかしこの平和安保法制では、政府案にも維新案にもなんら触れられていないのである。

 

殺人者、犯罪者として国際的に取扱いがされてしまえば、自衛隊のみならず、日本国自体が、あの湾岸戦争の時に金しか出さずに国際的に無視されたとき以上に、非難されるだろう。

 

国際平和のためにという大義はいくらでもいえる。それならばそれで自衛隊員の法的保障を確実なものにしてこそ海外に出せるのではないか。

 

したがって他国に設置されている軍法会議に相当するものを作ってから、法律をもう一度見直すべし。

 

なお、この法案は維新の党の賛成少数により否決された。

反対は自民党、公明党、次世代の党。

退席は民主党・無所属クラブ、社民党・市民連合、生活の党と山本太郎となかまたち。