【自由編】武器がなくても紛争は起きるもの | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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世の中に必要なものは必要になります。
例え、今は笑われてもです。
限界が来るものについては、捨てなければ生きていけないからです。

 

の続きで、質疑・討論・採決となった一昨日の衆議院外務委員会。

 

グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約の締結について承認を求めるの件(213国会条1)

 

【質疑】

黄川田仁志[自由民主党]委員

日本はイギリスとイタリアとで次期戦闘機を共同開発することになった。これは日本の安全保障政策には大変有意義なことである。これにより日本国内の防衛産業や技術が培えることができ、自立の幅を広げることができる。ただし、日本がこの中で主導的な役割を果たせるかどうかが日本にとってGCAP(ジーキャップ)が成功したかどうかの1つの評価である。

 

かつて日本は、米国とF2戦闘機の共同開発では、米国に主導権を奪われ、日本は大きな譲歩を迫られた。

 

今回のGCAPの初代首席行政官は日本人であるが、開発主体である本部はイギリスに置かれる。製造工場はイタリアに置かれ、実際の組み立てもイタリアがなされるとの報道もある。共同企業体のトップはイタリア人で固定されているが、GIGO(ジャイゴ)の代表者は持ち回り制になっているとも報道されている。日本人が初代委員長にはなっているが、持ち回りでいずれ交代することになる。

 

ということは、本部や製造工場はイギリスとイタリアで固定されているのに、日本にはそういうものがない。このような機構の体制と人事で、日本は主導的役割を果たせるのか。

 

防衛装備庁の深沢長官は、我が国主導の開発が重要であるとの認識を述べ、生産の在り方については日英伊で協議中である。イタリアに製造工場が決まったという事実はなく、日本国内に製造工場を設置して主導するつもりであると言った。協業体制については三か国でバランスのとれた形にし、我が国が目指す戦闘機の主要な性能をすべて満たすこと、将来にわたって適時適切な回収の自由を確保すること、技術基盤を確保することを実現するとした。

 

 

 

金城泰邦[公明党]委員

2014年に自公政権が防衛装備移転三原則で合意したものでは、完成品の移転は、救難・輸送・警戒・監視・掃海の五分野に限定した。そこには戦闘機は対象外になっていた。公明党は戦闘機の移転は安全保障政策の大きな転換になるとした。そこでは第三国移転は個別案件ごとに閣議決定するように求めた。さらに戦闘機は、この条約で対象となっている次期戦闘機に限定すること。対象国は日本と防衛協力の関係にある15か国に限定すること。戦闘中の国は除外とする歯止めも実現できた。閣議決定には与党の了承が必要であるため、与党を通じた国民的議論ができることになる。次期戦闘機の第三国移転について、どのような歯止めがあるのかを質問した。

 

上川外相は、厳格なプロセスを経ることにより国連憲章を遵守でき、平和国家としての理念を堅持できると応えた。

 

技術移転を協定している国は、

●アメリカ

●イギリス

●オーストラリア

●インド 

●フィリピン 

●フランス 

●ドイツ 

●マレーシア 

●イタリア 

●インドネシア 

●ベトナム 

●タイ 

●スウェーデン 

●シンガポール 

●アラブ首長国連邦

の15か国である。G7の中ではカナダだけが入っていない。

昨年の11月には中国軍機が南シナ海でカナダ軍ヘリにフレア弾を放出したことがある。

 

中国軍機、南シナ海でカナダ軍ヘリにフレア弾放出 カナダ海軍発表 CNN EXCLUSIVE

 

また、中国はカナダの選挙に執拗に介入しているとの報道もある。

 

中国がカナダの選挙に執拗に介入、情報機関が警告

 

しかし、カナダはアメリカと同盟国であり、ほぼ一体となっているので協定を結ばないのだろうか。

 

ところで公明党は、この次期戦闘機の第三国移転に関して反対していたのであるが、今ではおそるおそる容認の立場だ。

 

 

次期戦闘機の輸出解禁 なぜ公明党は容認方向へとかじを切ったのか:朝日新聞デジタル

 

公明党はよく「平和の政党だ」と言われることがあるが、本当にそうなのかは疑問である。この「平和の政党だ」というのは、旧・公明党ではずっと野党だったのでそうだった。しかし、新進党として合流した際には、小沢一郎幹事長・党首が進めていく軍事強硬路線にはなんらの異議も唱えておらず、細川・羽田内閣時代も当時はタカ派であった小沢主導に従っていたのである。

 

新進党解党後には新党平和を名乗り、参議院の黎明クラブや公明とともに再び公明党を名乗るわけだが、その後は小渕恵三内閣で与党入りする。その頃の政権はまだハト派だったために公明党の役割は目立つことはなかった。沖縄での名護ヘリ基地建設で騒がれた頃は、公明党は基地建設反対の立場をとっており、自自公政権となることによって態度を変えた。

 

その後は、連立与党内で時折、自民党の国防政策に反対することはあっても、時間をかけて説得されている。

 

自社さ政権時代には、社会党と新党さきがけは自民党への抑止力となっていたが、自公政権での公明党はブレーキ的な役割は果たしておらず、憲法審査会においてもすでに改憲派の会派とされている。

 

松原仁[立憲民主党・無所属]委員

日英伊で共同開発をするということは軍事同盟的な意味がある。日米同盟とは別にインド太平洋地域の平和安定に貢献する同盟になる。なぜ今回ドイツ・フランス・アメリカは入っていないのかについて質問があった。防衛省官房審議官は、日米で当初は協議したが、性能・コスト・スケジュールの関係で調整がつかなかったとのこと。イギリスとイタリアと協定を結ぶことになったのはスケジュール上で三国とも2035年頃を予定していたことによる。米国でのプログラムとは合わず、単独開発でやりたいとのこと。ドイツ・フランス・スペインは2040年代としているために合わなかったとのことである。

 

松原委員は、日本はこれまで戦闘機については手を出してはいけないかのような暗黙のルールがあったが、これにより航空機技術の開発が進められるため、評価できるとした。

 

 

鈴木敦(日本維新の会・教育無償化を実現する会)委員

鈴木委員は維新所属ではなく、前原誠司代表の教育無償化を実現する会所属で、国民民主党からの離党者である。

条約が承認され、戦闘機の開発が終わって、その後どうしたらいいかということについての質疑だった。

 

次期戦闘機については第三国移転が必要であると上川外相は答弁した。

 

鈴木委員は、他国に輸出することによって、輸出した国との結びつきがより強固になると述べた。インドはロシアとぎこちない中でも関係を維持しているのは兵器でつながっているからであり、中国とロシアも同様である。アメリカも当然に同じような戦略で米国製の武器を世界に広げている。よって、このたびの次期戦闘機も日英伊でどのように使うか、使うというのは戦いに使うだけじゃない。これを用いてどれだけ結びつきを強化していくかということが重要であるとした。

 

 

質疑の後、討論が行われた。

 

【賛成討論】 鈴木庸介(立憲民主党)理事

立憲民主党は賛成の討論をした。コストを抑えるために共同開発が主流になってきており、GCAPを円滑に推進するため政府間機関を一元化して管理することは必要であるとした。第三国移転は民主党政権時代から認めたものであるが、ただし殺傷能力のあるものについては引き続き慎重に対処すべきとした。しかしこの条約は直接輸出であり、その合理性について納得できる説明はなされていないが、この機関の設立は必要である。今回設定された歯止めについても疑問を持っている。

 

という内容だが、中身を聴くと反対討論を聴いているようだが賛成討論としている。

 

【反対討論】 宮本徹(日本共産党)委員

憲法の平和国家としての立場を投げ捨て、日本を死の商人国家として堕落させるものだから条約に反対するとした。武器輸出三原則は歴代の政府が示してきた通りであり、1981年に国会で全会一致によって決議した国是である。インド太平洋地域の安定と称しているが、それは米国の対中戦略であり、世界の不安定をもたらすものである。日米共同開発の無人機・AIの予算についてもこの次期戦闘機の予算についても全く不明であり、大軍拡により国民は負担増で苦しんでいるのに押し付けるのは断じて容認できない。

 

【採決】

賛成多数により承認すべきものと決定した。

 

反対は共産党だけであった。本会議ではれいわ新選組も反対するものと思われる。

 

確かに、中国の味方に付く側と米国に味方に付く側が双方に分かれてお互いに武器輸出競争になったら大変なことになりそうである。しかし、他国に強制を求める中国と、自由を求める米国であったならば、自由を選ぶことがマシな策である。米国も他国に強制することはあるが、中国はそれに比べれば完全強制の国である。まずは政府からの自由を基盤に置くことが人間の基本である。

 

また、武器を持つことと武器を使用することとは違う。武器がなくなり平和になることも、武器があって平和になることも同じことである。

 

武器があったら必ず使うだろうか。使うことはあっても、必ず使うとは言えない。逆に、武器を全廃したらどうなるだろう。そうなったら、抑圧された環境の中では、手製の武器を作ってでも戦おうとするだろう。これまで武器を持たない民族がなんとか武器を作ったり買ったりして独立戦争や紛争を起こしてきている。

 

武器があるかないかではなくて、戦争が起きる根本問題を根絶することが大事だ。武器を持つか持たないかという、この手の論争は永遠に決着がつかない。決着のつかない論議をいくらしたところで平和は訪れないだろう。

 

根本問題は、富が偏在することから生じている。富が偏在するというのは、これまでの経済常識を変えれば可能である。