投資拡大のためには減価する貨幣を使え | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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放送大学教養学部(情報コース)1年生。国土交通モノの職業は海と空以外は制覇。運輸・不動産・土木建設業、国土交通副大臣秘書。武力治安系は暴対防止、保安警備業、消防団員、国家公安委員長秘書。自由な経済、公正な政治、ケアのある社会を作るための国政報告を勝手にやる。

4月23日 (火)の衆議院経済産業委員会は、

新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案(213国会閣23)

の引き続きの審査で、参考人質疑が行われた。参考人は以下の通り。

●滝澤美帆(学習院大学経済学部経済学科教授)

●吉野巌(マイクロ波化学株式会社代表取締役社長CEO)

●大橋弘(東京大学副学長・大学院経済学研究科教授)  

●中山英敬(中小企業家同友会全国協議会幹事長)

マクロ経済学の立場から、経営者の立場から、中小企業の立場から意見がなされた。

法案審査というよりも、やはり日本経済全体にわたっての議論が多い。

日本では投資が少なく、そして賃金が上がらないということをずっと抱えている。これを解消するための改正法案である。

 

法案の概要はまとめると二つの柱がある。

1. 戦略的国内投資の拡大に向けて、戦略分野への投資・生産に対する大規模・長期の税制措置及び研究開発拠点としての立地競争力を強化する税制措置を講じる。

2. 国内投資拡大に繋がるイノベーション及び新陳代謝の促進に向けて、我が国経済のけん引役である中堅企業・スタートアップへの集中支援等の措置を講じる。

 

「産業競争力強化法の見直し」 について②

 

によれば、現状、我が国のスタートアップ向けの民間投資額は、2022年時点で約66億ドルであるが、アメリカ1,984億ドル、中国466億ドル、ドイツ101億ドル等、海外諸国と比べても民間資金供給量が1桁少ない状況にあるという。

 

国内投資促進のための新たな生産比例型の投資減税「戦略分野国内生産促進税制」について

では、これまで初期投資にドカーンとして、あとは自力でやらせる方法であったが、生産段階でコストが大きいものは、初期投資を少なめにして、生産段階での投資を行うというものである。

 

 

国内投資促進については、第1に、米国等の税制措置も参考に、蓄電池、電気自動車、半導体など戦略分野の国内投資について、新たな減税制度を創設するなど、成長力の強化に資する減税の実施を図るとのこと。

 

法案の概要は以下の通り。

(1)産業競争力強化法の一部改正

①国際競争に対応して内外の市場を獲得すること等が特に求められる商品を定義し(電気自動車等、グリーンスチール、グリーンケミカル、持続可能な航空燃料(SAF)、半導体)、これを生産・販売する計画を主務大臣が認定した場合、戦略分野国内生産促進税制及びツーステップローン等の金融支援を措置します。

②新設する知的財産の活用状況等の調査規定を根拠とし、一定の知的財産を用いていることを確認できた場合は、イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)を措置します。

③常用従業員数2,000人以下の会社等(中小企業者除く)を「中堅企業者」、特に賃金水準が高く国内投資に積極的な中堅企業者を「特定中堅企業者」と定義し、特定中堅企業者等による成長を伴う事業再編の計画を主務大臣が認定した場合、中堅・中小グループ化税制、大規模・長期の金融支援(ツーステップローン)、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)による助成・助言等の措置を講じます。

④株式会社産業革新投資機構(JIC)が有価証券等の処分を行う期限を2050年3月末まで延長します(現在の期限は2034年3月末)。

⑤スタートアップがストックオプションを柔軟かつ機動的に発行できる仕組み(ストックオプション・プール)を特例的に可能とします。

⑥企業と大学等の共同研究開発に関する、標準化と知的財産を活用した市場創出の計画を主務大臣が認定した場合、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)や国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの助言を受けることを可能とするとともに、標準化の動向や知的財産の活用状況を調査する規定を整備します。

(2)投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部改正

投資事業有限責任組合(LPS)の取得及び保有が可能な資産への暗号資産の追加等を措置します。

(3)独立行政法人工業所有権情報・研修館法の一部改正

独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)の目的を改正し、業務として、中小企業者及び試験研究機関等に対する工業所有権の保護及び利用に関する助言及び助成等を追加します。

(4)国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部改正

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の業務として、ディープテック・スタートアップ(革新的な技術の事業化に取り組むスタートアップ)の事業開発活動への補助業務等を追加します。

 

 

ここでは、戦略的国内投資の拡大に限って見てみよう。

戦略的国内投資の拡大として、電気自動車等、グリーンスチール、グリーンケミカル、持続可能な航空燃料(SAF)、半導体)、これを生産・販売する計画を主務大臣が認定した場合、戦略分野国内生産促進税制(物資毎の生産・販売量に応じた税額控除)、EV40万円/台、グリーンスチール2万円/トン等の生産・販売量に応じた税額控除、日本政策金融公庫による大規模・長期の金融支援(ツーステップローン)を措置する。

 

中国製の電気自動車が出回りまくっている現在、国産のものを作ることには異論はないが、将来的に果たして本当に電気自動車が主流になるのだろうか。疑問である。

 

ツーステップローンというのは、経済安全保障推進法ですでになされている。供給確保計画の認定を受けた事業者は、内閣総理大臣及び財務大臣の指定を受けた指定金融機関から、株式会社日本政策金融公庫が提供する長期・低利の財政融資を原資とした融資等を受けられる。

 

 

 

次に、政府が事業活動における知的財産等の活用状況を調査できる規定を新設し、一定の知的財産を用いていることを確認できた場合にはイノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)を利用できる。

-対象知財:国内で自ら研究開発して生み出した、特許権及びAI関連ソフトウェアの著作権-対象所得:対象知財のライセンス所得及び譲渡所得

-30%の所得控除(法人実効税率ベースでは、29.74%を約20%相当まで引下げ)

 

投資の拡大をするためには、投資した者が利益を得なければならない。しかし投資した金額がそのまま帰ってきたり、増えたりしないこともある。

 

そこで、所有する貨幣は減価するものとなっていたならばどうだろう。投資して物品やサービスに替えたほうがよいということになる。投資された企業はどうなるだろう。どんどん生産をするためにお金を使うだろう。こうしてお金が回っていく。このようなシステムにしないと投資は回らない。

 

法案はこの翌日にも再び議員のみの審査中となり、明日には委員会で議決する見込み。