OPECを脱退したばかりのアンゴラとの投資協定 | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

放送大学教養学部(情報コース)1年生。国土交通モノの職業は海と空以外は制覇。運輸・不動産・土木建設業、国土交通副大臣秘書。武力治安系は暴対防止、保安警備業、消防団員、国家公安委員長秘書。自由な経済、公正な政治、ケアのある社会を作るための国政報告を勝手にやる。

カルテルというのは、生産者がいくつか集まって価格や生産量をみんなで同じように決める。

 

これは自由競争の観点からやってはいけないことで、日本国内では独占禁止法などによって固く禁じられているのだが、世界ではそういうものが通用しない。OPEC(石油輸出国機構)=Organization of the Petroleum Exporting Countriesがその典型だ。1973年のオイルショックもこの機構によるカルテルが原因であった。

 

OPECの構成国はイラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ、カタール、リビア、・アラブ首長国連邦(UAE)、アルジェリア、ナイジェリア、エクアドル、アンゴラの12カ国であったが、昨年12月にここから抜けると宣言し、本年1月に正式に脱退したのがアンゴラだった。

 

これに対して、米国と中国は好意的な姿勢を見せている。

 

とりわけ中国はアフリカ諸国にどんどんと投資して進出しており、アンゴラについては9割以上を石油・天然ガスに依存している国家であるから、今後の中国のエネルギー戦略にとっては重要な国だと思われている。アンゴラの対中債務は二位だという。中国はかなり貸し付けをアフリカ各国にしている。

 

 

中国への債務が莫大な上位5カ国

データがある97カ国のうち、2020年末の時点で対中債務が多かった国は、パキスタン(773億ドル、約10兆円)、アンゴラ(363億ドル)、エチオピア(79億ドル)、ケニア(74億ドル)、スリランカ(68億ドル)となっており、これらはすべて、中国のこの構想と関連がある国々だ。

 

一方、中国に対する債務が国民総所得(GNI)に占める割合が大きいのは、ジブチとアンゴラ。いずれの国もその比率が、40%を超えている。GNIは国内総生産(GDP)に近いが、居住者が国外で得た所得も含めた指標だ。

 

アンゴラが中国に石油を売り、そしていつの日か借金のかたに取られることも予想される。それがグローバルサウスの中国戦略であると思われる。いずれアンゴラは苦しむことが考えられ、これに対して日本は助ける必要も出てくるのではないか。したがって日本もここに投資協定を結ぶことは意義が大きい。

 

このアンゴラと我が国は、2010年4月から投資協定の交渉を開始したが2011年にいったん止まった。アンゴラ国内の審議で止まったというわけだが、これは中国との関係があるかもしれない。しかしやっと2023年8月に首都ルアンダで署名された。今国会で承認を求められている。

 

投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とアンゴラ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(213国会条3)

 

アンゴラ共和国の概要

■人口:3,558万人(2022年)■一人当たりGDP:2,999米ドル(2022年)■在留邦人:38人(2022年)■進出日系企業:9社(2023年)■進出分野:鉱業、卸売業、製造業等

■元首 : ジョアン・ロウレンソ大統領

 

アンゴラ共和国には豊富な鉱物資源とアフリカ屈指の産油量があるため、日系企業の関心も高い。日本もアンゴラに対して投資協定を結ぶということになった。

 

主な内容は、早期締結の必要性二国間の投資を促進し、投資家の権利を保護する法的な枠組みを定めることにある。

(1)投資財産の設立段階・設立後の内国民待遇・最恵国待遇

(2)投資財産に対する公正な待遇及び十分な保護・保障

(3)投資の阻害原因となり得る要求(輸出の制限等)の原則禁止

(4)正当な補償等を伴わない収用の禁止

(5)投資受入国・相手国投資家間の紛争解決手続

 

すでにアンゴラは、ドイツ、イタリア、アラブ首長国連邦等7か国との間で投資関連協定が発効済みである。

 

この日アンゴラ投資協定が発効されれば、日本は協定56本で81か国との投資協定が結ばれることとなる。