アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった! [ 山田正彦 ]
本日の衆議院外務委員会。
投資の促進及び保護に関する日本国政府とケニア共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とイスラエル国との間の協定の締結について承認を求めるの件
賛成=自民、民進、公明、維新、自由、社民
反対=共産
以上の二つの条約はケニア及びイスラエルに対する投資協定です。共産党が反対討論。理由は投資家の保護など、大企業の利益になり、財界の強い要請に答えるからであるとのこと。またISD条項が含まれており、自国の自治権を失うとのこと。なおかつイスラエルについては投資協定を結ぶことでイスラエルの入植地の拡大を認めることなるという理由も付されています。この協定は共産党以外の賛成多数により承認すべきものと決定。
以下の二つの条約については、討論なく採決し、スロバキアについては賛成多数で、チェコについては全会一致で承認すべきものと決定しました。
社会保障に関する日本国とスロバキア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件
社会保障に関する日本国とチェコ共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
賛成=自民、民進、公明、共産、維新、自由、社民
ところで投資協定にもISD条項があるということを本日知りました。
投資家対国家の紛争解決(とうしかたいこっかのふんそうかいけつ)とは、投資受入国の協定違反によって投資家[† 1]が受けた損害を、金銭等により賠償する手続を定めた条項である[1]。英語では Investor-State Dispute Settlement, ISDS と言われ、国際的な投資関連協定でこれを規定する条項は「ISDS条項」または「ISD条項」と呼ばれる。国内法を援用した締結済条約の不履行は慣習国際法(国家責任条文32条に反映[2])および条約法に関するウィーン条約27条で認められておらず[3][4]、適用法規は国際法であることが多いため[2]、国内法に基づいた司法的判断と異なる結果となる場合がある。
外務省は本年三月に、
「国家と投資家の間の紛争解決 (ISDS)手続の概要」
という資料を公表しています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000089854.pdf
投資家と国との間の紛争解決(ISDS)手続とは?
●投資関連協定(注)において規定される手続で,投資家と投資受入国との間で投資紛争が起きた場合,投資家が当該投資紛争を国際仲裁を通じて解決するもの。
●投資家は投資受入国との間で紛争が起こった場合,投資受入国の司法手続により解決す るか,又はISDS手続に付託するかを選択することができる。
●仲裁裁判所は,投資受入国の協定違反及び投資家の損害を認めた場合,損害賠償の支 払を命じる。(投資受入国の法令や政策の変更を命じることはできない。)
(注)投資関連協定とは,二国間又は多国間の投資協定及び投資章を含む経済連携協定(EPA)を指す。なお,我が国以外の 国では,EPAに相当する国際協定を自由貿易協定(FTA)と呼称するのが一般的。
なぜ国内の司法手続のみとしていないのか?
●投資家には,投資受入国との間で紛争が起こった場合,投資受入国の裁判所が投資受入国政府等に対して不当に有利な判断を下しはしないか,という中立性に対する不安がある。
●投資受入国の国内裁判所に加えて,国際仲裁において紛争を解決することができれば,中立的な紛争解決の場が用意され,判断を受けられるため,
①投資家およびその本国にとっては,投資活動を実効的に保護する手段を確保でき,投資家の投資が確実に保護されるという期待を高めることにより,外国からの投資が促され,
②投資受入国とっても経済発展につながる。
●また,投資受入国が投資紛争を投資家との間で直接処理することにより,手段を更に用意することで,投資紛争が外交問題化することを避けることができる。
今回のこの条約については、民進党は安易に賛成しているようですが、一考する必要がありそうです。