地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案
この法案は今回の補正予算関連法案で国会初日の1月20日に提出されました。
地方交付税交付金について、5436億5400万円を追加し、5364億5400万円を修正減少するものです。地方に配分される交付金はトータルで減ります。原因は「思ったより税金が入ってこなかったから」です。
減りは若干でありますが、なんとか若干にまで持ってきたのは公債金を発行、つまりは借金でなんとかして犠牲を少なくしたものです。
その補正予算案は、
地方交付税交付金等については、本予算、補正予算のたびに法律を改正しています。
特例、特例と言いながら毎年改正をしています。
年度末までには地方法人税の税収が減少する見込みであるので、地方交付税交付金が減ることが予測されうる。
そこで一般会計から、交付税及び譲与税配布金特別会計に対して72億円を繰り入れる。
しかし、それでも所得税、法人税、消費税も減収見込みであることから、地方交付税交付金を減額するというもの。
以上の内容で地方交付税法を改正し、特別会計法においても附則を改正する。
●法案の概要
平成28年度分の地方交付税について、国税5税の減額補正 を踏まえ、地方交付税の総額を確保するため、国の一般会計 から5436億5000万円を加算する等の措置を行う。
1.通常収支分
国税5税の減額補正に伴う交付税の減 ▲ 5436億5000万円
国の一般会計からの加算 5436億5000万円
(内訳)
・[ 国負担分 ]臨時財政対策加算額 +2,718億円
・[地方負担分]臨時財政対策債振替加算額 +2,718億円
※ 当初予算の地方財政対策において折半ルールで財源不足を補塡していたことを踏まえ、臨時財政対策債振替加算額(2,718億円)については、平成29年度~ 平成33年度の各年度分の地方交付税の総額から減額する。
<参考> 地方交付税の原資である国税5税(所得税、法人税、酒税、消費税、 地方法人税)の減額補正 ▲ 1兆7,532億円
2. 東日本大震災分
東日本大震災に係る国の復興事業等の減額補正に伴い、震災復興特別交付税を213億円減額する。
<参考> 減額後の平成28年度震災復興特別交付税の額:9,188億円
※ 平成27年度からの繰越額5,758億円を含む
※ このうち3,054億円は平成28年9月に交付済み
3. 施行期日
公布の日
以上が法案の内容。
改正する法律は、
地方交付税法(昭和25年 法律211号)
特別会計に関する法律(平成19年 法律第23号)
●地方交付税法 附則第四条(平成二十八年度分の交付税の総額の特例)の改正
●平成28年度一般会計補正予算案(第3号)、平成28年度特別会計予算案(特第3号)のうち交付税及び譲与税交付金特別会計
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補正予定 |
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改平成28年度 予定額(千円) |
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追加額(千円) |
修正減少額(千円) |
差引額(千円) |
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543,654,000 |
△ 689,372,119 |
△ 145,718,119 |
52,772,682,078 |
●他会計より 受入 |
543,654,000 |
△ 557,772,119 |
△ 14,118,119 |
15,946,846,361 |
一般会計より受入 |
543,654,000 |
△ 536,454,000 |
7,200,000 |
15,403,851,261 |
財政投融資 特別会計より受入 |
0 |
0 |
0 |
200,000,000 |
東日本大震災復興 特別会計より受入 |
0 |
△ 21,318,119 |
△ 21,318,119 |
342,995,100 |
●租税 |
0 |
△ 131,600,000 |
△ 131,600,000 |
2,941,700,000 |
地方法人税 |
0 |
△ 7,200,000 |
△ 7,200,000 |
629,300,000 |
地方揮発油税 |
0 |
0 |
0 |
255,300,000 |
石油ガス税 |
0 |
0 |
0 |
9,000,000 |
自動車重量税 |
0 |
0 |
0 |
264,200,000 |
航空機燃料税 |
0 |
0 |
0 |
14,900,000 |
特別とん税 |
0 |
0 |
0 |
12,500,000 |
地方法人特別税 |
0 |
△ 124,400,000 |
△ 124,400,000 |
1,756,500,000 |
●借入金 |
0 |
0 |
0 |
32,417,295,408 |
【地方交付税の交付金額を決定する方法】
地方交付税については、地方財政計画の歳出・歳入及び地方交付税総額がマクロベースで決定された後に、これを前提として、ミクロの各地方公共団体に対する地方交付税交付金の配分額が決定される仕組みとなっています。どんな基準かというと、人口、面積、警察官や消防官や学校教員の数、道路の延長の長さとかです。
予算編成時(9月~12月)
1.全自治体(都道府県及び市町村)の歳入歳出を見込み、収 支不足を見積り
2.収支不足を補てんするため、法定率分に加えて、一般会計からの特例加算等を行って交付税を増額
⇒ 交付税総額の決定
予算決定後(1月~7月)
1.予算編成で決定した交付税総額を配分するため、基準財政需要の算定の基準(単位費用、測定単位、補正係数)を毎年改定
2.改定した算定基準により、各自治体の基準財政収入と基準 財政需要を算定して普通交付税を配分
⇒ 総務省と財務省の折衝を経て、交付税総額が決定。
⇒ 普通交付税(交付税の94%):7月に決定
特別交付税(交付税の6%):12月・3月に決定
この交付税交付金の配分は総務省が決定
○ 地方財政対策においては、地方歳出総額を規律する地方財政計画における歳出歳入ギャップに対し、国税の一定割合で ある地方交付税の法定率分(国)を充当。
※ 地方交付税の法定率:所得税33.1%、法人税33.1%、酒税50%、消費税22.3%
※ このほか、地方法人課税の偏在是正のために導入された地方法人税の税収を交付税原資化(特会財源)
○ 法定率分で不足する財源については、特例加算(国)と臨時財政対策債(地方)により国と地方の折半で負担することで対応。リーマンショック後は、これに加え、国の全額負担による別枠加算で地方の負担を軽減(28年度に廃止)。
○ 国・地方のPB改善のためには、地方財政計画の歳出を着実に抑制し、歳出歳入ギャップを縮小していくことが必要。