労働基準法改正案 政府案及び野党案そして幕府案 | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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一般労働者の年間総実労働時間が2,000時間を上回る水準で推移し、年次有給休暇の取得率が5割を下回っている状況の中、長時間労働を抑制し、仕事と生活の調和のとれた働き方を拡げていくことは喫緊の課題となっています。

 

また、経済のグローバル化の進展等に伴い、企業において創造的な仕事の重要性が高まる中で、時間ではなく成果で評価される働き方に対応した選択肢を増やしていくことも課題となっています。

 

このような中、政府は、平成27年の第189回国会に、年次有給休暇に係る時季指定の使用者への義務付け、高度な専門的知識等を要する業務に就き、かつ、一定額以上の年収を有する労働者に適用される労働時間制度(高度プロフェッショナル制度)の創設等を内容とする「労働基準法等の一部を改正する法律案」を提出しました。

189-閣69 労働基準法の一部を改正する法律案 その2

 

また、野党4党(民進、共産、生活、社民)は、平成28年の第190回国会に、労働時間の延長の上限規制、休息時間(インターバル)の規制等を内容とする「労働基準法の一部を改正する法律案」を提出しました。

190-衆27 労働基準法の一部を改正する法律案

 

両案は、現在、衆議院において継続審査となっています。

 

なお、「ニッポン一億総活躍プラン」等では、長時間労働の是正に向けて、労働基準法の執行を強化するとともに、同法に基づく36協定における時間外労働規制の在り方について再検討を開始することとしています。

 

厚生労働省では、「仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会」を立ち上げ、平成28年9月から我が国における時間外労働の実態把握を中心とした議論を開始したところです。

 

 

●内閣提出法案 労基法改正案の概要

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/189-41.pdf

 

政府・与党は、所得の高い一部の労働者を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度」を柱とする労働基準法改正案。

 

高度プロフェッショナル制度の対象は、金融ディーラーなど専門的な仕事に就く年収1075万円以上の労働者で、働いた時間に関係なく成果で賃金が決まるものです。改正案はまた、実労働ではなく「みなし労働時間」に基づいて賃金を支払う裁量労働制を、企画立案も手がける営業職などに拡大します。一方、月60時間を超える残業には50%以上の割増賃金を支払う規定を中小企業にも適用し、長時間労働を抑制する法案です。

 

●野党4党提出 労基法改正案の概要

「労働基準法の一部を改正する法律案」(通称:長時間労働規制法案)

野党提出法案は、労使協定を結べば青天井となっている労働時間の延長について、上限規制を設けます。具体的な時間は、労働者の健康や仕事と生活の調和が守られるものになるよう、労働政策審議会で議論して、厚生労働省令で決めます。

 

 次の勤務時間まで一定の休息時間を設ける「インターバル規制」を新たに導入します。ヨーロッパ諸国で既に導入されています。

 

 事前に決めた時間分しか賃金を払わない裁量労働制について、会社にいた時間や社外で働いた時間を使用者が把握・記録し、省令が定める時間を超えないように義務付けます。

 

 また、使用者に、事業場ごとに「労働時間管理簿」を作成し、労働者ごとに始業・就業時刻と労働時間を記入する義務を課しています。さらに、厚労相は労基法等に違反した者の名や違反行為内容を公表できるとの規定を盛り込んでいます。

 

 

 

これらの論点は、労働時間をいかにするかというところに注目されていますが、そのことに注力することが根本的な解決になるのでしょうか。

 

まず、会社が利益を儲けて、それを労働者に分配するという現代の経済システムですが、経営側からすれば賃金は安く、なおかつ長い時間に働いてもらうことが利益の追求です。労働者側からすれば賃金は高く、なかつ短い時間で働くことが望ましい。

 

この需給バランスは労働価格・賃金によって調整されるというのが従来の経済学の考え方です。しかし、現実には労働者側からの不満が多くあり、それを是正し、実現するのは政府の力であるということをこれまでにやってきました。

 

自民党の支持バックには経営者団体があり、民進党の支持バックには労働者団体があり、これが対立する。昔の自民党と社会党との対立になんら変わりありません。政治改革の理想であった政権交代可能な保守二大政党制にはなっていないということです。

 

日本維新の会は、やや経営者側に発想があります。しかし、その同じ経営側であってもベンチャー企業や自由競争を促進する経営者、これまでの利権を排した効率的運営を支持する人々をターゲットにしており、改革的な政党ではありますが、この思考方法は自民党にも存在するものです。小泉内閣以降、このような自由競争を促進する経済政策が好まれるようになっています。ケインズに対するアダムスミスの発想です。

 

つまりは、政治が考える経済政策・労働政策というのは、従来から、冷戦対立の時代からいまだ変わっておらず、以前の経済政策の焼き直しだけが蔓延しているということです。

 

自由経済では経営者側は内部留保、ストックをしたがります。それを政府の力で無理やり出すことをする社会主義的な政策が図られます。そのために政治・行政の力を必要とします。

 

自由な経済であっても、政府がコントロールする経済であっても、資本をどこに集中させるかの違いしかない、両方とも資本主義なのであります。

 

私はこの労働時間の問題は、その資本が「貯めておけるお金」であることが問題であると考えます。

 

貯めておけないお金、時間とともに腐敗していくお金であるならば、経営者側はお金をストックせず、労働者に分配、設備投資などに向けられます。労働者も同じようにすぐに消費をします。なおかつ、その通貨が地域内に限定されていたり、その経営者側が得やすいモノ・サービスに近ければ、支払ったお金はすぐに自分の手元に戻ります。

 

現代の経済システムは次々にグローバルとなるために、どれだけ財政出動をしても、自分のところに再びお金が回ってこないところにあります。

 

したがって、私は、この与野党双方の両案をどれだけ審議したところで、労働者の改善は進まないと考えます。減価する通貨の発行をすることが最優先です。

 

そのためには、来年度の予算で、社会保障の雇用政策、中小企業支援の政策において、政府発行の紙幣、減価する通貨を用いて、市中に流すことであると考えます。