「有人国境離島法に関するこれまでの経緯及び今後の対応」について | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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悪さしながら男なら 粋で優しい馬鹿でいろ

領土に関する特命委員会・離島振興特別委員会

 

離島においては、生活基盤をはじめ様々な社会基盤の整備が行われてきた一方で、地理的条件不利性、産業の低迷等により、人口減少傾向に歯止めがかからず、さらに高齢化もより一層進展しています。

 

これらは、他の条件不利地域と比較しても、非常に厳しい状況となっています。

 

現在の離島振興対策実施地域には、常時交通が整い離島の条件不利性が解消されてきた離島、人がいなくなり長期間を経て、実質的に何ら離島振興策を講じられていない離島が存在します。

 

このため、今後、これらの離島の指定に係る適切な検討を行うことが必要です。

 

また、「今後、有人離島生活の維持が懸念される離島」は、全国47島存在し、離島全体の約18%にあたります。

 

離島類型では、内海・本土近接タイプの離島に多く存在します。

 

中でも、特に、人口が減り続け、今ではほとんど人がおらず、高齢化も著しい離島も存在します。

 

このため、離島のもつ国家的役割等を踏まえ、離島に人が存在することの意義、有人離島の

維持が懸念される離島について、議論が必要ではないかと考えます。

 

これまでの国境離島に関する施策を点検・評価し、今後の施策の方向性の検討を行うため、7名の有識者からなる懇談会を13回開催しています。

 

●有識者七名

奥脇 直也 国際法 明治大学法科大学院教授 【座長】

秋山 昌廣 海洋政策 (公財)東京財団理事長

磯部 力 行政法 國學院大學法科大学院教授

木場 弘子 国民広報 キャスター・千葉大学客員教授

久保 文明 外交 東京大学大学院法学政治学研究科教授

志方 俊之 安全保障 帝京大学法学部教授

渡邊 東 離島振興 (公財)日本離島センター専務理事

 

国境離島の保全、管理及び振興のあり方に関する有識者懇談会の最終提言は以下の通りです。

 

1.離島をめぐる社会情勢等の変化

 離島が果たしている、我が国の領海、排他的経済水域(EEZ)等の保全、海洋資源の利用等の「国家的役割」、及び自然、文化等との触れあいの場、機会提供という癒しの空間等としての「国民的役割」は、今日ますます重要性を増している。また、我が国周辺海域においては、海洋資源開発等への期待が高まっている他、近隣諸国の海洋権益をめぐる主張や活動が活発化しており、従来以上に離島の保全・管理を適切に実施していくことが必要。

 

 

2.国境離島の保全・管理のあり方

 

(1)検討対象とする離島

有人、無人を問わず、領海の外縁を根拠付ける低潮線を有する離島(排他的経済水域(EEZ)の外縁を根拠付ける低潮線を有する離島を含む)

 

(2)取組の基本的な考え方

 海洋立国日本の取組姿勢と目指すべき方向性を踏まえ、着実に取り組むことが必要。また、関係省庁、地方公共団体、多数の民間団体、国民との協力体制が必要。

 

(3)海洋管理の観点から、優先的に取り組むべきこと

①国民への普及・啓発

 ・「国境離島 Web Page」や小冊子の作成

 ・離島観光や離島をめぐるクルーズなどの海洋観光、エコツーリズムの推進

 ・副教材の作成、体験型の活動の推進等による国境離島の教育の充実

②国境離島の保全・管理の基本となる事項の着実な取組

 ・基本情報(自然地理情報、歴史文化情報等)の情報発信

 ・新たに判明した国有地の国有財産台帳への登録、所有者情報の継続的な更新

 ・名称のない離島への名称付与、地図及び海図への記載

 ・衛星や航空機による最新の観測技術・知見等を活用した新たな監視手法の検討

 

(4)既存の施策に対し、配慮を求めるべきこと

①警備・安全保障

国家安全保障戦略に基づき、あらゆる事態にシームレスに対応するための総合的な体制の構築の検討等の取組が進められているが、国境離島は我が国の領海等の根拠となる重要な存在であることから、その重要性を踏まえて取組を進めていくことが肝要。

②自然環境の保全

海洋生物多様性保全戦略に基づき、重要度の高い海域の抽出等の取組が進められているが、離島及び周辺海域には固有種が生息・生育し、これらを育む貴重な自然環境が残されていることも多いことから、これらを踏まえた取組を進めていくことが必要。

 

(5)今後の動向を注視すべきこと -土地の保全・管理について-

土地の保全・管理のための法類型としては、国が土地を取得する方式、土地の利用を規制する方式、国境離島を公物として管理する方式やこれらの組合せが考えられるが、具体的にどのような方式が望ましいかについては、個々の離島の状況に鑑みた検討が必要。また、今後の立法府の動向の注視が必要。

 

(6)国境離島を有する地域での取組

国境離島の監視や状況の把握に当たっては、周辺の有人離島の住民等地域住民による目配りが重要であり、地域住民との協力体制を構築することが重要。

 

 

具体的提言として加えておきますと、

 

○離島の変化を確認する方法として、一定間隔で映像を更新し、公表すれば変化の状況が一般の方でも確認できるのでITを活用した離島監視の方法を通じて、一般の方々に関心を持ってもらう。

 

○緊急入域した外国漁船が大量に入ってくることに対して、恐ろしいと感じている離島住民もいる。一方で避難港として機能することが必要である。

 

○国境離島の重要性についての国民に普及啓発するための各種アイデアに関して、フランスは切手を販売し、政府が国民向けのツアーを企画・実施するなどの取組を進めている。日本も見習うべき。

 

○離島に自衛隊があると島が活性化する。全ての島に自衛隊を置くということはできないが、今後政策的な配慮で、経済合理性からは離れてでも国境離島の保全管理振興などに配慮する余地がある。

 

○国境離島の管理という面から、無人島であれば定期的に視察研修や自衛隊や海上保安官の訓練に使用する等で関わっていくことも必要。

 

○離島としては、与那国島への自衛隊の配備を進めようとしているところであり、地域経済への好影響もある。与那国だけではなく、初動担任部隊を、南西諸島の他の島への配備も必要。

 

○中国にとって南西諸島は太平洋への進出を阻むように存在しており、脆弱な部分という見方もあるが、見方を変えれば点々と存在する空母であるので、これらを利活用する防衛体制の構築をすべき。

 

○灯台の高機能に伴い無人島化した離島もあるが、離島住民からは有人にして欲しいという要望も根強いため、なんらかの常駐警備を置くべきである。

 

○海上保安職員一人が担当する海岸距離での比較として、日本の海上保安庁が約 2.8km、米国コーストガードが約 0.2km、韓国も約 0.2kmとなっており、他国よりも少ない人数で業務に取り組んでいる。来年度の定員要求でも、尖閣対応体制の強化を含め、約 740 名を要求しているが、コーストガード約 0.2kmを目指すべき。