X線天文衛星「ひとみ」異常事象の原因と今後の対応について | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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X 線天文衛星「ひとみ」の異常事象に関する小委員会

報告書

 

 

http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2016/06/28/1372959_1.pdf

 

 

X 線天文衛星 ASTRO-H「ひとみ」(以下「ASTRO-H」という。)は、ASTRO-EII「すざく」

に続く X 線天文衛星として、平成 20 年 7 月に宇宙開発委員会による事前評価を経て開

発に着手した。ASTRO-H は、平成 28 年 2 月 17 日(日本時間、以下同じ)に打ち上げら

れ、2 月 29 日にクリティカル運用期間を終了し、順調に運用を続けていたが、3 月 26

日に ASTRO-H との通信異常が発生した。

 

異常発生時に、衛星を安全な姿勢に移行させるのがセーフホールドモードであるのだが、このときに使われるスラスタの制御パラメータが間違っていたために、ひとみは回転を収束するどころか加速してしまい、衛星の破壊に繋がった。

 

事故の発端となったのは、姿勢変更後に、スタートラッカが途中でデータ出力を中断し、慣性基準装置(IRU)のバイアスレート(誤差推定値)が高止まりしてしまったことだ。これで衛星は実際には回転していないのに、回転していると思い込み、それを止めるために、1時間に22度というゆっくりした速度で回転を始めた。

 

以上は運用フェーズに起きた問題であったが、JAXAは今回、設計フェーズ、製造・試験フェーズにおいても問題が無かったか検証。製造・試験フェーズについては問題無しとされたが、設計フェーズについてはさまざまな問題点が指摘されている。

 

今後の具体的な対策

課題及び背後要因に対応するため以下の対策を講じる。

 

①ISAS プロジェクトマネジメント体制の見直し

・プロジェクト管理に責任を持つ PM(Project Manager)とサイエンス成果の創出に責任をもつ PI(Principal Investigator)を明確に区分し、それぞれ別の者が担当する。特にプロジェクトマネジメントやシステムに責任を負う者については、経験や能力等任命の要件を明確にするとともに、PM 等の枢要なプロジェクトマネジメントの要員は、専任の者を充てる。

 

②ISAS と企業との役割・責任分担の見直し

・設計・製造段階において、先端的科学ミッションの確実な実現のため、一元的な管理に基づくシステムの安全性を確保するため、契約書の記載内容に基づき、企業との役割分担及び責任関係を明確にした体制に見直す。ISAS は、科学要求とのせめぎ合いの中でプロジェクトを確実に実施する責任を負うとともに、科学要求立案・先導的技術開発・先端的センサ研究開発等に注力する。

・運用段階においても、企業との役割分担及び責任関係を明確にした体制を構築する。

 

③プロジェクト業務の文書化と品質記録の徹底

・プロジェクト推進に関わる重要事項を文書化して関係者により共有する。また、審査会、運用等の意思決定の共有、不具合時の原因究明と対策の迅速な実行を図るため、企業との間で役割分担を明確化した上で、両者それぞれにおいて品質記録の作成を徹底する。

 

④審査/独立評価の運用の見直し

・システムの安全性を重視した審査や管理を行えるよう審査会を充実させ、懸念事項の網羅的なフォローを確実に実施する。第三者による独立した評価や検証を徹底する。