蒸れないブログ -92ページ目

短編小説 反転世界で 嫌いの意味は?

落語の三題話って知ってますか?

三つお題をいただいて、即興でお話を作るというあれ。

文学少女シリーズというラノベでそれを小説でやるというネタがあって

以前、僕もそれを即興でやってみたのです。

頂いた、お題は

『ちくわ』『精神異常者』『ツァラトゥストラはかく語りき』でした。


ブログ書く時間がないので

もう一年以上前のデータを持ってきて、

このブログのアップをひさびさにしてやろうというわけです。


タイトルは

『反転世界で 嫌いの意味は?』です。

どうぞ。


◆ ◆ ◆


一月目



たったの23円。

見直しても23円。

わずか、23円が僕と彼女を繋げるたった一つの、現実(すべて)だった。


コンビニエンスストアの扉を開き、

雑誌の棚から回って

冷凍うどんとペットボトルの気持ち悪いくらいの色分け整列を眺めた後、

さらにぐるっと回って、

レジの手前

弁当の手前のおつまみコーナー。


『殺意でもあるのではないか?』と、

疑いたくなるくらいに健康被害が想像に難くない僕の愛すべき嗜好品群(自殺キット)。

上から二段目に位置する真っ赤に染まったキュウリとキャベツの辛い漬物の隣に陣取っているそいつを手にとって、レジに向かい

ポケットの中にあらかじめしまっておいた二枚の100円玉をできるだけ怪しまれないように彼女に渡して

帰ってくるのが―ちょうど23円。


正直言うと彼女はとてつもなく気持ちの悪い女だった。

どう、気持ち悪いかというと、小銭を返す時、わざわざ受け取る僕の手を握り返すように置いてくるのだ。

小銭が落ちないようにの配慮なのだろうが、

僕はどうにもそれが耐えられない。

いかんいかん、

もっといえば気持ち悪い。

されるたびに鳥肌がたつし、

「なにこいつ?」

と、問答無用に罵りたくなる欲求に耐えたことすらある。

鼓動は高鳴るし

体温は上がるし、

とくに手汗が駄目だ。

エクリン汗腺から分泌されるそれは、足の裏やわきから出るものと同様のものである。

それを想うだけで不快指数が23%ましだ。

殺意を覚える。

まともではない。

こんな不快な思いを平然と人にさせることのできる彼女は人としてまともではない。

彼女は異常だ。気持ち悪い女だ。


心がとても不安定だ。


あの女は存在するだけで僕を致死へと追いやる事ができる。


すごくいたたまれない気持ちになってしまうのだ。



僕はこの恨みを忘れないように、

何か儀式めいたような感情にとらわれ

また、ここに来る。



そうして、23円と共に恨みを買って帰るのである。


買った恨みは家で消化する・・・・ああ、また森林資源が朽ちていく。






彼女のせいで僕の世界はどこまでも汚くなってしまった。





僕の体に深く入り込み見上げればあった蒼い空は

いつの間にか無色透明なそれでいて澄み渡る様な青に変わってしまった。

害虫と細菌の巣窟でしかなかった、常緑樹が風に騒いでさらさらと不快な音を奏で出した。

人の声がよく聞こえるようになった。

自己だけで完結されていたはずの世界に他人の音声が入ってくるという不快感は何物にも代え難く僕の世界を壊してしまった。



それから、どうもうまくいかない。



僕は今年で23歳になる。

当然就職先はもう決まっていて

後は大学の卒業式を迎えるだけだというのに

とんだ誤算だった。


母親が12の時に

父親が21の時に死んで、とても順調であったはずなのに・・・・。


落ちて行くようにたどり着いた一つの真理が、彼女によってたった一日で崩壊するに至ってしまった。


もう何を信じていいかわからない。


他人を信じなくてよくなったのに。

誰かのために努力をしなくてよくなったのに。

自分に責任を持たなくてよくなったはずなのに・・・・。



すごく、不快だ。



その所為か、いまさら嫌なことを思い出してしまった。

まだ、11歳のころだろうか

母親がまだ生きていたころの事である。

つまりは、まだ僕が母親に布団の中で虐待を受けていたころの事である。

父親と共に海に行った。

僕は父を非常に愛していた。

これ以上ないくらいに彼は公明正大で、清廉潔白で、質実剛健で、どこか優柔不断な人だった。

そしてなにより、僕に厳しく優しかった。

そんな父が連れ出してくれた、白浜の青い空は今よりももっと青い。

最悪の思い出だ。けれども愛する父のしてくれた無条件降伏の僕への愛情が何よりもうれしかった。

つまり、父は僕に逆らえない人だったのだ。僕の奴隷である。

だから、愛していた。

だから、大切だったのだ。

彼の僕への従順さは、一年後に母を亡き者にするぐらいの忠誠心。

もはや、愛さざるをえない。


それからはずっと二人だったが、ついに僕と暮らすことに父が疲れてしまって、

というか、壊れてしまって

良く持ったほうだとは思うが21の時に、殺してくれと毎日のように呟くようになったのである。ぼくは、父の事を壊れたラジオのようにあしらった。

叩いても治らなかったけど。

そんなになってしまった父ではあったが、

僕は彼の望みを叶えてあげた。

愛していたから。

その時のことを今でも覚えている。

父は、ほっとしたような顔をしていた。



それほどまでに、みんな、僕といるとしんどいというのだろうか?



僕といるとみんな壊れてしまう。

僕というファクターは、否応なしに他人に影響を与えるらしい。

誇らしかった。

しかし、あまりに絶大な力。

僕は、『他人に迷惑をかけるのは好きなほうではないので』

完結した世界に閉じこもることにした。



それなのに、そんな僕が



今になって、今更になって他人に影響されている。

捕食側から捕食される側へと回ってしまった。


しまった・・・・・・・・


しまった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


大・・・失態だ・・・・・・・。


何とかしないと・・・・僕は反抗を決意した。


◆ ◆ ◆



二月目




僕が彼女と付き合うようになってから一カ月が過ぎようとしていた。

依然として世界は燦然と輝くように、澄み渡るように、そのどちらでもある様にそこにあって

僕がどんどん矮小な存在になって行く。

取るに足りないようになっていく。

汚い汚物にすげ変わっていく。

あまりに急激な変化だ。

このまま、世界が肥大化して、僕が小さくなっていくようなら僕はいづれ耐えきれず、最終的には消えてしまうのではないのだろうかという妄想にさえ駆られる。

怖い・・・・・・すごく、怖い・・・・・・・・・・・・・・・・。


だめだ、反抗どころか劣勢は続いている。

最悪だ・・・・・・。


彼女は僕の腕を引っ張り、何がおかしいのかいつも僕に満面の笑みを向けている。

僕は笑い返すこともせず、ただその笑顔をにらみつける。

不満そうな顔をする、すると彼女は僕に言霊をかける。

『笑ってよ』

と、言霊をかける。

ひどい・・・・・呪いだ。


笑いたくて笑ったことなんて一度もない僕に対して

どうやって笑うのかすらわからない僕に対して

こいつは、どこまでハードルの高いことを要求するのだろう。


ひどい、あまりにひどい・・・・有様だ。


 ◆ ◆ ◆


三月目



ぼくは、大学を卒業して、就職して仕事を始めると、彼女に反抗する時間は急激に減っていた。

反撃の機会を得られないのはつらい。

しかし、作戦を立てる時間はいくらでもある。

それに・・・会社に入ってしばらくすると、懐かしき僕の世界を漂わせている場面がちらほら伺える。

ああ、ほらまた、あの女子社員を怒鳴りつけてる上司。

僕の大好きなものが滲み出てるよ。

これは、反撃の準備が整うのも時間の問題かもしれない。

そう思って、家路について、自分の家のドアを開けると彼女がいた。

不法侵入だ。

一緒に暮らそうという。

しまった・・・・・これはまずい、相手のほうが一枚上手だ。

退路が・・・・断たれた・・・・・・・。


 ◆ ◆ ◆


四月目


戦況の悪化、後手に回ったのも問題だ。

だが、一番の問題は敵の大きさを見誤っていたことかもしれない。

その上実にトリッキーだ。

先の読めない。

突然怒ったり、ニコニコしてたかと思ったら、四角い箱の中に流れる映像情報で涙したり、何かに失敗すると顔を赤らめたり、

何一つ理解できない!!!!!!

『意味不明』だ!!!!!

もうどうしたらいいか、わからない!!!!

無表情な僕の前でころころころころ感情を放出させて、おまえは何が楽しいんだ!!!!!?????

やっぱり、こいつはおかしい!

人形の前で同じことをしてたら誰だってそいつはおかしい奴か、いたい奴だって思うだろ?そんなこともわかんねぇのかよ!!!

馬鹿か?馬鹿なの?

なんで、俺の前でそんなことしてんのかさっぱりわからねぇよ!!!

え?なんだと?あん?



・・・・・・・・。



笑ってないよ・・・・。



 ◆ ◆ ◆


五月目



だめだ、どうしていいかわからない。

今まで積み上げてきた常識も感情もすべてのものが崩落しかけている。

ぼくの23年間を勝手に嘘にする。

ぼくがすごしてきた幸福な生活を汚していく。


ぼくは、ついに手を挙げた。降参だ、白旗だ、全面降伏だ。

ある夜、泣いて許しを請うように、縋りつくように

彼女の前で何も言わずに、子供のように泣きじゃくった。


みっともない、みっともない、恥ずかしい。

なぜ僕は、こんなやつの前でこんな小さく醜い存在でなきゃいけないんだ。

頭の思考回路が焼き付いて同じところをめぐっては一歩たりとも進んでいない。扇風機だってこれだけ回れば少しは前に進むだろうに。

そんな僕を彼女は、何も言わずに抱きしめた。

自分はどんどん小さくなっていく。

反抗できない。

いや・・・・

そうだろうか・・・・・・・?

もうこうなってしまっては、四の五の言っていられないのではないか?

今までがきれいすぎたのだ。

今持っているありったけのこの憎しみをこめて彼女にぶつけてそれですべてを暴力によって制そう。

できるだけ汚い言葉を吐いてやる!

めちゃくちゃに彼女を傷つけてやる!!!

そうだ!!!!そうだ!!!!!!


ぼくの23年間を作り上げてきた始まりのあのドロドロとしたものを彼女に叩きつけてやる!

この場で叩きつけてやる!!!


昔、母にそうされたように!!!!布団の中でそうされたように!!!

同じことを!!!!同じように!!!!

この女に!!!!!!!!!






―全然ダメだ。

母のようにうまくはできなかった。

母と同じことをしたはずなのに、母のようにはできなかった。

僕は、さんざん僕を苛めた母すら劣る存在だったのだろうか?


母と同じように、『ちゃんと、愛していると、呟いて、彼女にいやらしいことをしたのに』



まったく、別の行為(いじめ)になってしまった・・・・・・・。

似ていて非なるものになってしまった。


その日、僕は彼女に反抗するのをやめた。

人肌の温度を知って初めてチューもした。


◆ ◆ ◆


六月目


僕の誕生日がやってきた。23歳の誕生日である。

毎日働いている。帰るとやっぱり毎日彼女がいる。

ため息が最近たくさん出る。

空っぽの自分にポツンと真ん中が彼女に陣取られている。

価値基準が僕にない。

駄目人間だ。

彼女が映画に行きたいという―映画に行くことにする。永遠と無感動な情報テキストを読む作業を繰り返す、映画ってこれほどつまらなかったろうか、隣の彼女におびえてあまり集中していない。

彼女が服を買いたいという―エジプトピラミッド制作過程の奴隷のような扱いを受ける、白い袋が肉に食い込んでいたいというのに、やはり僕は奴隷なのだろう、まったく反抗する気が起きない。

彼女がおいしいものを食べに行きたいという―最近は何を食べても同じだ、まずいものが、上手いものと同じになる。どうやら、精神状態の悪化から舌が利かなくなったらしい、最低だ。だったら、家でいいだろう、僕が何か作るから。そっちのほう安いし・・・・・ああ、また労働をさせられている。

布団に入ると、彼女がくっついてくる―夏場で暑いので勘弁してほしい。布団だっていらなくなる。汗ばっかり流れて、上手く寝れない。僕は眠たい、彼女は勝手に眠ってしまう。もうたくさんだ。

朝目覚めると、彼女がチューしてくる―チューをする。一日中唇が気になって仕方がない。

世界がおぼろげだ。

仕事をする―最近、上司にかつてのにおいを感じない。鼻がなくなった気分だ。



世界が狂ってる。暗黒時代と名付けよう。


◆ ◆ ◆


七月目


うん、うん・・・・・・今日も晴れてる。風が気持ちいい。梅雨も明けた。


うん、うん。


そっか・・・・・・。


◆ ◆ ◆


八月目


彼女が海に行きたいという。

僕は白浜しか言ったことがない。僕が、僕の奴隷と共に行ったあの場所だ。

どうやら、奴隷は海へ主人を連れていく運命を課せられているらしい。

また、あの強烈な太陽光の下で、彼女は笑って、僕の腕を引っ張って、僕は翻弄されるのだろうか?

そうかもな・・・・・まぁ・・・・・いいか。

向こうは紫外線が強力らしいからな、どうせだから紫外線を大量に浴びて皮膚癌になって帰ってこよう、それがこの暗黒時代に終焉を告げる最終手段かもしれない。

白人に比べて黄色人種では皮膚癌にかかりにくいらしいが『一日中日の下』にいれば可能性もなくはない。



一日中、『外』で遊びまわった―皮膚癌にはなっていない。

オゾン層もっと破壊しておけば良かった。


◆ ◆ ◆


九月目

彼女がつわりをした。

どうやら、僕の遺伝子情報を使って体内に自分とのハイブリット型生命を宿らせたらしい。

気が気でない。

気が気でない。気が気でない。

どうして、僕がこんなにも気を回さなければならないんだ!

ああ、もう、いらいらする。会社サボっていいですか?

ああでも、有給そんなにないし。

僕は心の安定のために、彼女に家の中にいるように指示する。動くなと言うはないが、階段とかヤメロと言う。

勝手に僕と自分とのキメラを作る危険人物だ。

外に出すなんて害悪でしかないだろ?


◆ ◆ ◆


10月目


なんだか、あれから、僕の奴隷具合は23%増しだ。

二人分働いているような気がするし、二人分世話しているような気がする。

もはや、奴隷生活も慣れたようで、不快に思うことすら忘れている。

どうやら、僕にはマゾの気がるらしいという事もわかってきた。

あるいは犬の気だろうか。

とにかく、彼女は安定してきて、ゆっくり、キメラをでかくしている。

腹が出張ってきた。

さすってみたり、耳を当てたりする。

まぁ、さして何か動きがあるようには思えないけど、。


◆ ◆ ◆


12月目

彼女と会った日から一年たった。

最近キメラ工場に耳を当てると音が聞こえる。さすってみる。

なんだか、働くのやめようかなと思うが、もっと働かなきゃいけないような気がしてくる。二律背反、矛盾にギャップ、不理解、不都合、不整合。そんな感情が心の中の大半を占めて・・・・・悪くない。


◆ ◆ ◆


17月目

彼女が腹が痛いという。予定より一カ月早い

あまりに痛がるので医者に連れていくと

彼女を連れて部屋に籠城し始めた。



ぼくは、ボケっと待っている。

足の揺れが収まらない。大地震が起きている。

なんか汗ふきでてきた。

今日は、 厄日だ。



しばらくして、門戸開場。

血まみれの赤い肉塊が看護師に抱きあげられていた。



彼女は真っ赤に染まっていた。

笑っていた。

笑ったまま冷たくなっていった・・・・・。


◆ ◆ ◆



やった!!!!やったぞ!!!ついに僕の反抗は成功した!僕の勝ちだ!!!!圧倒的勝利だ!!!!死んだ!!!!死にやがった!!!!奴隷生活ともこれでおさらばだ!!!!何もない!!!もう何もない!!!不安なものが何もない!!!!何もない!!!!彼女がいない!!!!笑えない!!!!泣けない!!!!声が出ない!!!!


泣けない!泣いてなんかない!泣いてない!!泣いてない!!!どこになく要素があるんだ!!!泣かない!!!今更どうしろと言うんだ!!!空っぽだ!!!僕という中には、ぼくじゃなくて、彼女が真ん中にいて!!!それですべてがすべてで完結してて!!!それがなくて空っぽで!!!それが全てで、彼女は笑っていて!!!泣いていて!恥ずかしそうに顔を赤らめて!!!僕は何も笑ってない!!!笑ってないから泣くこともない!!!!結局人形だった僕は、彼女がすべてで!!!!彼女から解放されたら元の僕で!!!もう空は青くない、風は木々を騒がせない、何も不快なものがなくなって、どうでもよくなって、!!!のどがかれてきた、すごく痛い!!!胸が苦しい!!!声が出ない!!!泣いてない!!!泣いてなんかいない!!!辛くなんかない!!!!愛してなんかいない!!!好きでなんかいない!!!!大好きでなんかない!!!!なのに頭がすごく痛い!!!目がぐるぐる回って世界が反転して気が狂いそうだ!!!!おかしな火花がちかちかする!!!火花に合わせて彼女の笑顔が脳髄を焼いて仕方がない!!!鼻水がでて、息苦しい!!!ああ、花粉の季節は過ぎたと思ったのに!!アレルギーないのに!!!目の奥が焼けるのに!!大地が凹んでくる、視界がおかしい、ぐにゃぐにゃまがって!!!!愛してなんかない、!!好きなんかじゃない!!大好きなんかじゃない!!!



幸せそうな顔して、勝手に僕を置いていくなァッッ!!!!

卑怯だ!こんなの嘘だ!間違いだ!愛してない!おかしい!何もかもが壊れて無価値でものだ!ああああああああああ、頭痛い!!!最低だ!僕をどこまで馬鹿にするんだ!!!なんだよ、なんだよ、幸せじゃないよ!!こんなの良くない!!今までで一番最悪だ!!!心がぐしゃぐしゃで前が見れない、頭痛い!!!辛い!!!苦しいい!!涙が出ない!!出てる!!出てるけど!!!!こんなの嘘だ!!!!嘘なんだ!!!!!!!


ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


もう!!!!イライラする!!!!


ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ



◆ ◆ ◆


その日、二枚手元に紙がある。

一枚目は、君が依然机の引き出しに隠していたのを知っていたので持ってきた。

ちょっと、遅いけど結婚届けだ。

彼女の亡骸の前で書いて、捺印を押して、指輪は急でなかったから二百円玉二枚、コンビニでだして23円のお釣りをもらって、持ってきた。

ちょうど輪っかだからいいよな。やわらかいけど。同じ三文字だし、最後の文字も同じ『わ』だし、今思えばなんか心地響きが似てる気がするよ。

なんとなくだけどね。


もう一枚は、死亡届。

君が僕を置いてった証。

もう絶対許さない。やっぱり君の事が嫌いだ。憎らしい。怒りを覚える。

ほんと、どうしようもない。

大っきらいだ。


この二枚を役所に届けに行く。

その後はどうしよう。


◆ ◆ ◆ 

23月目


君には悪いけどあまり、君と僕とのキメラには興味がない。


ああ、でも、半分は僕の血が入ってるわけだし、僕の分身でもあるわけか、こいつは。


じゃあ、僕は、また、せめて僕の分身がまた君に会えるように同じ名前をつけようと思う。

きっと僕に似て素晴らしい人格に育つことであろう。ある程度育ったらまた白浜に連れていくのもいい。

一応、育てるのに、女手がいるから、あまり興味はないけれど、女を作ろうと思う。

きっと、その女はろくでもない奴がいい。

そうすれば、僕の名前を持ったこいつは、きっと、また君に会える。

同じ道程(ルート)を辿るのだから当然だろ?

そしてまた君は死んでしまうだろうけど、その子供は僕の血を受け継いでまた君に会うだろう。

繰り返すだけ繰り返して、僕はきっといつの日か、君に追いついて見せる。

僕を置いて行った君に必ず追い付いて、今度こそちゃんとした指輪を持っていこう。

そのとき、僕はちゃんと君の事を嫌いだというよ。


それが僕の最大限だから。





◆ ◆ ◆


23週目の人生


僕は100円玉を二枚あらかじめポケットに入れている。

なぜ、『あらかじめ』なのかは、これは予定調和というやつだからだ。

ずっとこの機を逃さず待っていた。

僕は彼女に『怪しまれない』ように、二百円渡すと23円帰ってくる。

その時、彼女は僕の手を握り返すようにお釣りを渡す・・・・・。

うん、わかってる。

大丈夫、ちゃんと言える。

僕は君の握り返した手に勇気をもらって初めて言う。

今度こそちゃんと言う。



『好きです、付き合ってください』



じつは、今度はもう一つ用意してるものがあるんだ。

今買ったものと響きが似ていて、最後が『わ』でおわって、君の左手の薬指にはめるもの。



さぁ、幸せになろう。



END

突然ですが

今、目が覚めたら

鼻血が出ました。

いや、突然。


まぁ、それだけなんですけどね。
新塵碕行の蒸れないブログ-asdfgh
皆様、乙彼佐間でございます。

塗り絵用線画


昔書いた線画・・・というより、ラフだけど

乗算使えばそこそこ塗れます
新塵碕行の蒸れないブログ-asd


ついでに配色はこんな感じ
新塵碕行の蒸れないブログ-qwe

まぁ、塗りたい人がいたら持っててくださいなw