DADA ~KuRU/kurU RE; SS~ Episode1 #23
◆ ◆ ◆
カーチェイスは続いていた。
「やべぇな」
「そうかぁ?そういや、10台以上ぶっ飛ばしたはずだが、ちっとも数が減っちゃいねぇな」
と、トニーは手榴弾のピンを引き抜いて、ゴミをポイ捨てでもする様に、窓の外に放り投げた。
「つーか、地の利はこっちにあるんだし。あれだ、アニメで良くある。あいつらの車体じゃ通り抜けられないだろ?的な抜け道とかねぇの?」
「バカ言うな。こいつ(ジープ)がデカ物過ぎるんだよ。」
「仕方ネェだろ。日本車は、デブに優しくねぇんだ。狭くてケツの収まりも悪い。やっぱ、車はアメ車さ。クライスラーだぜ。エコカーとか、クソだ」
BOMB(ドン)っ!という爆音とともに後続の車両の一つが吹っ飛ぶ。
「それについては、同感だ。」
と、ボブは同意する。
「なにあれ?ロケットランチャー?」
と、追跡車両にむかって古沢が何か言っている。
「RPGか?おいおいおいおい。ボンバヘッド天井を開けろ」
「了解」
それと、ジープの天井部の窓がゆっくりと開く。デブはそこから身を乗り出す。
「ジャップ、そこのボックスからライフルだしな」
「え?これ?」
トランクケースの一つを開けると、そこにはばかでかい銃があった。
「速度上げろ、ボンバヘッド!車体安定真っすぐだ!」
「聞こえてるよ!でかい声出すな!」
「OK,、いい子だ。」
CLANK!(ガシャリ)と、レバーを引き、相手との斜線が会う。
それは、同時にアレに撃たれると言う事でもある。
だが、トニーの方が引き金を引くのは早かった。
トニーの弾丸は真っすぐ相手の弾頭に当たり爆散する。
「JACKPOT!」
「いいから、顔引っ込めろデブ。まだ、後ろの車が撃ってんだぞ」
「いや、このまま脳天ぶちのいとく」
と、トニーは、さらにそこからガン、ガンとライフルを撃つ。
「それにしても、あいつはあんなものまで出してきたが、お宝ごとぶっ飛ばすつもりか?何考えてんだ?」
「それ以前の問題だな。あんなもの連続でさばききれねえよ」
「なんだよ」
「追加おかわり、40台くるぞ。今とあわせて45台か」
「マジで入管なにやってんだ、仕事しろよ。どこでも税金泥棒だな」
「俺たち税金払ってなぇけどな」
「何?つまり、どういうこと?」
二人は、めいいっぱい煙草の煙を肺に入れると、ふぅーと長く煙を吐き出した。
「「後、10分くらいで積む」」
気がつけばGPSモニターの敵の位置がめまぐるしく変わる。
こちらの車を囲む様に配置されると、全て道を塞ぐ様にしてじりじりとにじり寄る。
「いや、これはいい動きだな。本物じゃないか?」
「このままだと、UDX前の路地で捕まるな」
「なるほど、いいね」
「よくなあああああああああああああああい!」
「ま、後ろの防弾ガラスも限界だしな。そろそろつかまってやるか?」
「どういう負け惜しみよ!―て、前々!」
「こりゃ隙間ねぇな」
「ターン、レフトだ」
細い路地の向こうでは、片方の通路が封鎖されていた。
そして、目の前には待ち伏せが―
「じゅ、重機関銃!?ウッソだろ!?」
「舌噛むぞ!ベイカーぁぁあああああ!」
一同は伏せた。
ジープはそのまま、弾丸をうけながらもUSXのオフィスビル入り口に突っ込む。
そこから、古沢美加子の世界がゆっくり動いた。
弾丸は、防弾鋼板入りの装甲に軽々と穴をあけ、古沢の目の前を通過した。
頭の上を通過した弾丸はもはや防弾ガラスと普通のガラス違いなど無いと言わ
んばかりに粉々にした。
車体が相手に背を向けた時、リアウインドがカシャンと割れた。
弾丸が空気をやぶく音がする。
繰り返すドップラー効果。
CLANK
カンカンと車内を跳弾する鉛の音が聞こえる。
目の前で火花が散った。
フロントガラスが割れた。
BANG!(バン)と、音が鳴った―タイヤがパンクする。
あっという間に車体は氷上を滑るかの様に回転―
オフィスビルのフロントの壁が間近に
突っ込んだ。
―あ…
点滅する視界。
~~~~~破壊音~~~~~~~
―暗転
――
―
?
??
―?
PaaaaaaaaAAAAAAAARP!!!!と、鳴り響く。
間延びしたクラクション音に、防犯用のブザーが鳴り響く。
古沢が気がついた時には、例の二人は既に外へと出て交戦中だった。
DADA ~KuRU/kurU RE; SS~ Episode1 #22
「そういや、ボンバヘッド。この不発弾騒ぎてめぇか?いくらなんでも、タイミングが良すぎるし、仕事が速すぎる。」
「確かに、仕事は俺だが。依頼したのは今回と同じkirimiyaさ。ちょっとした小遣い稼ぎのつもりだったんだが、あの女。今回の事を予測してならマジもんの予言者かもしれないな。」
「あんたが、これやったの?どうやって?」
「只、偽の情報を流しただけだ。警察無線にも合成音声で流してる。ここに、不発弾なんかねぇよ」
「あるだろ?」
「ありゃ、爆発予定だ。」
なんのことやらと、古沢が、後部座席に積んだ機材を眺めているとそこに。
「なにこれ?時計?なんか、カウントダウンしてるけど。」
「ああ、それな。あの時の爆弾」
「え?えええええぇえ!」
私は慌てすぎて反射的に窓に頭を打ち付ける。
「ちょ、ちょちょちょ!」
「うるせぇなぁ」
「安心しろジャップ。どっかの馬鹿が解体にしくったせいで、爆発確定だがすぐにはしねぇよ。タイマーだけに電気通してセッティングを3時間追加したからな」
「あ、あの、あと4時間ちょっとしか無いんですけど?」
「ああ、その辺りがゲームセットさ」
◆ ◆ ◆
―約1時間前
ピッ
「「「ふぅ~」」」
爆弾の電光掲示板が300分にセッティングされた。
全員が時限爆弾の再セッティングにより胸をなでおろした。
「やばいわね、ハッカーこんなこともできるの?」
のあが呟くと、ボブが「俺だからだ」と呟く。
「ほんとぉ、どっかのデブよりよっぽど使えるぅ」
「うるせぇよ」
「そーだそーだ、旦那を悪く言うなぁ」
皮肉を言うミランダをトニーが睨みつけると、みーしゃが何故か擁護をする。
「まぁ、5時間もあれば東京湾で爆発させるまで十分時間があるだろう―とそれよりベイカー。例の女だ」
「ボブ、例の話、まじなんだな?マジなんだな?」
「ああ、マジだ」
「YEAHoooooooo!!JESUS!!」
「とりあえず、今何処にいるかだな。おい、ベイカー正気に戻ってモニターで探せ。今、街の監視カメラ全部出すから」
「いや、その必要は無いわぁ。うちの子達が追ってるぅ」
「そういやあの中華3人がいないな」
3人とは、マフィア達の酌をしていたメイドだ。そういえば、いつの間にかいなくなっている。
「報復用に追わしておいたんだけれど、『BT』が動くなら、あたしらはこの件から手を引くわ」
「嫌に大人しいな。いつもなら『示し』をつけてるじゃねぇか」
ミランダはアンティークな形の受話器を手に取り、番号を回す。例の3人に連絡を取るらしい。
「あんな雑魚相手にしてられる程あたしらも暇じゃないのさ。死んでくれればOK、No problemだ―ああ、もしもし。今どのあたりだい?嬢ちゃん生きてるぅ?そう、え?不発弾で退避命令が出てる?わかったわかった。爆発したときはその時だって。心配性だね、あんたも。あら、捕まってるの、連行中?ハリムの親父の所に入っていった?あの親父もとことん運が無いね。ナズちゃんとシュケルちゃんは?ああ、不発弾騒ぎで退去してるのねOK、ご苦労様―そういうわけでハリムの所さ」
それでは、と立ち去ろうとするトニーとボブにミランダが「ちょっとまちな」と足を止めさせる。
「旦那達、ついでに配達頼まれてくれない?」
「忙しいから、後にしろ。」
「こぅれ」
とんとん と、指で指した先には確実にカウントダウンを行う時限爆弾。
「Mr.カミロ&ペドロ グラシア兄弟宛に、時間指定でお願いするわぁ」
「OK、で何時頃よ」
「約5時間後ぉ。焦げ目が付くタイミングでお願い」
と、ミランダは凶悪な笑みを浮かべていった。
DADA ~KuRU/kurU RE; SS~ Episode1 #21
◆ ◆ ◆
白デブはそのまま路駐していたジープに飛び乗る。中には、コレまた極端に骨と皮だけのガリガリの黒人がいた。
「だすぜ」
男はそう短く呟いてアクセルを踏んだ。
ジープは猛烈ないきおいで走り出し、わたしは後部座席へと放り投げられた。
「つぅ…」
私はしたたかにシートに頭をぶつける。後部座席には一部機材が積まれており、それに頭を打ったのだ。
「なにやってんだ!追え!追え追え追ええええ!」
後ろを見ると、ぞろぞろと現れたメキシコ人が、寄せていた車に飛び乗っていく。
前を見やると、さっきの黒人が、器用に片足でアクセルブレーキ、もう片足でハンドル操作を行っている。手の方はと言うと、おもむろにパソコンを取り出した。危険運転なんてレベルの者ではない。もはや曲芸だ。
なお、この場合、ウインカーなんてものは辺りに人っ子一人以内状況下ではいみがない。
「女は無事か?」
「ああ、元気すぎる」
と、白デブは耳に詰め込んだ耳栓を外しながら言う。二人は煙草に
「ねぇ、あんた達なんなのよ!?」
私は当然の疑問をそのまま叫んだ。
「おい、金づる様が何か言ってらっしゃるぞ?」
「まじかよ、俺日本語わからないんだが?」
「あんたらも、どっかの変態オタクマフィア?こんな人形さっさとあげるから解放しなさいよ!」
「そいつぁできない相談さ。ジャパニーズ。」
「あんたの事も料金に入ってる」
「金のガチョウとは言え変にうるせぇのは困る。少なくとも的じゃねぇって事言っとけ。ベイカー」
「あ~めんどくせ~ええっと?ハロー、ジャップ。トニー・ベイカーだ。大方肉片作ってる。そこのガリはボブ・ボンバヘッド。覗き見趣味の変態―「殺すぞ、デブ」―一応、あんたを助ける依頼を受けた『便利屋』(クズ)だ、以後ヨロシクー」
トニーはやる気の無い声の調子でだらだらと、シートにぐったりと倒れ込みながら言う。
…。
なんの反応も、見せない私を見て、二人は後部座席を覗いた。
「え!?なんて!?聞こえないんですけど!?」
「・・・」
「・・・」
まだ、私はスタングレネードの効果でなにも聞こえていなかった。
「ベイカー、温厚な俺だが、お前がキレた理由がちょっとわかる。」
ボブはヘッドホンを片耳に押し当てながらごちる。
「ボンバヘッド、落ち着け、お前が温厚だってのがそもそもの間違いだ―そんなことより、後ろから追っかけてきたぞ、つか、撃ってきやがった!」
「わかってる、なんのための防弾ガラスと、防弾鋼板だ。そう通りゃ―お?こりゃまずい」
「どうした?」
「警察無線で一カ所検問強行突破した一団がいるらしい。」
「やっぱ、兵隊隠してたか。しっかりしろよな日本の入管」
「俺たちが通れている時点でお察しってやつだろ?」
「違いねぇ」
「お、もう町内の監視カメラに引っかかってきやがった。衛生カメラでも視認ばっちりだ」
「GPSデータ出せるか?」
「ああ、日本旅行でも満喫するつもりだったのかね?ご丁寧に全員載せてやがるよ」
カーナビのモニターがつくと、そこに光がともる。
「10台か―ッて、囲まれてるじゃねぇか」
「問題ねぇよ。前から来る、ちっと揺れるぞ?」
「え?きゃあ!」
目の前の路地から車が飛び出した。
だが、ボブは何事も無かったかの様にハンドルを切ると、近くにあった看板用の資材で片輪だけ宙に器用に持ちあげ片輪走行のまま、目の前の車に突っ込む。
しかしながら、ジープの要な巨体でしかも、片側には機材と100kg以上の重しがあるデブがのっている状態。ジープはバランスを保てず、すぐに元に状態に戻るのだが、それが結果前から来た車を勢い良く踏みつぶす事になった。
「ベイカー、お前って奴は重しとしても一流らしい」
「5セント5枚分いますぐダイエットするか?」
「そりゃ、お前にこそ必要だろうよ」
踏まれた車両はフロントエンジンを一部損傷したのか、追って来ない。
「まずは、1台」
「後ろから2台」
「撃てるか?」
「誰に言ってやがるよ。」
トニーは窓から腕だけだすと
「もうちょい右よれ」
バンっと、一発発砲する。
次の瞬間、タイヤに着弾した先頭の一台が後続車両を巻き込み横転した。
「弾あては得意だ」
「いつも2次元相手に空撃ちしている成果だな 」
「マジかよ。2次元すげーな。HAHAHAーうるせえ」
「下ネタひどいわ」
私は呟いた。
「お、耳はもどったか?」
「戻ったわよ!あんたら誰よ!?」
「さぁな、敵じゃねぇよ。助けてやるから黙ってろ糞女」
どうやら、一度説明した事は改めて言いたくないらしい。