第一章 自己消失 1-2 溶け出す ―小説
第1祭・・自己消失
―disappearance of identity
ぼやける・・ ぼやける・・ ぼやける。
自分の形が定まらない。
自分がどんな形なのか分からない。
自分がどんな形だったのか覚えていない。
自分が何であるのか分からない。
いや、そもそも、自分とは何だったのだろう?
わからない分からない、・・・ワカラナイ。
ああ、まるでままならない。
これではまるで赤ん坊・・・あれ?私は赤ん坊ではなかったか?・・・赤ん坊って・・・何?
定義が崩れる・・・
世界は崩れる・・・・
自分なんてものはとっくの昔に崩れている・・・
まだ、・・・まだかろうじて言葉を発する。が?
なんだ?
私は何を話しているのだろう。
何を語り紡いでいるのだろう?
まるで秩序がない?
ちがう、ああ、でも・・・・
私って今までどんな喋り方・・・してたっけ?
ああ、
ああああ、
溶解する(ぼやける)・・・
溶解する(とけだす)・・・
溶解する(とけきってしまう)
ああ、私はどんな姿だったか?
まだ、ぼやけてるけど・・・なんとなくわかる。
でも・・・・・私・・・・
どんな顔で笑っていただろう。
第一章 自己消失 1-1 夢 ―小説
THE DOLL BELIEVES HIS DREAM・・・
私には大切な人がいる。
あまりに大切で、計り知れないくらい愛している。
愛しているがゆえに、私は彼女のすべてを独占せずにはいられない。
ああ、彼女にあるすべてを自分色に染め上げたい。
いや、いっそのこと彼女の存在全てが、
私という物質により構成されていてくれればどんなにうれしいか、
どんなに安心か、
どんなに満足か・・・
だが、けしてそれらはかなうことなどない。
この身は所詮、ただそこにあるという意味しか持たぬ者、
自らではこの身一つすら動かすことはできない。そんなことできるはずもない。
わたしは天を恨んでいた。
ただただ、恨み続けていた。
そんな時、蛇が林檎をくれたのだ。
甘き甘き林檎。
その英知の実を私に差し出した。
それは旧約聖書にあるまさにそれ・・・
蛇は、私を楽園より追放するだろう・・
だが、わたしはただただ感謝する。
蛇にただただ感謝する。
そう、これで望みは叶 うのだから