イギリス絵画を考える コンスタブル展① 三菱一号館美術館 | ワクワクしよう~癒されよう~! Feel Freeにアキのふらっとアレコレ♪

ワクワクしよう~癒されよう~! Feel Freeにアキのふらっとアレコレ♪

二人の娘は独立
プレリタイアライフを楽しんでいます♪

引っ越し、海を跨いで11回
いろんな価値観に触れて揉まれて
世界は無限に広がっていて
こうあるべきは一つもないと

これからも柔らかな心で、導かれるように、ワクワクしながら歩いていきたいです♡

おはようございます

あきです
 
 
 

★一部携帯からブログが読めなくなっていた(画面がすぐ閉じられてしまう)障害があり、アメブロ 事務局さんに対処してもらいました。教えてくださったウールさん、障害の状態を確認してくれた友人の皆様、ありがとうございました😊





三菱一号館美術館で開催されている
コンスタブル展へ行ってきました
 
 
 
 
コンスタブル
少し前まで、誰?な認識でした
 
イギリスの画家ってイタリア辺りの画家に比べると存在感がとても薄くて、やっとターナー辺りから、あーイギリスのあの風景画ね!な認識
 
なので、今日はイギリス絵画について復習しておこうかなと。。。
コンスタブル展そのものについては次の機会にと思っています
 
というのも、ターナーでも1800年代前半の活躍でしたから、いかにイギリスの画家が育ってないか…なんですよね
 
なぜイギリスでは画家が育たなかったか?
 
やっぱりそれは1500年代の(イタリアでは盛期ルネッサンスの頃)のイギリス国教会の成立辺りが関係していそう
 
ヘンリー8世の6度にわたる離婚問題は、離婚を非とするカトリックと対立して教皇パウルス3世から破門されイギリスの宗教改革へ発展していきます
 
ホルバインのヘンリー8世
 
破門されたヘンリー8世は怯まずイギリス国教会を打ち立て、教皇抜きのカトリシズムを目指します
そして国王の方が教皇より強いという絶対王政を強化していくのですが・・・
 
男子後継者だったエドワード6世は若くして亡くなり、次の後継者だったジェーン・グレイはプロテスタントだったために即位わずか9日で処刑され・・・涙
 
ポール・ドラローシュのレディ・ジェーン・グレイの処刑
 
次の後継者、ヘンリー8世の娘のメアリー1世は「ブラッディメアリー」と恐れられるほどガチガチカトリックでプロテスタントを弾圧
 
アントニス・モルのメアリー一世像
 
メアリー1世が亡くなると生涯独身で過ごし自ら「ヴァージンクイーン」としてイギリス絶対王制の地位を確立していったエリザベス1世が即位
もともとプロテスタントだったのだけれど、国民のカトリックVSプロテスタント を解決するためにヘンリー8世の作ったイギリス国教会を完成させます
 
エリザベス1世
 
が、1600年代半ばのピューリタン革命(イギリス国教会に否定的なプロテスタンティズムを掲げる清教徒が絶対王政に反対し宗教的自由を求めた)が起きるまで
修道院の破壊やイコノクラスム(聖像破壊運動)が続き、いわゆる宗教画が残らない素地が出来上がってしまったのね~
 
ピューリタン革命で処刑されたチャールズ1世とその側近たちは絵画のコレクショナーとして有名ですが、ほとんど外交上の贈り物だったり本人が美術アドバイザーの助言のもとに購入したヴェネチア派など海外作品ばかり、それも見てみると神話画が多いですね
で、イギリスの画家の物は無い? あるのかしら?
 
チャールズ1世コレクションは競売にかけられ、ベラスケスの助言を経てスペインハプスブルグ家のフェリペ4世コレクションへ、そして今プラド美術館にあるのです
 
ロンドンホワイトホール宮殿の天井画もルーベンスがイギリス訪問した際に依頼されて描いてますし
主席宮廷画家のアンソニー・ヴァン・ダイクもルーベンスの筆頭弟子でフランドルの画家ですし
 
そもそも
 
イギリス人は美術をそれほど好まず系図をたいそう好む
 
と20世紀のイギリス美術史家ケネス・クラークは言っています
 
そうなのよ、歴史画より宗教画より肖像画を好む国民性なのよね
 
18世紀に初代ロイヤルアカデミー会長となったレノルズも歴史画の重要性を訴えるも、聞く耳持たずでやはり肖像画人気なんです・・・
 
昨年のロンドン・ナショナル・ギャラリー展でのレノルズのレディ・コーバーンと三人の息子
 
 
風景画の地位はもっともっと下だったのですが
それでもグランドツアーの流行などでカナレットの絵や、クロード・ロランなど100年前のイタリアの風景画が流行るなど、風景画の嗜好が段々高まってきます
 
19世紀にアカデミーに反発したラファエル前派を評価したジョン・ラスキンがやはり評価したのがターナーの風景画だったわけなのですが
 
そのターナーがライバル視したのがコンスタブルでした
 
 
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展でもターナーの「ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス」の真正面にコンスタブルの「コルオートン・ホールのレノルズ記念碑」がありましたね・・・
 
image
ターナーのポリュフェモスを嘲るオデュッセウス
 
image
コンスタブルのコルオートン・ホールのレノルズ記念碑
 
ターナーが
「自然に対する人間の力の勝利」を打ち出すのに対し
 
コンスタブルは
「いかにも絵になりそうな自然を写すのではなく、無から有を生じさせるのが画家の仕事。その時絵は必然的に詩になる」と自然を直視することを重視します
 
 
 
 
今回展覧会を見てきて思うのは
これは好き嫌いが分かれそう…
 
というのもモネやシスレーのような印象派の光を大事にするいわゆる目に美しい風景画とか
 
image
モネのヴェトゥイユへの道(2018年フィリップスコレクション展から)
 
クロード・ロランやニコラ・プッサンのような
歴史画のような重厚感のある風景画ではないし
 
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展からクロード・ロランの海港
 
空はどんより曇って重苦しいし
森の木々は鬱蒼として光が透けて見える隙もない
 
ザ・グローヴの屋敷、ハムステッド
 
 
ただただこの地を愛しこの地だけを描きたいという画家の頑なまでの信念が透けて見えるよう
 
そう考えると、画家がこの絵の何を愛し何を描きたかったかが見えてきそうです
 
 
今回の展覧会での私なりの見所は次の3つ
 
▪️ 水彩画と版画
▪️ ターナーとの対決
▪️ 後期作品は必見
 
 
 
というところでしょうか
 
そのあたりについては長くなってしまったので、またの機会とします^^
 
 
 
今日も皆様にとって素敵な一日でありますように