昨日は安永徹さんが九響に登場

ご存知の方も多いかも知れませんが、安永徹さんの父君、武一郎氏は九響の永久名誉指揮者にされているほど、九響の草創期に九響の基礎固めに尽力された方。
ウィーンで学ばれ、日本では福岡教育大の教授として教育活動にも熱意を発揮された方。
今回は安永徹さんと市野あゆみさんというご夫妻の登場です。
会場はいつものアクロス福岡シンフォニーホールとは違い、FFGホール、昔で言う福岡銀行本店ホールです

確か黒川紀章さんの設計した福岡銀行本店ビルの地下にあるホールで、客席数は1000人にも満たないので、こういう演目向きで、現在の九響の定期演奏会、天神でクラシック、名曲・午後のコンサートという3つのシリーズのうち、天神でクラシックがこのホールを利用しています。
アクロスが非常によく響くホールなのに対して、こちらは残響が少な目なので、オケにとってはちょっと厄介かも。
コンサートは1曲1曲、冒頭に安永さん自身がマイクを持ってユーモアを交えて解説してくれるという形式。
安永さんがコンマスで弾き振りなので、普段のコンマスの扇谷さんはフォアシュピーラーという、普段の九響ではお目にかかれない光景でした。
また配置も通常とは異なり、下手より1.Vn、Vc、Va、2.Vn、そして下手奥にCbというかつて一般的だった対向配置でした(クレンペラーやクーベリックお気に入りの配置で、私も好きです)。
まずはヴォルフ。
まぁ、リート好きでない限り、この作曲家を聴くとなればこの作品しかないというくらいの有名曲ですよね。
ヴォルフと言えば、ウィーンの音楽院始まって以来の問題児で退学処分を喰らい、さらには反ブラームス派の旗手として激しくブラームスを攻撃し、ブルックナーを擁護した人でした。
さらには梅毒から精神を病むという、波瀾万丈の生涯でしたが、リートもこの作品も繊細この上ない音楽です。
モーツァルトの最後のピアノ協奏曲。
安永さんは解説で、これは決して彼の死の直前の音楽ではなく、これが最後のピアノ協奏曲となると覚悟して書いたわけではなく、もっと書きたかったはずと仰りました。
誠にその通りだと思いますが、とは言えその前の作品である所謂「戴冠式」協奏曲と比較しても、曲の透明度と簡潔さは段違いなものがあると思います。
安永さんはさらに「競走曲」ではなく、ピアノはオケを聴き、オケはピアノを聴くまさに「協奏曲」だと述べられ、そこにも注意して聴いて欲しいと仰りました。
それを裏付けるように、特に第2楽章のピアノへの管楽器の寄り添い方は特筆すべきものがありました。
後半はヤナーチェクでスタート。
個人的にはヤナーチェクなんかは、年に1回CDで聴くかどうかというレベルの作曲家なので、この曲も初めて聴きました。
いや、これがなかなかの佳作。
多分、ヤナーチェクの作品だよと指摘されずに聴けば、彼の作品とは思えないほど、後年のヤナーチェクの雰囲気が感じられません。
当然、私には聴きやすい(笑)
メインはK550番。
基本的にほとんど指示のある限りリピートがなされていました。
引きずるように演奏されることもある第2楽章も、ロココの軽やかなテンポで進みました。
また第3楽章は、主部のメヌエットとトリオとの間に大きくパウゼを取ったほか、トリオのテンポも落とし、管楽器の美しさをたっぷり楽しめました。
第4楽章は再現部のリピートが無かったですが、休符の扱い方が面白かったです。
音価より少し長めのパウゼを取り、ちょっと一昔前の巨匠時代のそれを思い起こしました。
そして、アンコールというわけではないですが、昨年は九州で自然災害が多く、その犠牲者を悼むために、G線上のアリアで締めくくりました。
その紹介をするときに、安永さんが思わず言葉に詰まったのが、本当にこの方は心の優しい方なのだなぁと、こちらもホロリときました。
それにしても、九響は完全に安永さんに魅せられて「大きな室内楽」を楽しんでいたかのようです。
是非また共演して頂きたいです♪