【再掲載】《トレード方針&為替分析》 企業物価指数から考える日銀の利上げ決定 | ファンダメンタルなアウトローのFX

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この話、来月以降の円相場の参考になると思います。

6月に発表されるCGPIデータも重要になるでしょう。

 

 

 

 企業物価指数(CGPI)とは?

 

そもそも、企業物価指数という経済指標はなじみがありません。これ迄注目されませんでしたから。しかしそれは、日銀が断固として超低金利を維持してきたからです。日本は2024年3月19日に利上げを実施しました。企業物価指数は「日銀の利上げを判断するのに適した経済データの1つ」ですから、俄然注目度が上がっています。

 

まず経済指標の解説から始めましょう。

 

 

【解説】

企業物価指数(CGPI:Corporate Goods Price Index)は、日本における企業間で取引される商品やサービスの価格変動を示す経済指標です。この指標は、企業が購入する商品やサービスの価格がどのように変動しているかを追跡し、企業の生産コストや販売価格に関する情報を提供します。CGPIは、企業の収益性やインフレ圧力を理解するための重要なツールです。

企業物価指数の特徴と構成

  1. 指数の範囲とカバーする商品

    • CGPIは製造業、農林水産業、鉱業などの幅広い産業で取引される商品を対象としています。
    • 具体的には、原材料、中間財、製品、エネルギー、サービスなど、多岐にわたる商品が含まれます。
  2. 基準年と指数の計算方法

    • CGPIは基準年(2020年を100とする)の価格を基準にして、他の年や月の価格を指数化します。
    • 基準年は定期的に見直され、最新の経済状況を反映するように更新されます。
  3. データ収集と計算

    • CGPIのデータは、日本銀行(Bank of Japan)によって収集され、毎月公表されます。
    • 企業から収集された価格情報をもとに、加重平均を用いて算出されます。
  4. 国内企業物価指数と輸出入物価指数

    • CGPIには、国内企業物価指数(Domestic Corporate Goods Price Index, D-CGPI)と、輸出入物価指数(Export and Import Price Index, EPI)があります。
    • D-CGPIは国内取引の商品価格を対象としており、EPIは輸出入に関する商品価格を対象としています。

企業物価指数の重要性

  1. インフレ指標としての役割

    • CGPIは消費者物価指数(CPI)とともに、インフレの動向を把握するための重要な指標です。
    • CGPIの上昇は、企業のコストが増加し、それが最終的に消費者価格に転嫁される可能性を示唆します。
  2. 経済政策の参考

    • 日本銀行や政府は、CGPIを参考にして金融政策や経済政策を策定します。
    • インフレターゲットの達成や景気刺激策の効果を評価するために、CGPIの動向が重要です。
  3. 企業経営の指標

    • 企業はCGPIを用いて、自社のコスト管理や価格戦略を立てる際の参考にします。
    • 市場の価格動向を把握することで、競争力を維持し、適切な価格設定を行うことができます。

 

 

 

 データ分析

 

 

上記は、CGPI(前年比)と比較用にCPIコアコア(生鮮食品&エネルギー価格を除く)(前年比)を載せたグラフです。

 

CGPIは2021年序盤から急騰をはじめ+10.0%を超えました。その後に0%近傍まで下がり、2024年に入って反転上昇の兆しがあります。CPIコアコア(以後CPI)は、2022年に上昇をはじめて2023年夏から徐々にダウントレンドへなりつつも、いまだ高い水準を保っています。

 

さて、2024年になって上昇し始めた理由ですが、「直近の原油や海運コストの高騰」が考えられます。いわゆるコストプッシュ・インフレ(材料費高騰による物価上昇)です。

ガザ地区で行われているイスラエルとハマスとの戦闘は、日本のインフレにも影響を与えます。

 

 

スエズ運河や紅海は戦闘地域で、コンテナ船はミサイル攻撃のリスクがあります。よって喜望峰(南アフリカ)経由で運行されてコスト上昇になりました。コンテナ価格、保険料は上がり製造コストに響いている訳です。他にも原油高騰(2023年10月にバレルあたり90ドル)になっていた。これらが反映されたのだと推察されます。

 

日銀の植田BOJ総裁も、直近のインフレはコストプッシュと述べていて、コストプッシュが理由で利上げすることはないとも述べています。戦争が終われば下がるといった相場要因がインフレの原因なら、利上げの理由にならないという意味ですね。日銀が動くのはファンダメンタルが安定的に向上してインフレが発生したケースになるでしょう。

 

 

直近データから考察すると、CGPIの側面から利上げの可能性は低そうです。

 

 

 

 

 円相場への影響を考察

 

企業物価指数(CGPI)データを観察する限り、直近で日銀が利上げする理由にはならないでしょう。その意味において円安要因となっていると思います。

 

しかし、CGPIが夏以降も上昇を続け、CPIがその影響を植え蹴るようになれば評価は一変します。材料費高騰が主な理由のうちは日銀は動きませんが、日本ではいくつかインフレが萌芽しつつあります。

 

 

春闘の賃上げ

3月の春闘は画期的な賃上げでした。賃上げは工場の出荷価格(=CGPI)に影響します。実際の賃上げ効果は6月以降になるようで、CGPIに反映されるのは更に後でしょう。しかし、反映されるようになれば、利上げ論は再浮上するでしょうし、それを期待した円買いはもっと早く始まるでしょう。

これらを踏まえると、年内の利上げ論はあり得る状況とも判断できます。現在は円安要因でも、もうすぐ逆転する可能性があります。

 

 

製造業の復活

 

 

日本では半導体工場が急ピッチで複数作らています。中国の景気後退、人件費上昇、そしてカントリーリスク(中国でビジネスをする危険性)が意識され、工場を日本へ移転させる動きがでてきました。半導体に限らず多くの企業が国内回帰をはじめています。

また、コロナショック時に「極度の半導体不足に襲われた経験」から、半導体の自国生産(内製化)が認識されて工場が作られています。

 

これら製造業の復活も、CGPI上昇に寄与するとされます。雇用が良くなり人手不足になれば、賃上げが進むでしょう。工場誘致で景気向上もインフレ要因になります。

 

 

 

 

 まとめ

 

これを踏まえると、

直近では利上げを誘発するようなインフレは起きていません。一方で、近い将来には有意のインフレデータが見られる可能性があります。お盆過ぎころのデータが、どうなっているかは興味深いところです。年内利上げを示唆するかもしれません。

 

 

 

記事は以上です

2024/5/18

 

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