〔米国〕消費者物価指数(CPI) 事前考察&ドル相場 | Fundalia since 2007

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トレンド&リスク戦略というファンダメンタル手法を使ったFX投資
為替を最も値動きさせるのはFOMCや金融政策
ならば金利を重視して投資するのが賢いでしょう

FXトレードは、相場トレンドを読み解く力によって勝算を高めることができます。読み解くための材料になるのが経済指標と言えるでしょう。為替世界は「アメリカ経済のシェア率が高い」ので、まずアメリカの情報を確認するのが大切です。

 

 

 

 

  背景

 

5/1FOMCを控え、さらに6/12FOMCで利下げ思惑が強まっている中、消費者物価指数(CPI)が発表されます。もし強いデータであるなら、FOMCの利下げ観測は高騰しドル/円は更に高みを目指すでしょう。日本当局が忍耐できず為替介入へ打って出る可能性も高まります。

 

FRBの金融政策が分岐点にある為、判断材料として非常に注目されます。

 

 

 

  経済データ

 

まずCME金利予測は、下記のようになります。

3/20FOMCでは「年3回の利下げ」が予想の中心でした。しかし、直近の要人発言を聞くとボスティック・アトランタ連銀総裁は「年1回が妥当」といい、4/6にボウマンFRB理事は「利上げの可能性」について示唆しています。経済指標データも、金利の高止まりを肯定するものが多くありました。

 

マーケットも利下げ時期が6月になる確率が下がっています。現状では利下げ確率は54.0%ですが、もともとは100.0%近かったのです。下記の金利予測を見る限り、夏から秋にかけて最初の利下げが行われると予想しているようです。

 

 

2024/2/13 時点の金利織り込み(CPI発表前)

 

 

米PCEデフレータも確認しています。

最新のデータであるPCEデフレータ、PCEコアデフレータは、下記のような動きをしています。2022年春から順調に下がってきましたが、2024年に入って下落が鈍化。インフレターゲットへの道のりが厳しくなっている兆しが見えます。

 

このフラット化が、直近のドル/円相場を支えてきました。

CPIはこのデータに追随するのか、新しい材料を提供するのか?

そういう話になるでしょう。

 

 

 

 

 

  インフレ率と金利と為替の関係(基礎知識)

 

【基礎知識】

インフレ率(=消費者物価指数)は、経済指標の中でも非常に注目されます。しかし、消費者物価指数そのものが重要な訳ではありません。消費者物価指数が金利に強い影響力を持っていることが重要なのです。多くの投資家が勘違いしている点でもあるでしょう。消費者物価指数が金利を動かすようなデータであった場合、為替に大きな影響を与えます。

 

インフレと金利、そして為替相場の関係は下記図によって説明できます。

 

 

金利差理論の理論モデル

Fundalia(ファンダリア)が推奨するファンダメンタル投資は、この理論モデルを基礎に置いて行われます。インフレ率が上がれば為替はどうなるのか?そしてインフレ率が上がるには何が必要か?こうした知識を持つことで、少し遠くの為替相場を見通すことができるようになります

インフレが上がってから、為替が上がるまでにタイムラグが存在するからです。

 

 

【豆知識】

アメリカにはインフレ率に関する経済指標が数多くあります。消費者物価指数、生産者物価指数、PCEデフレータ等々です。このうち代表的なものが消費者物価指数とPCEデフレータです。つまりアメリカには、インフレ率が2つある事を意味します。

 

消費者物価指数(CPI)は「最も注目されるインフレ率」です。知名度も高く注目度は高いです。またPCEデフレータより先に発表されるため、速達性にも優れています。

 

PCEデフレータは「最も重要なインフレ率」です。FRBはインフレ率が2%になるよう行動することが求められています。高ければ利上げ、低ければ利下げをしますね。ここでいうインフレ率とは「PCEコアデフレータ(前年比)」です。CPIではありません。それゆえ重要性はこちらが上となります。

 

ただ、注目度が高いCPIの方が発表後の値動きは荒くなりやすいようです

 

 

 

 

  ドル相場への影響

 

 

予想値や前回値に対して、素直な値動きになるでしょう。

中期的(向こう数週間)に、予想よりかなり強いデータならばドル/円は買われるでしょう。直近で売られただけに、反動で買われやすくなるでしょう。逆に、かなり弱いデータでFRBが利下げ時期を早めるという思惑が立てば、ドル/円は値崩れを起こします。

 

データがFOMCの決定にどう影響するのか?そういう基準で考えるべきです。

 

予想通り近傍だった場合、不透明さがありながらもドル買いになるとFundalia(ファンダリア)では想定します。インフレが下がらなかったと評価され、PCEデフレータと同じ認識を持たれるためです。

 

ただ、事前見通しだとやや弱いデータがでそうだと報道されているようです。過信しない程度に参考にしてください。

 

ドル上矢印 利下げ期待下矢印 長期金利上矢印 米国株価下矢印

 

 

 

発表直後のドル/円

 

発表直後の短期的なドル/円は次のように動きます。

現在、為替先物(シカゴ通貨先物)では非常に大きな円売りポジションが形成され、近年で最高水準となっています。このポジションの一部はCPIが強いデータになるという期待・予測に基づいたポジションとされ、CPI発表後に利益確定されます。

 

予想通り程度の結果ならば、発表後に利益確定のドル売りが発生するでしょう。稼いだのでいったん手仕舞いという取引が起こるためです。

それがもし、CPIが弱いデータだったケースでは非常に強い円売りポジションの解消(利益確定)が行われます。ドル/円が値崩れするシナリオを考えた場合、このポジション解消が主因になるでしょうから、それを誘引するデータだった場合にはCPIショックになる可能性があるでしょう。

 

これに巻き込まれないようにしましょう。

下記図は通貨先物のポジション(ネット)で、直近では15万枚に及ぶ円の売り越しとなっています。赤線(ドル/円)と反相関しているのが読み取れると思います

 

 

青い棒グラフが下に伸びるほど円安圧力となる

 

 

 

為替介入(日本)

CPIとは直接関係ありませんが、もしCPIが強ければドル高になり、結果的に当局による為替介入の確率は上昇します。投資家達は真剣にビビるため、152円や152円50銭といった区切りに達すると、利益確定が入りやすくなります。介入への警戒感から、ドルの上値はある程度抑え込まれそうです。

 

また、実際に介入するならCPIの翌日は危険日だと思います。

 

 

 

 

記事は以上です。

2024/4/10

 


個人投資家には、ファンダメンタル分析が必要です。金利を読み解ければFXトレードは格段に向上します。金利を読み解くノウハウを、Fundalia(ファンダリア)では教えています。テクニカル分析だけでFXをする時代は終わりました。

 

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