〖FX投資の相場観〗 近未来、ドルの行方 | Fundalia since 2007

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トレンド&リスク戦略というファンダメンタル手法を使ったFX投資
為替を最も値動きさせるのはFOMCや金融政策
ならば金利を重視して投資するのが賢いでしょう

 

 

 

FOMCが描く2024年の利下げスケジュール

 

ドル相場を考えるとき、まず金利から考える必要があります。他の要因は「金利にどう影響するか?」というものに過ぎません。

3/20FOMCでは、金利ドットプロットにて「年3回の利下げ」が示唆されています。そして、4/2のパウエルFRB議長発言では、「急いで利下げする必要はない」とも述べています。

 

そうした見解を踏まえて、Fundalia(ファンダリア)では2024年利下げスケジュールを作成しました。

 

  ・日程は2024年のFOMC日程

  ・日程の色付きは「FRB経済予測&金利ドットプロットの発表日」

 

もちろん、これが唯一の答えではありませんし、経済データによって変化することはあるでしょう。しかし、相場予測(考察)を進めていくにあたり、基準になるデータは必要なはずです。このスケジュールを基準に置いて、これより早まるのか?遅くなるのか?判断することでドル相場を理解し易くなります

 

 

 

 

経済指標データの確認

 

まず、2つほど経済指標データを見て頂きます。

 

 

1つめは、ISM製造業景況指数&ISM非製造業景況指数で、アメリカ経済の景況感を確認できます。どちらも50.0を上回ってきました。とくに製造業は明らかに立ち直りつつあります。生産が改善していることは、消費が強いことの裏返しでしょう。企業在庫の調整が終わったことも、要因にありそうですが。

 

一方で、サービス業は強さを維持しているもののダウントレンドが続いています。パンデミック後のアメリカ経済復活は、サービス業によるところが大きかったのですが、少しずつ弱くなってきました。4/2発表のJOLTSでは、求人数が900万件を大きく割り込みましたが、サービス業の求人が減っているようです。

 

それはISM非製造業景況指数(雇用)からも、読み取ることが出来ます。

 

FRBもベージュブック等で、雇用はなお強いが改善されつつあると報告している

 

 

 

 

次にPCEデフレータ&PCEコアデフレータを見ていきます。

これが現在、大問題となっています。2024年に入り、デフレータのダウントレンドに明らかな陰りが見えます。イスラエルによるガザ侵攻の影響もあってか、直近で原油価格が上昇した影響もあるでしょう。しかし、アメリカの経済指標を俯瞰すると強いデータが増えています。とくに消費系の指標は強く、住宅価格も急騰しています。

 

ただし、中身を見ていくとPCEコアデフレータの上昇分の多くはサービス価格や家賃関連が大半を占めます。モノ(商品)のインフレはほぼゼロに等しいところまで下がっています。

つまり、サービス業の景気悪化が進めばPCEコアデフレータは下がることを意味します。ISM非製造業景況指数が徐々に弱くなっているのは、利下げ実施に対して心強いデータになるでしょう。

 

景況感とPCEコアデフレータは、セットで見ていくべきと考えます。

また、PCEデフレータが上昇に転じたのは、エネルギー価格(原油)の上昇を織り込んでと考えられます。つまりコストプッシュインフレであるため、一過性と考えられます。原油高騰が長期化した場合、再度考察すれば良いと思われます。

 

 

4月の雇用統計、消費者物価指数(CPI)、小売売上高などのデータが揃うと、景況感やインフレについて、また新たな思惑がでてきます。データがファンダメンタルを修正して金利を動かし、ドル相場はそれに沿って値動きします。

 

 

 

 

為替(ドル相場)の行方

 

不確実性が高い相場観である事は変わりません。しかし、論点は比較的整理されていると思います。ここでは、アメリカサイドから見たドル/円に絞った説明をします。

※日本の為替介入や利上げには触れないので、別に考察する必要がある

 

 

Fundalia(ファンダリア)は、9/18をXデー(最初の利下げ日)と仮定して話を進めています。しかし、マーケットではもっぱら6/12のXデー説が有力です。これが実現する可能性は十分にあるでしょう。

ただし、PCEコアデフレータが再度下がる必要があります。4月末、5月末と発表機会があと2回あり、ここのデータ次第で方向が決まるでしょう。おそらく現時点で結論はだせません。

 

直近のマーケットは「ターミナルレートの長期化(利下げ時期の遅延)」が勢いを得ています。長期金利が、一時的に4.4%へ達したことが証拠となります。ドル/円が高止まりしているのは、このためでしょう。

 

論点がはっきりしていると述べたのは、この証拠が固まるのか、崩れるのか?を見ていればドル相場を容易に予測できるからです。つまり、ドルが売買される理由はとてもシンプルという事で、それを判断する材料もシンプルです。

逆に言えば、この話が曖昧なままであるうちは、ドルがジリジリ買われるでしょう。

 

 

そして、もう1つ付け加えておくならば、

現在のドル/円相場は、過剰なほど円やポジションが積み上げられた状態です。IMM(CME)の為替先物は18万枚を超える円売りポジション(NET)と史上空前のボリュームになってきました。大きな相場が起こるなら、このポジションが崩れた時になるでしょう。こうしたポジションは、『必ず、相応の理由を伴って動く』ですから、その理由を見定める必要があります。

 

 

 

記事は以上です

 

2024/4/4

Fundalia(ファンダリア)