フーシ派がテロ行為を続ける背景
イスラム過激派の1つフーシ派が紅海(red sea)やマンデブ海峡(bab el-mandeb)を封鎖しています。イランから軍事援助を受け、恐らくその背後に中国やロシアも存在しているでしょう。
ヘリコプターによる強襲攻撃、対艦ミサイル、小型ボート、ドローンといった各種兵器を揃える、かなり強い軍事組織とされます。彼らはイランから武器提供、訓練支援を受けているだけでなく、旧イエメン国軍の装備を接収しました。
そして、ロシア・中国・イランなど「西側諸国に対抗する勢力」の尖兵となり、重要航路であるスエズ運河から紅海に至る海域にプレッシャーをかけ始めました。
イスラエル軍によるガザ侵攻が始まると、その活動がさらに活発化しています。
世界経済や相場にどういう影響があるか?
日本から欧州、あるいは欧州から日本へコンテナ船やタンカーの商船が往来するには、スエズ運河を経由するのが安価かつ近道です。
しかし紅海での地政学リスクが高まったため、喜望峰周りで運行する商戦が増えました。リスクは避け、やや経済効率が悪いルートを選択したのです。この選択によりいくつか悪影響が出ると予想されます。
航海日数の増大は、使用燃料や傭船費用などかかり、例えばコンテナ1個当たりの輸送費に跳ね返ります。たとえば、日本が経済を回すため、1日1万個コンテナを輸入する必要があるとします。1万個積めるコンテナ船1隻が毎日日本へ来ます。
言い方を変えれば、航路上に配置するコンテナ船が毎日入港する為には、航路上に往来を含めて52隻(26日×2)必要となり、52万個のコンテナを用意します。
しかし、喜望峰を回る必要が出れば68隻(68万個)を用意しなければなりません。コンテナが不足して奪い合いになったのはパンデミック時に痛烈な経験をしました。コンテナのレンタル料が暴騰し、それがインフレ高騰の要因ともなっています。
輸出入する企業にとって、コスト増は避けられないでしょう。
海運コストを観察する代表的指数に「バルチック海運指数」がありますが、直近で「2,300」ほどになっています。極端な価格ではないものの、長期トレンドで考えると高値圏と言えます。高値が長期化するなら、各国のインフレ率に上乗せされていくでしょう。
インフレ要因&利上げ要因として作用する怖れが!
日本が輸入する品物の99%が海(海運)で運ばれます。そのうちの数割がスエズ運河を通過してきました。これら商品価格が地政学リスクによって高騰する場合、それは消費者に価格転嫁されていきます。
写真はアデン湾で商船護衛する自衛隊艦艇ですが、フーシ派への活動を
海上自衛隊はおこなっていません(写真はイメージです)
価格転嫁されれば、消費者物価指数(CPI)に上昇圧力がかかり、CPIが言って以上強ければ利上げや利下げの中止といった行動が見られるようになります。金融政策に制限が生じれば、それは為替相場にも影響するでしょう。
為替相場の基本的なトレンドは、金利が作ります。
金利を作るのは、CPIなどインフレ率です。
紅海の治安回復に、アメリカ軍を含む多国籍海軍が対応していますが、まだ安全確保というニュースは聞こえてきません。
物流が滞ると需要地ではインフレになる。インフレになれば金利が上がり、為替も上がっていく。そういう形でフーシ派の活動は、為替相場にも影響しています。
2024/3/22
Fundalia(ファンダリア)