〔米国〕消費者物価指数(CPI) 事前考察&ドル相場 | Fundalia since 2007

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トレンド&リスク戦略というファンダメンタル手法を使ったFX投資
為替を最も値動きさせるのはFOMCや金融政策
ならば金利を重視して投資するのが賢いでしょう

米・消費者物価指数が発表されます。ファンダメンタル分析の側面で事前考察しました。

ドル相場に関しても、見通しを書いていますので、参考にどうぞ。

 

投資判断は、ご自身の責任で行ってください。

Fundalia(ファンダリア)

 

 

 

 

  背景

 

3/20FOMCを1か月後に控え、さらに2024年に3回の利下げをするというFOMCの示唆を含め、「それがいつ?」「本当に実施されるのか?」が注目されています。直近では、利下げ時期が先延ばしされる可能性が指摘されるようになっています。とはいえ、利下げ方針が取り消しされるわけでもありません。 

 

この辺のバランスを考えるうえで、CPIデータが注目されます。

もし、利下げを肯定するようなデータが出た場合、ドル暴落が見られるでしょう。

 

 

 

  経済データ

 

まずCME金利予測は、下記のようになります。

一時、5月利上げは90%近かったのですが、今では随分弱気(60%)になりました。それでも60%が春に利下げと予測しています。発表後に、このデータがどう変化するかによってドル相場も値動きするでしょう。

 

 

2024/2/13 時点の金利織り込み(CPI発表前)

 

 

PCEコアデフレータの確認もします。

グラフの通り、PCEコアデフレータは順調に下落していてトレンドのままなら、2024年半ばに2%近傍(インフレターゲット)を満たす勢いです。しかし、FRBは必ずしも楽観視しておらず、安易にインフレ終了とは言いません。もう一度、盛り返すリスクを考えているのでしょう。

 

現在、地政学的に不安定で原油も70ドル台、そして海運運賃が高騰気味です。さらにアメリカの不動産価格が強気に推移していて、消費や雇用に関する経済指標も優秀。株価上昇で個人資産が増えていることもあり、利下げが景気浮揚に繋がる可能性があるようです

 

利下げ期待での株価上昇が、逆に利下げを遅らせているのですから皮肉ですね。

 

 

 

 

やや難しい話ですが、先日「アメリカの中立金利が上昇した」という事が話題になりました。一般的な個人投資家はスルーしてしまいそうな話ですが、実はとても重要で「事実上のインフレターゲット上昇」になる可能性があります。つまり、ゴールポストを動かすことに繋がります

 

もし、インフレターゲットが現在の2.0%から2.5%へ変更されたとしましょう。既にインフレターゲットは達成されたと認識され、即座に利下げをおこなうことができます。この過程でドルは大暴落するでしょう。これはまた、FOMCのときに話題になりますがCPIが高止まりすれば、相場テーマになる可能性があります。

 

 

 

最後に、CPIコア指数とCPIの先行データである生産者物価指数(PPI)コア指数のデータです。実は、PPIは既に2%を割り込みました。ゆえにCPIも追って下がっているものと予想されます。このデータがFRBが早期に利下げに動くと予測している投資家の根拠でもあります

 

ただし、CPIコアは4%あたりで下げ渋りを見せている実情もあり、FRBは動きにくいのでしょう。それも含め、今夜のデータは重要です。

 

 

 

  インフレ率と金利と為替の関係(基礎知識)

 

【基礎知識】

インフレ率(=消費者物価指数)は、経済指標の中でも非常に注目されます。しかし、消費者物価指数そのものが重要な訳ではありません。消費者物価指数が金利に強い影響力を持っていることが重要なのです。多くの投資家が勘違いしている点でもあるでしょう。消費者物価指数が金利を動かすようなデータであった場合、為替に大きな影響を与えます。

 

インフレと金利、そして為替相場の関係は下記図によって説明できます。

 

 

金利差理論の理論モデル

Fundalia(ファンダリア)が推奨するファンダメンタル投資は、この理論モデルを基礎に置いて行われます。インフレ率が上がれば為替はどうなるのか?そしてインフレ率が上がるには何が必要か?こうした知識を持つことで、少し遠くの為替相場を見通すことができるようになります

インフレが上がってから、為替が上がるまでにタイムラグが存在するからです。

 

 

【豆知識】

アメリカにはインフレ率に関する経済指標が数多くあります。消費者物価指数、生産者物価指数、PCEデフレータ等々です。このうち代表的なものが消費者物価指数とPCEデフレータです。つまりアメリカには、インフレ率が2つある事を意味します。

 

消費者物価指数(CPI)は「最も注目されるインフレ率」です。知名度も高く注目度は高いです。またPCEデフレータより先に発表されるため、速達性にも優れています。

 

PCEデフレータは「最も重要なインフレ率」です。FRBはインフレ率が2%になるよう行動することが求められています。高ければ利上げ、低ければ利下げをしますね。ここでいうインフレ率とは「PCEコアデフレータ(前年比)」です。CPIではありません。それゆえ重要性はこちらが上となります。

 

ただ、注目度が高いCPIの方が発表後の値動きは荒くなりやすいようです

 

 

 

 

  ドル相場への影響

 

2024年に入ってドル/円は盛り返しています。当初はすぐに下げ戻ると思われていましたが、アメリカ経済が粘り強さを見せつけ、FRB要人は「まだ利下げは早計」と繰り返しアナウンスしています。これにより、利下げを織り込んで売られたドルは一気に買い戻されました。

 

もっともドル/円に関しては、日銀が利上げに動かない態度も円安要因となっていますが。

 

今夜のデータ発表後は、利益確定が強い相場になるでしょう。

直近のドル買いはCPIが強いという予測(ゆえにFRBはタカ派)を織り込み買われています。ゆえにCPI発表を受けて、利食いをする投資家は多いでしょう。それゆえ発表後に強めのドル売りが必ず起きます。これが前提です。

 

 

 

 

もし、弱いデータならば利食いに加えて、狼狽売りもドル売りに加わりますから、CPIショックのような相場になりやすいでしょう。今夜、ドル暴落になる可能性は十分にあるので、それには備える必要があります。ドルは買われ過ぎですから、カウンターを一閃されればどうなるのかそれに巻き込まれたらどうなるのか?は考えておきましょう。

 

逆に、強いデータならFRBがしている利下げは遠のく意見が肯定され、CME金利予測は利下げ確率を減らしながら、ドルは買われるでしょう。この場合、相場観は次のようになります。

 

ドル上矢印 利下げ期待下矢印 長期金利上矢印 米国株価下矢印

 

150円を上抜けする可能性が高いでしょう。

ただ、そのケースであっても発表後1時間ほどは、利食いとの交錯で乱高下すると想定されます。

 

予想通りのデータ場合、乱高下の後にドルは売られると想定されます。利食いがかなり強くなるでしょう。予想通りであっても1円近くドル/円が下がる可能性があります。

 

 

宜しければ参考になさってください。

なお、記事内容に対する責任は負いかねますので、ご自身の責任での活用をよろしくお願いいたします。

 

 


個人投資家には、ファンダメンタル分析が必要だ!

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