〔米国〕コロナ禍が金融に影響するのは実はこれからか!? | ファンダメンタルなアウトローのFX

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ロンドンのカナリーワーフからは英銀HSBCホールディングが撤退し、クレディ・スイス・グルーも近く追随する可能性がある。フランクフルトでは金融街のいわゆる「マインハッタン」からデカバンクが撤退を決め、パリのラ・デファンスでもテナントが次々と撤退している。

 

欧州の金融街の高層ビルは、世界中のオフィス市場を席巻している混乱の影響を最も強く受けており、空き室率は急上昇、評価額は急落し、その痛みはさらに大きくなりそうだ

 

銀行をはじめとする一等地のテナントは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後のリセットの一環として、オフィス勤務をより望ましいものにするため、ウォール街を模したガラスと鉄骨の巨大なタワービルではなく、店舗やレストランに近い場所の小規模なオフィスを選ぼうとしている。また、ホールセールトレーディングからのシフトにより、銀行にとって広大なフロアの必要性も低くなっている。(引用:ブルームバーグ)

 

 

まえがき

 

コロナショック(2020年)は非常にイレギュラーな事件でした。当面の危機は去り胸を撫で下ろしていますが、コロナ禍による本当の金融危機がやってくるのは、実はこれからという意見があります

 

コロナ禍によって、社会・経済・金融に色々な変化がありました。ロックダウン、在宅勤務、サプライチェーン、経済再開後の人手不足、猛烈な利上げ、量的引締め(QT)などです。こうした変化により、これまでの仕組みが捻じれて制度疲労を起こし、金融危機が発生する可能性はあるでしょう。何もないより可能性が高いと思います。

 

リーマンショック(2008年)を事例にすると、リーマンショックの兆しが見えた事件の最初は2007年1月に、米大手証券ベアスターンズ傘下のヘッジファンド破綻がありました。2007年9月にFOMCが利下げに転じ、2007年夏にサブプライム問題が起きています。

更にその背景として、2006年終盤に住宅価格が下がり資産劣化が始まりました。

 

2006年秋を起点とすると、2008年秋のリーマンショックまで2年余りかかっています。このような事が、コロナショック後の世界でも起こる可能性があるのです

 

 

前置きが長くなってしまいましたが、

次の金融危機が何かを想像するとき、今回引用した記事が伏線となる可能性があるため取り上げました。あくまで容疑者の一人という感覚で理解して欲しいです。

 

 

 

記事の解説&解釈

 

記事は、在宅勤務が広がったことでオフィスビルの空室率が激増し、埋まる見込みもないとのことです。もしこの問題が顕著化した場合、不動産証券、大手不動産企業の連鎖倒産、銀行の不良債権、貸し渋り、貸し剥がし、クレジットクランチ(信用崩壊)など様々な方面への波及することが考えられます。予見し得ない新たなリスク要因も発生するかも知れません。

 

バッドシナリオを想定するなら、今から2年程度の期間でリーマンショックのような金融危機、猛烈な不況が襲ってくる可能性があるのです。その頃には、今の報道には全く出てこない言葉、あるいは今は存在しない言葉が発明されているでしょう。

 

少なくとも各国の企業は、オフィス削減によってコスト削減を強く推し進めています。広く、カッコいいオフィスより、安くて現実味あるオフィスへとパラダイムシフト(発想の転換)をしました。

この新常識(ニューノーマル)に移行したことで、経済・金融にも変化します。とりあえずは、コストを削減された側(ビルオーナー、不動産所有者、投資家)が難しい状況になっています。

 

 

 

 

この先どうなるか?

 

不動産と金融危機(リスク)という形で話を進めてきましたが、本質的には労働者のゆとり、人権、働きやすさという「人間の内面」に関わる問題であるため、根は深いものとなるでしょう。これは引用記事中でも指摘があります。

 

仕事の生産性、働きやすさが両立するなら、元には戻らないことになります。

しかし、ビジネスビルは残っていますから、空室のまま損失を垂れ流すリスクがあります。

もしかすると、優良物件はそこに手がでなかった、もう1ランク下の中流企業で埋まるかも知れません。しかし、中流企業が出ていった後のビルはどうなるでしょう?ビル物件は玉突き現象が起こります。

 

誰がババを引き、どのような結末になるかは分かりませんが、不動産価値の劣化が引き金になり、金融危機を招きこむリスクは否定できません。コロナ禍が引き金になっています。

 

記事はフランクフルトやロンドンの金融街シティをモチーフに話を進めていますが、どこで金融危機の端緒を開くかも不明です。シティでなくマンハッタンかも知れませんし、シンガポール、上海、東京かも知れません。

 

長期の観察が必要になりますが、念頭に置いておくことをお勧めいたします。

 

 

2023/7/30

Fundalia(ファンダリア)