前営業日の米国市場の総括です。
為替を知るには株式市場、長期金利、商品市場の知識が必要になります。
2023年5月現在、アメリカでは債務上限問題がリスク化しています。国債が発行できない事態になって、アメリカ政府がデフォルトすれば「米国債が紙切れになる可能性」がでてきます。あるいは「アメリカ格下げによる国債急落(金利上昇)の可能性」もあるでしょう。
これらはFXトレードにも甚大な影響を与えます。
〔米株式〕
18日の米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸。終値は前営業日比115.14ドル高の33535.91ドルとなった。米債務上限問題を巡る与野党協議が進展するとの期待から買いが優勢となった。ただ、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを継続し、米景気を冷やすとの見方が相場の重しとなり一時200ドル超下落する場面もあった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も続伸し、同188.27ポイント高の12688.84と昨年8月19日以来の高値で取引を終えた。
〔米長期金利/国債市場〕
18日の米国債券相場で長期ゾーンは5日続落。表面利率3.375%の10年物国債利回りは前営業日比0.09%高い(価格は安い)3.65%で終えた。米経済指標の上振れや米連邦準備理事会(FRB)高官のタカ派的な発言を受けて、FRBが6月も利上げを継続するとの観測が改めて浮上すると債券売りが広がった。利回りは一時3.6553%前後と約2カ月ぶりの高水準を記録した。
米国債利回り(NY時間16:33)
2年債 4.252(+0.098)
10年債 3.648(+0.084)
30年債 3.908(+0.054)
期待インフレ率 2.243(+0.020)
※文章とデータを抜いた時間が異なる為、少し食い違う場合があります
〔米原油先物(オイル市況)〕
18日のニューヨーク原油先物相場は反落。ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)6月限の終値は前営業日比0.97ドル安の1バレル=71.86ドルとなった。米利上げ停止観測の後退から対ユーロなどでドル高が進むと、ドル建てで取引される原油の割高感が意識され、売られる展開となった。
〔米金先物(ゴールド市況)〕
18日のニューヨーク金先物相場は3日続落。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心となる6月限の終値は前営業日比25.1ドル安の1トロイオンス=1959.8ドルとなった。良好な米経済指標や相次ぐ米当局者からのタカ派発言を受けて米長期金利がこの日も大幅に上昇。金利を生まない金には売りが集まった。
〔VIX指数(恐怖指数)〕
18日のシカゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株価指数オプションの値動きに基づいて算出される変動性指数(VIX、恐怖指数)は低下。4時33分時点では16.32と前営業日の清算値16.87から0.55ポイント低い水準で推移している。
〔米為替市場〕
18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は6日続伸。終値は138.71円と前営業日NY終値(137.68円)と比べて1円03銭程度のドル高水準だった。5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容となったことをきっかけに、全般ドル買いが先行。米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するローガン米ダラス連銀総裁が「現在のデータは利上げ停止を正当化しない」と発言したこともドル買いを促し、4時30分前に一時138.75円と昨年11月30日以来の高値を更新した。ブラード米セントルイス連銀総裁が「インフレに対する保険政策として利上げを続けることを支持する」と述べたことも相場の支援材料となった。
米債務上限問題を巡る与野党協議が進展するとの期待から米国株が底堅く推移したことも投資家心理の改善につながり、円売り・ドル買いを誘った。米共和党のマッカーシー下院議長は「(債務上限交渉)合意に至る道筋が見えている」と述べ、来週にも下院で採決できるとの見方を示したほか、シューマー米上院院内総務(民主党)も「下院通過後速やかに上院でも採決する」との考えを示した。
ユーロドルは3日続落。終値は1.0770ドルと前営業日NY終値(1.0840ドル)と比べて0.0070ドル程度のユーロ安水準だった。米経済指標の上振れや米連邦準備理事会(FRB)高官のタカ派的な発言を受けて、FRBが6月も利上げを継続するとの観測が改めて浮上。米金利の上昇とともに全般ドル買いが優勢となり、一時1.0763ドルと3月27日以来の安値を付けた。
なお、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、6月13-14日のFOMCでは0.25%の利上げ確率が約38%まで上昇し、据え置きの確率が約62%まで低下した。
ユーロ円は5日続伸。終値は149.39円と前営業日NY終値(149.25円)と比べて14銭程度のユーロ高水準。ユーロドルの下落につれた売りが出た半面、ドル円の上昇につれた買いが入りじりじりと値を上げた。米国株や日経平均先物の上昇を背景にリスク・オンの円売りも出て、5時過ぎに一時149.45円と本日高値を更新した。
なお、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比350円高の3万0940円まで買われ、中心限月として2021年2月に付けた高値3万0720円を上回った。
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