大塚国際美術館に行く | First Chance to See...

First Chance to See...

エコ生活、まずは最初の一歩から。

 大塚国際美術館と言えば、西洋絵画の傑作を原寸大で陶板に焼き付け実物そっくりに復元し展示する、世界でも唯一無二、超ユニークな美術館である。私の周りで実際に行ったことのある人たちは口を揃えて褒めていて、私も大いに気になっていたが、先日ようやく羽田空港から徳島空港へ、徳島空港からバスでたどり着くことができた。

 

 

 本物そっくりとは言え、クリムトの「接吻」とかブリューゲルの「バベルの塔」とか、私が実際に実物を見たことがある作品に関しては、本物と比べて少しばかり作品のキラキラ感というのかピカピカ感というのに欠ける気がする。でも、世界各国の門外不出級の大作/名作を横並びで鑑賞できるおもしろさを前にすればそんなのは些細すぎる欠陥でしかない。大きいとは聞いてたけれどダヴィッドの「皇帝ナポレオン1世と皇后ジョセフィーヌの戴冠」は本当に等身大サイズのデカさで大迫力だな、とか、レンブラントの「夜警」って実物サイズだとこんなにも躍動感があるんだな、とか、どれほど高画質でも画集やネット画像じゃわからないものを体感させてくれる。

 

 ましてやそれが一枚の絵画作品にとどまらず、システィーナ礼拝堂丸ごと復元とかになると、いよいよおもしろい。そりゃバチカンの本物の荘厳さとは比較にならないかもしれないけれど、逆に本物の教会ではないからこそキリスト教信者以外の人間もお気楽に楽しめる、とも言える。

 

 

 そう、本物じゃないからこそ、気に入った名画の前で好き勝手に記念撮影できるのもいい。本来、世界各地の美術館にバラバラに展示されているものを、特定のテーマや特定の画家ごとに何の遠慮もなく一ヶ所にまとめて展示されているのを眺めるのもすごく愉快だ。

 

 もちろん、本気の西洋美術研究家や愛好家には物足りないだろう。ゴッホの「ひまわり」とか、陶板の強みを生かして油絵具の厚塗り感を出してはいたが、それでも実物には及ばない——絵画研究には絶対に使えない。でも、私も含め、ほとんどの人は西洋美術の学術論文とは無縁だしね。実物を見るために世界各国の美術館や教会を飛び回る財力も時間もないしね。だったら0か100かにこだわらず、この陶板名画美術館をおもしろがるほうが断然お得なんじゃないかな?