『ゴールデン・リバー』 | First Chance to See...

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 この映画の原題は、The Sisters Brothers。パトリック・デウィットの小説『シスターズ・ブラザーズ』の映画化なんだが、どうしてこんな邦題にしたのかな? 映画公開の直前にツイッター経由で情報が流れてこなければ、私は絶対に気が付かなかったよ。

 

 

 「シスターズ」という苗字の兄弟二人が、「提督」の配下で殺し屋稼業をやっている。「シスターズ・ブラザーズ」は殺し屋としてはとても優秀で、彼らが行くところ行くところ、たちまち死体の山ができる。とはいえ、兄のイーライとしてはそろそろこの稼業から足を洗って堅気の世界に戻りたいと思っているが、弟のチャーリーは仕事の合間はひたすら酒浸り、この先も今の暮らし以外の何かを手に入れられるとは思えない。そんな二人に、「提督」は新たな仕事を依頼してきた。提督から盗みを働いた不届き者のハーマンを殺せ、逃げたハーマンの居処ならモリスという男が追跡している、と。

 

 映画は、ハーマンが盗んだとされる物の正体が明らかになるにつれ、イーライとチャーリーの兄弟にハーマンとモリスを加えた計4人の男たちの物語へと変貌していく。4人の男たちは上手く共謀して「提督」を出し抜くことができるのか、それとも……?

 

 イーライ役にジョン・C・ライリー、チャーリー役にホアキン・フェニックス、ハーマン役にリズ・アーメッド、モリス役にジェイク・ギレンホール。4人の男優はそれぞれにいい芝居をしていい味を出している、と思う。でも、悲しいかな昨今の私はこの手の西部劇を見ていると、人よりも馬に目が向いてしまうのだ。19世紀のアメリカ西部が舞台だから移動手段は基本的に馬か馬車、となると、画面にはしょっちゅう「働く馬」が映ってて、もう気になる気になる(苦笑)。

 

 

 やっぱり、西部劇の醍醐味は馬だよ、馬。背筋をしゃんと伸ばして騎乗するブリティッシュスタイルもいいけど、だらりとした姿勢で馬の動きに合わせてゆらゆらしているウェスタンスタイルもいいよねえ。草原をカポカポ走るだけでなく、山道を登ったり川を渡ったりする時の馬の動きもたまらんよねえええ……という意味では馬好きには堪えられない映画ではあるのだが、冒頭から馬が大変な目に遭うシーンが出てくることもあって馬好きには耐えられない映画でもあるから要注意だ。

 

 ちなみに、2013年に日本語訳が出た原作小説『シスターズ・ブラザーズ』の感想は、こちら。悲しいくらい原作小説の内容が頭から消えた状態で映画を観たので何とも思わなかったが、改めて自分が書いた『シスターズ・ブラザーズ』の感想を読み返してみて、映画では原作小説のキャラクター設定がかなり改変されていたことに今更ながら気付く。ダ、ダメすぎるわ、私……。