「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」 | First Chance to See...

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 私の大好きなリチャード・アダムスの長編小説『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』を、BBCとNetflixが共同製作でCGアニメ化。全4話が早速Netflixで配信されたので、待ってましたとばかりに飛びついて全話を一気見した。

 

 

 CGアニメのうさぎと言えば、最近では「ズートピア」とか「ピーター・ラビット」のような少々擬人化されたもふもふうさぎを思い出すけれど、それらに比べると「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」のもふもふは少々物足りない気もする。大作CGアニメに目が慣れてそのありがたみを忘れかけてたけど、やはりCGアニメで柔らかな毛皮のもふもふを表現するのは今でもそれなりにコストと手間がかかるのだろう。でも、「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」をしばらく見続けていると、生活環境によってうさぎの毛並みの良し悪しが巧みに描き分けられているのが分かって感心した。

 

 「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」はリアルな野うさぎの話である。勿論、本物の野うさぎは独自の神話体系を持っていたり仲間同士でおしゃべりしたりしない生き物だから、多少のデフォルメは必要だ。加えて、野うさぎという動物は素人目にはどれも同じに見えるので、ある程度描き分けてくれないとキャラクターの区別がつかない——正直、喋り出してくれないと誰だかわからないうさぎは結構いた。

 

 逆に言うと、声優の声でうさぎのキャラクターを区別できないと困るわけで、そういう理由からなのか、うさぎたちの声を担当する俳優陣はとにかく豪華だった。

 

 主人公うさぎのヘイズルが、ジェームズ・マカヴォイ。ヘイズルの弟で、予知能力はあるけど小さくて弱々しいファイバーが、ニコラス・ホルト。ジェームズ・マカヴォイとニコラス・ホルトが兄弟役で共演というだけでもわくわくするが、こんなのはほんの序の口だ。

 

 体がでかくて喧嘩っ早いビグウィグが、『スター・ウォーズ』シリーズのフィンことジョン・ボイエガ。単細胞で短気だけど根はいいヤツなビグウィグに、これほどふさわしいキャスティングがあるかしら。ちなみに、ビグウィグ(Big Wig)は頭にトサカのように黒っぽい毛が生えているうさぎなので、一番見分けのつけやすいうさぎでもある。

 

 私の一番のご贔屓うさぎはタフで冷静沈着なキャプテン・ホリーだけど、そんなホリーを担当するのはフレディ・フォックス。キツネだけどウサギ!

 

 故郷の村を人間に壊されるというファイバーの予知夢を信じて旅に出たヘイゼル一行が、旅の途中の村で出会った、踊るうさぎことカウスリップがロリー・キニアで、人懐っこいストロベリーがオリヴィア・コールマン。ううう、何て贅沢な配役なんでしょう。

 

 うさぎたちの神話体系に出てくる伝説のうさぎ、エル・アライラーがタロン・エガートンで、インレの黒うさぎがロザムンド・パイク。そんなに出番が多くない役ですら、これだけのキャスティングなんだもの。ほんと、豪華。

 

 他にもまだまだ凄いキャスティングはあってこんな調子で列挙してたらキリがないけど、最後に私が特筆したいのはカモメのキハール役のピーター・カパルディ! もうね、よくぞ当ててくれました、と言う他ないわ(感泣)。

 

 物語の大筋は、原作小説の通り。勿論、若干の変更点はあって、原作の愛読者としては「あ、あれ?」と面食らったりしたものの(ヘイズルたちの故郷の村が破壊されるシーン、原作では人間たちはうさぎ穴に毒ガスを流し込んでいた。今ではそういうえげつない大量殺戮方法はイギリスでは許されていないのかも)、私としては十分許容の範囲内だった。何より、原作ファンならあのラストシーンに思わずガッツポーズだよね? 私なんかテレビを観ながら「よっしゃあああ!」と叫んじゃったよ。