萩尾望都SF原画展 | First Chance to See...

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 武蔵野市立吉祥寺美術館で開催中の、「萩尾望都SF原画展」に行ってきた。

萩尾望都SF原画展チケット

 萩尾望都先生は、私にSFに何ができるかを教えてくださった大恩師である。SFなんてまったく興味のなかった中学生の頃、たまたま先生の『A-A'』を本屋で立ち読みして泣かんばかりに感激し、涙目でレジに持っていったことは今でも忘れられない。『A-A'』をきっかけに、『11人いる!』を読み、『百億の昼と千億の夜』を読み、『スター・レッド』を読み、『ウは宇宙船のウ』を読んだ。

 思い出すだに、何と幸せな読書時間であったことか。

 という訳で、今回の展覧会だけは何が何でも行かねばならぬと思ってはいたが、生まれて初めて拝見した萩尾望都先生の生原稿は本当に本当に美しかった。そりゃ、美しく丁寧に描かれたイラストはこの世にごまんとあるだろうけれど、マンガって基本、1枚を仕上げて終わりじゃないしね。1枚の絵をしげしげと見てもらうためではなく、次から次へとページをめくってもらうために描かれるものだしね。それで、このクオリティですか。繊細すぎてマンガ雑誌のザラ紙に印刷したら見えないよ、というレベルの線と点に、もうね、溜息とヨダレしか出ませんって。

 ちなみに、今回私が見た中で一番「実物と印刷のレベルが違う!」と感じたのは、ロジャー・ゼラズニイの『光の王』の表紙絵だった。しようがないとは思うんだけど、生原稿のかっこよさが文庫本の小さいサイズでは伝わらないんだよ。あああ、もったいねええええ。

 もったいないと言えば、この展覧会、何と料金はたったの100円! 確かに会場は狭いけど、マンガの原画ってもともと大きなものではないから、作品の点数は結構ある。これで100円はお値打ちすぎる、っていうか、料金を3倍増しにしてもいいから、今度は『トーマの心臓』とか『ポーの一族』とか『メッシュ』とか、「萩尾望都SF以外原画展」もやってくれないかしら……?