[崖の上のポニョ」はシュメール神話を描いている
「崖の上のポニョ」は シュメール神話を描いている
イナンナ(イシュタル)の聖婚
このエッセイはメルマガからの抜粋です。
こんにちは。マユリです。
久しぶりに、ジブリの 「崖の上のポニョ」 がテレビで放映されました。「大津波」を描いていたことから、しばらく再放映がストップされていたようですが、そろそろ時効になったようです。
この映画が公開される1年ほど前、マユリのお客さんの中にも、なぜか人魚のビジョンを見る方が複数おり、不思議に思った事を覚えています。
人間の潜在意識は、無意識に「近未来におきること」を感じ取り、それが夢や芸術的なイメージ、ビジョンとして現れることがあります。 当時、複数の人々が人魚のビジョンをみたということは、「人魚に象徴されるあること=津波」を、彼らの潜在意識が感知したということなのです。
マユリの著書 「速習、ペンジュラム!ダウジングで直感を開く」 でも、潜在意識とサイキック能力について書かせていただいています。巻末をご覧くださいね。
ポニョの母(グランマンマーレ)と父(フジモト)の関係
さて、「ポニョのお母さんグランマンマーレと、お父さんフジモトの関係」について、ちょっとお話させていただきますね。
ポニョのお母さんとお父さんの関係は「シュメール神話のイナンナ(イシュタル)の聖婚」を表しています。
「え?なんですのそれ?!」
シュメールの女神イナンナ は、またの名を イシュタル といいます。 FATE/Grand Order(フェイト・グランドオーダー)にでてくるので、ご存知の方もいることでしょう。
メソポタミアも広いので、時代や地域によって呼称が違ってきますが、ここではイナンナで統一させていただきますね。
女神イナンナはシュメールの都市国家で広く祀られてた神様です。 ギルガメッシュ叙事詩 で有名な 古代都市ウルク では、シュメールの大神アヌと並んで、女神イナンナの神域がありました。
さて、古代のメソポタミアには「イナンナの聖婚」といわれる風習がありました。 イナンナを守護神とした都市国家の王は、王国を守護してもらうためには女神と結婚しなければならなかったのです。
「生身の人間の男と、みえない存在の女神がどうやって結婚するのですか?」
ポイントはそこです。女神はこの世の存在ではありませんから、女神と結婚するためには、女神の世界に行かなければなりません。女神の世界とはつまり冥界です。
生きている人間がそこに行くためには、死ななければなりません。つまり、生贄です。
イナンナ(イシュタル)の冥界下り
シュメール神話には 「イナンナの冥界下り」 という話があります。
女神イナンナは、姉エレシュキガルの統べる冥界に下っていくのですが、もどってこれなり、地上に戻る交換条件として身代わりを差し出すことが提案されます。こうして、イナンナの夫ドゥムジ(タンムーズ)が冥界に連れさられ、その代わりとして、イナンナが地上に復活するのです。
イナンナは 豊穣の女神 ですから、この神が帰ってこないことには王国の繁栄をありえません。地上は大変なことになってしまうのです。
要するに、地上で女神のご神威が続き、王国が女神のご加護を受け続けるためには、常に身代の夫を冥界に送り続けなければならなかったのです。平たく言うと、 定期的に、夫たる男の生贄を捧げなければならない のです。
古代宗教では、王は女神イナンナの夫という立ち位置ですが、王、自ら生贄になるわけにはいきません。(死んでしまいますから)そういうときは、生贄のお作法として、身代わりが選ばれます。
身代わりの王に選ばれた男は、1年間、王のように贅沢三昧をさせてもらい、最後に生贄として殺されるのです。
ポニョの父は、女神に捧げられた生贄だった
そうです!ポニョの父フジモトは、この 身代わりの生贄 なのです。女神の夫として海に捧げられ、そこで女神との間になした子がポニョなのです。 彼らの結婚は、いわゆる冥婚だったのです。
ーーーー中略ーーーー
ポニョ=人魚は、海の女神の神使
海の女神の神使は人魚です。 神使とは、神さまのお使いをする精霊のようなもので、日本でも稲荷神の神使・狐が有名です。
そう! ポニョは海の女神に、生贄の人間の生気が捧げられて発生した、女神の神使 なのです。
「人魚ってダゴンですか?」
ポニョのビジュアルは、どちらかというとギリシア神話のハルピュイア(英語のハーピー)からきているように思います。
船乗りを海に引きずり入れて殺してしまうギリシア神話のセイレンも、もとは上半身が人、下半身が鳥でした。今のような人魚のビジュアルになったのは、近代にはいってからです。
よくみてみれば、古代のイシュタル像も、足が鳥です。
ジブリ作品は、こうした神話的なモチーフが様々な重なりあって創造されているようです。
補陀落渡海とイナンナの聖婚
さて、このシュメールの「イナンナの聖婚」ですが、アニメの中だけの話だけではなく、実際に古代の日本にも伝わっていたようです。
それが 補陀落渡海 です。
補陀落渡海は古代の日本のあちこちでおこなわれていましたが、とくに有名なのが 和歌山県の熊野 のものです。
日本には、海の向こうに(南の海、または海の底)に補陀落観音の住まう浄土があり、そこを目指して男性が入水自殺する慣習が、中世まであったのです。まさに「イナンナの聖婚」そのものです。
「補陀落渡海記」 という井上靖の小説もあるので、お読みになられた方もいるかもしれません。
この補陀落渡海とシュメールとの関係の続きは、マユリのメルマガで書かせていただこうと思います。
現在、マユリのメルマガでは 「続々・神々の履歴書 伊勢神宮の真実」 で、伊勢と古代エジプトやユダヤとの関係 を書かせていただいてますが、7月からは新シリーズ「神々の履歴書 縄文の日本に伝わったシュメール文明」 を開始します。
日本の古代史を考えるとき、エジプト・ユダヤともう一つ避けては通れないのがシュメール文明の影響です。
シュメールは文明は、単なる遺跡・滅び去った文明ではなく、現代でも連綿と生き続けているのです。ご興味のある方は、メルマガにご登録くださいね。
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