こんにちは。和久田ミカです。
こちらの講座の募集が始まりました。
さて。
数年前に参加したセミナーで、DVやモラハラ加害者の方々とお話しする機会がありました。
特に印象に残ったのが、アルコール中毒を治療中で、奥さんに対してＤＶをやめられないＡさん（男性）。
ご本人に了承を取っていないので、少し設定を変え、脚色して シェアしますね。
Ａさんは、中年ですが、なかなかのイケメンです。
人当たりもよく、物腰も柔らかく、第一印象は「モテそう」という感じ。
彼は先日、３度目の離婚をしました。
新婚のときは 仲良く生活できるのですが、だんだんと不満がたまり、愛人を作り二重生活を始めてしまう、
というパターンだそうです。
浮気がばれても、平気でうそをついてきたと語るＡさん。
心の中には、小さい頃からたまったマグマのような感情がたまっているそうです。
「嫁が その導火線に火をつけるんだよね。
火をつけられたら、もう怒りが止まらなくなる。マグマが噴き出す。
導火線に火をつけたお前が悪い！！そう思って 暴れてきた。」
マグマの中には、小さい頃からためこんだ 両親への不満があります。
心理学を学び、マグマは 自分がためこんだもので、怒りの矛先は 嫁ではなく、実は両親だと気づいたそうです。
今は、アル中を直すために自助グループに入って、自分を変えようとしています。
彼は、地雷原に住んでいるのですね。
小さい頃に たくさん傷ついて、でも、その感情をそのままにして 大人になりました。
自分のせいではないか、と 自分を責めたり、親を恨んでみたりしましたが、なるべく 感情を感じないように 成長してきたようです。
それが かれの「地雷」です。
抑圧され 押し込められた感情は、地雷となって 無意識（潜在意識）の中に埋め込まれます。
いつか その存在に気づいてもらえるように、誰かが踏んでくれるのを待っているのです。
休憩時間に彼と話していて感じたのは、
「自分をいかに大切に思ってくれるか」
「自分を否定しないで受け入れてくれるか」
その２つが 大きな地雷になっているのではないか、ということ。
「俺を大切に思っているなら、こうするべきだ！」
「その言葉は、俺自身を否定している！」
そんなふうに思ったときに、地雷が爆発します。
「お前のせいだ！お前のせいで俺は傷ついた！」
そんな言葉とともに。
Aさんが、のどから手が出るほど欲しがっているのは、「居場所」であり「安心感」です。
本当は 両親から与えてもらいたかったもの。
そして、今。
家庭を持ち、やっと居場所ができた。安心感を得られた。
…ような気がしたけれど、
嫁が自分の期待通りに動かない。
想像した通りの安心感で、満たしてくれない。
結果、地雷が発動し、暴言と暴力がやめられなくなります。
Ａさんは、ワークの中で、父親への恨みと、母親への思いを 何度も話していました。
特に母親への執着は、とても強いものでした。
これは私の超個人的な感想ですが、ＤＶ加害者は マザコンの方が多いなあと感じます。
マザコンというのは、マザーコンプレックスのこと。
コンプレックス、というのは、よく「劣等感」という意味で使われるけれど、もう少しゆがんだ意味あいがあります。
単に 「お母さんの面影がある人を好きになる」、
というのではなくて、
「お母さんに愛されたい、受け止めてほしい」
という欲求と
「どうせ、愛してもらえない、受け止めてもらえない」
という矛盾した思いが混在している状態です。
そういった思いが妻に向けられたとき、同じように、
「妻に愛されたい、受け止めてもらいたい」
と切望し、べったりと甘えながらも、同時に
「どうせ愛されない。ほら、愛されてない。やっぱり受け止めてもらえない」
という失望を探します。
無意識の中で、自ら地雷原に足を踏み入れていくのです。
Ａさんは、今 変わろうとしています。
地雷を埋めたのも、爆発させているのも「自分だ」と気づいたからです。
それを認めるのは、とても勇気がいることだった、とおっしゃっていました。
（彼の言葉を借りると「導火線に火をつけているのは、自分自身」。）
自分の中の地雷を撤去するために、必死で 自分と向き合っていました。
次の結婚は、幸せなものとなりますように。
心の中で、祈りました。
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