文を書くのが苦手なタイプの子は、大変でしょう。
でもね、本当は 感想文は 技術じゃないんです。
心を打つかどうか。
昨年度の「青少年読書感想文全国コンクール」の 低学年の部の 受賞作品を転載します。
「おこだでませんように」を読んで 2年 大平 拓真
「おこだでま※せんように」
学校で先生が読んでくれたとき、たくまとおんなじやと、思った。
ぼくもいつもみんなにおこられる。石をけとばしながら学校から帰る。
妹がないたら、いつもぼくのほうがじゅんや兄ちゃんにおこられる。
お母さんにもお父さんにも、ぼくはおこられる。
「だってなあ。」
とせつめいしたら、もっとおこられる。おこられたら、ものすごくかなしい。
なんでたくまの言うこと聞いてくれんのやろと、かってになみだが出てくるときもある。
だから、さい後にたなばたさまがねがいをかなえてくれて、先生もお母さんもやさしくなったとき、やったあ、と、ぼくもいっしょにうれしかった。
知らないあいだに、本に出てくる「ぼく」の気もちになっていた。
この本がすきになったから、かってもらって、お母さんに音読してあげた。
本に出てくる「ぼく」の気もちになって、一生けんめい読んであげた。そしたら、
「たくま、なんでママに読んでくれたん。」
と、お母さんがないたから、びっくりした。上手に読めたなあと、ほめてくれると思ったのに。
それから、
「ママもたくまのことおこってばっかりやったなあ。ごめんな。」
と言って、だっこしてくれた。
本とおんなじやなあと思っていたら、妹がやってきて、いっしょにだっこしてもらった。
ますます本とおんなじやあと、思わずわらってしまった。本とおんなじ しわあせな気もちだった。
おこられんってうれしいなあ。やさしいお母さんっていいなあ。
たなばたさまのおれいでなくても、ぼくも「もっともっとええ子」になろう。
ないてやさしいお母さんより、わらってやさしいお母さんはもっとええもん。
「たなばたさま、ぼくはおこられんような、いい子になれるようにがんばります。」
ぼくはひらがな、ちゃんとかけるよ。
※「ま」は作文原文では鏡文字になっています。
私、この文を読んだら 涙が止まらなくなってしまって、泣いてしまいました。
そうだよね、怒られないって うれしいよね。やさしいお母さんって いいよね。
なんて素直な言葉なんだろうと。
2年生の子の作文で、こんなに 幸せな気持ちになれるなんて 文の力はすごいなあ。
技術的なことを 強いて言えば、
・体験を伴った 感想であること
・心の動きがよくわかること
・3部構成になっていること
(よく起承転結といわれるけれど、私は3部構成でいいと思います)
・一文が短いため、読みやすく リズムがあること。
かなあ。
特に、体験。 本を読んで「~と思いました」だけでは ダメなんですね。
生活の何に影響を与えたのかが わからないと。
あ、でもですね。
賞をとろうと思わなければ、ただ 本を読む、感想文を書くことに 意義があると思います。
触覚系のお子さんをお持ちの方は、ぜひ 感想を聞き取って メモしてあげてくださいね。
多分、そうしないと 書けないです…

書いてあげちゃったら それは 余計なお世話だけど、感想文の書き方を 教えてあげるのも いい学びかもしれませんね。
おこだでませんように/くすのき しげのり

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