気功師にとっての文学 | 『TMダイエット〜T理論と気功で頑張らずに痩せる!?』

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文学に親しむということは人間として大事なことです

おそらく学校や大学で教師から教え聞かされたでしょうし、僕自身も気功を身に付けたいという相談をされたときは、文学の名作を読むことを薦めることもあります

僕もそんなに多くの文学作品を読んでいませんが、それでも何人か好きな作家はいます

グレートギャッビーを書いたフィツジェラルドの作品はほぼ全て読んでいますし、三島由紀夫の小説や評論には一時心酔しましたし、谷崎潤一郎(僕の名前の由来でもある)や川端康成の美に対する執着に僕もうっとりとしたこともあります

ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」やプルーストの「失われた時を求めて」は何度挑戦しても途中で断念してしまうのですがw、それでもそれらを読むことの重要性は理解しているつもりです

気功という身体的なワークと、文学は一見繋がりがあるように見えません

しかし実際問題として、文学を読んできたか否かは気功師としての実存のあり方に大きな影響を与えます

なぜでしょう?

それは文学もまた気功と同じくテクニックとしてはRゆらぎだからです

Rゆらぎの定義は「モーダルチャネルを変えて提示すること」です

モーダルチャネルとは五感+言語であり、それを切り替えて提示していくことで相手や自分を書き換えていくテクニックがRゆらぎでした

それは文学も同じです

作家が五感で感じたこと想像したことを言語という別のチャネルに置き換えて一つの物語を創造し、それを読ませた相手の内部表現を書き換えていく営みが、気功師から見た文学です

よく気功で相手を書き換えられるようになるにはどうすればいいですか?という質問をいただきます

その場合はまずは自分が徹底的に書き換えられることですと回答します

そしてご承知の通り、書き換えられるのは気功を通じてだけのみに限りません

文学の世界に入り込み、端正な文章に酔いしれることも内部表現を書き換えられたことになります

僕が好きな文学作品に、川端康成の「みずうみ」というものがあります

内容はシンプルに言ってしまうと、ストーカー小説ですw

美しい足の女を見るとついあとをつけてしまう醜い足をもつ男が主人公です

アメリカでも日本でもまだストーカーという概念がない時代にこれを描いた川端康成はさすがノーベル文学賞受賞者というしかありませんが、この「みずうみ」はあまり評判が良くありません

川端の事実上の弟子の三島由紀夫も石原慎太郎との対談で酷評しています

ただ僕はいい作品だと思いますし、気功師として日々ゴール設定について考えている身としては、かなり参考になる部分があるので紹介したいと思います

場面は主人公が湯女に醜い足の爪を切ってもらうところです

(引用開始)

「君はいつでもここにいるからいいね。」と銀平は言い出した。もはやあきらめて足指は湯女にまかせていた。
「君を見たいときはここへ来ればいいのわけだ。君にマッサアジしてもらいたかったら、番号を名指しすればいいんだろう。」
「はい。」
「ゆきずりの人じゃない。どこのだれとも知れぬ人じゃない。ゆきずりの時に後をつけなければ、二度と会えぬ世界に見うしなってしまう人じゃない。妙なことを言うようだが・・・・・・。」
あきらめてまかせてしまうと、むしろ足のみにくいことが温い幸福の涙を誘うようだった。片手でささえて爪を切っていくれている今のこの女にほど、銀平はみにくい足をさらしたためしはなかった。
「妙なことを言うようだが、ほんとうだよ。君はおぼえがないかね。ゆきずりの人にゆきずりに別れてしまって、ああ惜しいという・・・・・・。僕にはよくある。なんて好ましい人だろう、なんてきれいな女だろう、こんなに心ひかれる人はこの世に二人といないだろう、そういう人に道ですれちがったり、劇場で近くの席に坐り合わせたり、音楽会の会場を出る階段をならんでおりたり、そのまま別れるともう一生に二度と見かけることも出来ないんだ。かと言って、知らない人を呼びとめることも話しかけることも出来ない。人生ってこんなものか。そういう時、僕は死ぬほどかなしくなって、ぼうっと気が遠くなってしまうんだ。この世の果てまで後をつけてゆきたいが、そうも出来ない。この世の果てまで後をつけるというと、その人を殺してしまうしかないんだからね。」


(引用終了)

僕は寡聞にしてここまで意識の陶酔(変性意識状態)を明晰に表現した文章を知りません

気功師としては我々が日々自らに課しているゴール設定とそのゴールに対するプライミングのように見えます

おそらくわかる人、すなわち日々夢に吸い寄せられるように生きている人にはわかる話だと思います

文学に限らず、あらゆる芸術の素晴らしいところは、作者の経験や創造を読者が追体験できることでしょう

それが気功においては偉大な先人の気の力を借りるということですし、あらゆる分野でひとかどの達人になるためのたった一つの方法でしょう

アドバイスとしては、世界の名作や古典文学は手当たり次第買い求めて、本棚に置いておきましょう

全部を読むのが理想ですが、そうでなくてもどれかひとつ自分の心に突き刺さる作品があるはずです

人生の一冊を追い求めるのもまたゴールにして見ましょう

そんなゴールが自らを気功師として卓越させ、生きていくことのみのりをもたらすと僕は信じています


【参考書籍】

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