知れば知るほど知りたくなる
ゆえに本を読む(タイトルの続き)何のことかと言うと、アインシュタイン博士です。何度目だこの話題と言う気もするけど、『アインシュタイン1904』を読んで以来、本物のアルベルト・アインシュタインにも興味が出てきました。もちろん漫画のキャラクターと実在の人物は別モノですが、オタクとは一度好きになるとトコトンのめり込んでしまうものなのです。伝記を何冊か読んでみて、彼の生き方にとても好感を持ちました。生まれ故郷のドイツを捨ててイタリア、スイス、アメリカへと渡っていった放浪者的な気質や、物理学者でありながら平和主義者でもあった、それでいて完全な無抵抗主義者ではなかったところ、原爆開発に関わってしまった経緯と後悔、好奇心や想像力を美徳とする姿勢。そういうところに惹かれますし、女性関係など欠点も含めて興味が尽きない人です。関連本を探したら思った以上にたくさんあってびっくりしました。アインシュタイン個人の研究書や相対性理論の解説書だけでなく、物理学や科学史、世界大戦史、変人を紹介する本とか、偉い人の名言集とかにも高確率で登場。児童書も合わせるととても全部は追い切れない。あらやだ、今まで文系一辺倒の人生を送って来たせいか、アインシュタインと言えば「なんかスゴイ理論を発見したアッカンベーおじいさん」くらいにしか思ってなかった自分が恥ずかしいヤダー。……そういうわけで、読んでみて印象深かったアインシュタイン本の感想など。3分でわかるアインシュタイン/エクスナレッジ¥2,376Amazon.co.jp3分て!と半信半疑で読み始めたら、「1見開き(1項目)につき3分」だと。なんとなくタイトル詐欺のような気もしましたが、内容は充実しており写真も多め、アインシュタインの人生・研究内容・功績等が総合的に書いてある、私のような門外漢にとって非常にためになるハンドブックでした。著者の主観が少なく、最近の研究で明らかになった新事実や、アインシュタインがモチーフになった映画やドラマが紹介されているのが良かったな。アインシュタイン (講談社 火の鳥伝記文庫)/講談社¥670Amazon.co.jp児童向けの伝記。子ども向けの伝記読むの好きなんです。情報量は一般書に比べて少ないし、話を美化してる部分もあるんですが、基本的に読者に夢や希望や憧れを感じさせるスタンスなので、被伝者に対するまなざしに愛があるんですよ。火の鳥伝記文庫は出版年がやや古めながら、有名なエピソードはきちんと拾ってあり、巻末に関連人物の紹介も載っているので勉強になります。何より、光や時間に関する理論が図入りで噛み砕いて説明してあるのが有難い。正直どの解説本よりもわかりやすかったです(笑)アインシュタインの夢 (ハヤカワepi文庫)/早川書房¥626Amazon.co.jpフィクションの本を探していたら、真っ先に見つかったのがコレ。と言ってもアインシュタインが登場するのはプロローグ、インタールード、エピローグだけで、彼が物語を動かすわけではありません。様々な異世界の光景を、1905年当時のアインシュタインが見た「夢」という形で表現したSF短編集です。この書き方ズルいなあ!もし「時間」が◯◯だったら?という可能性を提示したショートショートなんですが、ただ短編を並べるんじゃなく、間にアインシュタインの枠物語を入れることで物語に統一感が生まれるし、魅力がグッと増してる気がする。アラビアンナイトのシェヘラザードと同じ効果かもしれない。文章は詩的で美しいし、奇妙な世界には大いにイマジネーションを刺激されます。淡々と示される世界に時間の既成概念が歪んでクラクラする。そしてどの世界もどこか哀しい。後書きの引用文にあるように、マグリットの絵画を見ている感覚に近いです。アインシュタインをトランクに乗せて/ソニーマガジンズ¥1,728Amazon.co.jp僕(著者)と、アインシュタインの死体を解剖し脳を持ち出したトマス・ハーヴェイ博士が、孫娘に脳を返すべくアメリカ横断ドライブする話。フィクションかと思ったらノンフィクションだった。ストーリーの起伏はあまりなく、アインシュタインのエピソードを交えたロードノベルとして楽しめます。「僕」のアインシュタイン評が、好意的でありながらベタ褒めでないのがいい。天才物理学者の内面を読者に想像させ、一人の人間として寄り添おうとしているように思えました。孤独。老いること。時の流れと永遠への憧れ。「僕」がそういったものに想いを馳せるためか、物語全体に哀愁が漂っています。アインシュタインの人生を振り返りながら、ちゃんと「僕」とハーヴェイ博士の物語でもある。ふわふわと頼りなさげだった主人公が、存在の確かさと永遠を見出す旅の終わりには静かな感動が得られます。ややマニアックなウンチクやハーヴェイ博士の偏屈ぶりも面白い。アルバートおじさんの時間と空間の旅―アルバートおじさん〈1〉 (くもんの海外児童文学)/くもん出版¥1,258Amazon.co.jpアインシュタインをキャラクターとして登場させた児童書です。「アルバートおじさんの時間と空間の旅」「アルバートおじさんと恐怖のブラックホール」「アルバートおじさんのミクロの国の冒険」の三部作。アインシュタイン博士が科学について教えてくれるよ!系の本は何冊かありますが、これは小さな子でも物語として楽しめるように書かれたファンタジー小説。アルバートおじさん(アインシュタイン)の姪であるゲダンケンという女の子が不思議な冒険をする中で、読者が相対性理論について理解出来るような筋書きになっています。勝気なゲダンケンとアルバートおじさんのやり取りが微笑ましいし、しゃべる宇宙船に乗りこんで光の速さを確かめる展開は面白い。科学的実験の難解さも緩和されて、普通に解説書を読むよりすんなり頭に入ってきます。でも、やっぱりちょっと難しい。読んでて頭がこんがらがる部分がいくつかありました。これはアレだ…私の脳ミソはとことん物理学には向いていないんだ……。宇宙船のディックがいいキャラしてる1、2巻も良いですが、物語として一番面白いのは3巻かな。『不思議の国のアリス』がモチーフになってます。ファンタジーながら、アルバートおじさんにはさりげなく本物のアインシュタイン像が反映されています。挿絵からもわかるセーター姿とか、ゲダンケンとセーリングを楽しむシーンとか。特に3巻終盤の、ソルベー会議での発言を基にした台詞にはグッときました。やはり「決してあきらめないこと」が彼のアイデンティティなのだろうか。奇人・変人・大天才 19世紀・20世紀: ダーウィン、メンデル、パスツール、キュリー、アインシ.../偕成社¥1,512Amazon.co.jp一見、奇人や変人といった括りで偉人を紹介する本に見えますが、紹介されている顔ぶれは皆科学者で、実質、科学史や科学者の系譜を解説する本になってます。「紀元前から19世紀(アリストテレス、ガリレオ、ニュートン、ファラデー)」と、「19世紀・20世紀(ダーウィン、メンデル、パスツール、キュリー、アインシュタイン)」の二部作。科学者の生涯がコミック風のライトな文章とイラストで描かれています。割とキツいブラックユーモアと、誇張やウソ(…ではないけど、まあ、ジョーク)が随所にあります。真面目に伝記として読むより、なんというか、茶化してる部分を「わかってて楽しむ」感じでしょうか。でも科学実験の内容とか主要なエピソードはちゃんと詳しく書かれています。ある科学者の発見が別の科学者にどういった影響を与え、繋がっていったのかがよくわかる。科学史面白い!って思いました。児童書ですが、各人物の素晴らしいところのみならず、欠点も包み隠さず書かれているのが特徴。幼い頃読んだ伝記によって形成された私のキュリー夫人イメージが…若干崩れた。アインシュタインの章で、彼の人となりを説明するのに「パスツールよりもずっといい人」と書かれていてちょっと笑いました。あと「もうドイツ人をやめたいといいだしたのです」にも笑った。人間やめるみたいに言うなや。アインシュタイン ひらめきの言葉/ディスカヴァー・トゥエンティワン¥1,512Amazon.co.jpいくつか出ているアインシュタイン名言集の中ではこれが一番好きだと思って買ったもの。アインシュタインが言った(とされる)言葉が、美しい星空や天体のカラー写真と共に収録されています。どの写真も神秘的で綺麗なので、写真集としても楽しめる本だと思います。そして書かれている言葉を見ると、なんとなくアインシュタインの思想や価値観がわかりそうな気がしてくる。