神無月読了。 | ヘッドレス主義日記 ~あたま、かるく~

ヘッドレス主義日記 ~あたま、かるく~

当方四弦。フレットあり、ヘッド無し。
場合によって、フレット無し。

毎度です。
 

一ケ月以上の御無沙汰です…
先月は割と調子よく更新出来てたけど、ナショのワンマン辺りから何かとバタバタしてたもんで…

ちょっと余裕出来てきたので、ここらで一気に更新したいと思います。
多分。


では、まずは読了記事から。 

先月は計8冊。

 

「これやこの」サンキュータツオ著
お笑い芸人でもある筆者が、亡くなられた方について描いた随筆集。
以前、論文について書かれたヤツも読んでるけど、やはり文章力ある人だな、という印象。
特に、全体の半分程度を占める表題作がいい。
落語家について描かれているんやけど、芸人ならではの視点で、更には近すぎず遠すぎずの距離感で描いているのが好印象。
全体的にも暖かな印象があって、いいエッセイ集だと思う。


「銀座『四宝堂』文具店 Ⅱ」上田健次著
銀座の裏路地にある文具店を舞台にした連作短篇集。
前作が良かったので手に取ったが…やはり良かった。
登場人物もストーリーも、全体的に毒っ気の無い無難な印象ではあるけど、ね。
特に「名刺」に関するストーリーが良かったかな。文具店がちょっと脇役になってるけど(苦笑)
次作も楽しみにしてます。


「日本医家伝」吉村昭著
吉村昭による、江戸から明治初期にかけての医家について描かれた短編集。
既に読んでいるけど、新装版が出たので当然の様に購入(苦笑)
医家について書かれているが、その功績を描くのではなく、その数奇な運命を描いている印象。
その描き方や、一般的には無名であろう医家をセレクトしている辺りが、やはり好みの作家だなと実感。


「古本食堂」原田ひ香著
急死した兄が経営してた古本屋を引き継いだ妹と、その姪っ子を中心とした連作短篇集。
最近よくある「食堂を舞台とした人情噺」みたいなタイプ…まぁ、好みではある。
古本屋が舞台とあって『本』がメインテーマ。で、個人的には、『食堂』部分に関してはちょっと蛇足かなと思う。
が、これがいいアクセントになってる…気もする。
全体的に暖かい雰囲気があって読後感もいいですね。次回作あればまた読みます。多分。


「いつも二人で」浜口倫太郎著
お笑い芸人を描いた物語。
賞レース優勝を目指す二組のコンビと、芸人の座付き作家を目指す大学生の三つの視点で物語が進むんやけど…途中でちょっとした仕掛けが隠されていて、それが良かった。
正直、ちょっと先が読めちゃうなぁと思いながら読んでたけど、その仕掛け故に最後には引き込まれていた。
そして、やはり「芸人」は、基本的に、真面目で熱い人達だなぁと思わされた。


「ボクハ・ココニ・イマス」梶尾真治著
傷害事件を起こした主人公が、刑期が短くなるといわれ試行段階の「消失刑」選択する、というストーリー。
周りから一切認識されなくなる、という設定がしっかりしてる故に、読んでてちょっと苦しかった(苦笑)
ハートウォームな部分もあるのはあるが、全体的には救いの無い印象…
で、結末も、個人的にはちょっと微妙だったな。他の作品はどうなんだろ…?


「神去なあなあ日常」三浦しおん著
林業にまったく興味ない青年が無理矢理放り込まれて…という物語。
あまり馴染みのない林業という分野を垣間見れて面白かった。
登場人物も魅力的だし、ちょっとしたファンタジー要素?もいいアクセントでした。
無難に纏められてる気がしないでもないが、これは素直に浸るべきだろうな、とも思ったり。
機会あれば次作も。


「ヒロシマ・ノート」大江健三郎著
大江健三郎による8月6日に関する作品かと思ったら、1963年に開催された「原水爆禁止世界大会」を追いかけたドキュメンタリだった。
結果、戦後20近く経った時期のドキュメンタリの側面もあり、これはこれで興味深い。
ただ、ちょっと『大江健三郎の作品』という面が強すぎる気もする…仕方ないやろけど。
ヒロシマやナガサキを今後どうするか?といった問題は、3.11.を思い出したりもしたなぁ。






先月の新入荷。