健康診断の結果を見て、「これはまずいな」と青ざめたことがある人は多いと思う。
そして、心に誓う。
「よし、ダイエットしよう。甘いものは控えよう。」
ところが数日後、いや、数時間後かもしれない。
職場で不意に出されたケーキに、なぜか手が伸びてしまう。
そして、こう言い訳する。
「まあ、今日だけはいいか、ダイエットは明日からにしよう」
この一連の流れ、思い当たる節がある人は少なくないはずだ。
人は理論的でありたい。でも理論通りには動かない
私たちは、自分のことを「合理的な人間」だと思っている。
- 危険なことは避ける
- 得なことを選ぶ
- ちゃんと考えて行動している
少なくとも、そう“ありたい”と思っている。
けれど実際には、分かっていてもやらない。
分かっていてもやってしまう。
こうした行動は、決して特別なものではない。
むしろ、人間の日常そのものだ。
個人情報漏洩は怖い。でもECは使う
最近、「個人情報」に対する不安は確実に高まっている。
- 特殊詐欺のニュース
- 情報漏洩の報道
- なりすまし被害
特に高齢者を狙った詐欺は社会問題になっている。
そう考えると、「インターネットで個人情報を入力する行為」はかなりリスクの高い行動のはずだ。
その理屈で考えれば、
- ECの利用は減る
- Webサービスの登録は控えられる
そうなってもおかしくない。
しかし、現実はどうだろうか。
EC市場は伸び続け、ネットサービスの利用者は減るどころか増えている。
なぜか?
理由はいくつも挙げられる。
- 家まで届けてくれる
- 店より安い
- 品揃えが多い
- ポイントが貯まる
どれも正しい。
だが本質はもっとシンプルだ。
目先の「ちょっとした得」や「便利さ」が、将来のリスクを上書きしてしまう。
人は、危険だと分かっていても、“今もらえる何か”があると、行動してしまうのだ。
これを「あめちゃん理論」と呼んでみた。
子どもの頃、「これやったらあめちゃんあげるよ」と言われると、つい動いてしまった記憶はないだろうか。
実は、大人になっても本質はあまり変わっていない。
- 理解している
- 知っている
- 危険だと思っている
それでも、
- 今すぐ得をしたい
- 面倒を避けたい
- 少しくらいなら大丈夫だろう
そんな気持ちが勝ってしまう。
人は「納得したから」動くのではない。
あめちゃんがあるから動く。
問題は意志の弱さではない
ここで大切なのは、「人は意志が弱い」という話ではないということだ。
これは欠点でも失敗でもない。
人間の意思決定の仕組みそのものなのだ。
だからこそ、
- 詐欺はなくならない
- 不安があってもECは使われる
- 個人情報への警戒と行動は一致しない
この前提を理解しないと「なぜ分かっているのにやるのか?」という問いに答えられない。
人を責めるのではなく、仕組みを見る
大切なのは、
- 人を責めることでも
- モラルを叫ぶことでもない
人はどう行動してしまうのかを冷静に見つめることだと思う。
我々は今日も、どこかであめちゃんを舐めながら生きている。
それは決して恥ずかしいことではない。
ただ、人間らしいというだけの話だ。