1990年代後半から始まった “ITによるゲームチェンジ”。
新聞・雑誌を中心としていた広告ビジネスモデルは、インターネットの浸透とともに音を立てて崩れていった。
紙媒体の売れ行きが右肩下がりになる一方で、WEBは爆発的に成長し“旧来のモデルに固執した企業” と “変化を読んで動いた企業” の差はあっという間に開いていった。
この流れに乗れた企業は生き残り、新たな潮流を生み出し、乗り遅れた企業は静かに沈んでいった──。
そして今、我々は第二のゲームチェンジの真っ只中にいる。
いや、すでに始まっていると言って良い。
AIによるゲームチェンジは想像以上に速かった
2025年、WEB集客業界ではAIによる変化が一気に加速した。
驚くほどのスピードで最適化される検索結果、AIO(AI Optimization)への移行。
この波は既存ビジネスの売上を容赦なく削り、業界平均で20%前後の売上ダウンというインパクトをもたらした。
しかも、これは一過性の現象ではない。
「AI以前の状態に戻ることはない」という点が重要。
ゲーム盤そのものが書き換わってしまったのだ。
変化の時代にも“勝ち筋”をつくった企業はあった
思い返せば、雑誌不況の時代において意外な形で生き残った企業がある。
宝島社。
本来、出版物の価値はコンテンツそのものにある。
良質な記事をつくり、差別化し、読者を増やす──。
出版社としては王道の戦略。
しかし宝島社は “王道” を選ばなかった。
彼らが打ち出したのは、雑誌に“高付加価値のおまけ”を付けるというユニークな戦略。
ブランドとタイアップしたバッグ、ポーチ、小物。
読者の多くは「おまけ目当て」で雑誌を手に取った。
出版業界の中では「亜流」とも呼ばれた方法だったが、結果として宝島社は不況を鮮やかに乗り越えた。
変化を読み違えた企業もある
一方で「情報」を事業の核にしていながら、変化に乗り遅れた企業もあった。
代表例がリクルート。
本来、彼らほど早くWEBに軸足を移すべき企業はないはず。
しかし既存ビジネスへの執着が強く、本格的なネット転換が遅れその後の事業成長に大きな足枷を残してしまったのだ。
変化の波は “強者だからといって待ってくれるわけではない”
いま再び、変化に向き合うとき
現在、多くの企業が「AI時代をどう乗り切るか?」と試行錯誤している。
王道か亜流か──それは本質ではない。
大切なのは「変化に対応する意思」と「動くスピード」である。
変化の波は、規模に関係なく襲いかかる。
業界大手であっても例外ではない。
むしろ “大手だからこそ動きが遅れ、沈む可能性すらある” のがゲームチェンジ期の特徴なのだ。
トップの決断が未来を決める
先日、日本のトップが変わった。
彼女のリーダーシップは鮮烈だ。
判断力、組織運営力、スピード。
そのどれもが現代の変化対応に必要な資質である。
当然、批判も多い。
しかし、批判の中でも決断し、実行するのがトップの仕事。
これは国家だけでなく、我々のビジネスにも同じことが言える。
変化を恐れず、変化を掴みにいく
AIによるゲームチェンジは、これから“さらに深く”進む。
戻らないなら、進むしかない。
- 何を捨てるのか
- 何を残すのか
- どこにリソースを移すのか
- どの領域で“おまけ”のような非連続の発想をつくるのか
こうした問いを持ち、周囲の雑音に惑わされることなく自分たちの未来を選び取る。
今まさに、その姿勢が求められている。
ゲームチェンジの時期は、もうやってきている。
変化の波を恐れるのではなく、その波を乗りこなせるか。
それが、これからの企業の命運を決める。