出典 こんなによくなる!糖尿病
鈴木吉彦 著 朝日新聞出版から引用連載
こんなによくなる!糖尿病 驚きの「インクレチン」新薬効果
では、あらためて、本書での ”本命”である 「GLP-1」というインクレチンが、どのような 物質であるかを紹介していきます。
「GLP‐1」は、"Glucagon-Like Peptide-1"つまり 「グルカゴン様ペプチド‐1」を略したものです。「グルカゴン」と 「ペプチド」という言葉が新しく登場しました。
まず、グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島でつくられるホルモンです。序章でお話ししたように、ランゲルハンス島にはβ細胞があってインスリンが分泌されますが、対してグルカゴンはインスリンと真逆のような役割をします。
ランゲルハンス島のα細胞という細胞からグルカゴンは分泌されます。そして、血糖値が下がって糖が必要になったとき、肝臓の細胞に 「ブドウ糖をもっと 供給してください」と働きかけます。まるで逆の役割を持 ったグルカゴンが、インスリンと隣り合 わせで分泌されるのは驚きですが、おそらく緊密な連携をとっているのでしょう。
一方ペプチドは、ここでは、決まった順番で様々なアミノ酸がつながってできた分子のことをいいます。そういっても難しいので、「化合物」あるいは 「物質」と考えていただければ結構です。
また、「様」(Like)は 「同じような」の意味ですし、「1」は、つくりが似た物質と区別するた めの数字です。
以上をまとめると「GLP-1」は、「グルカゴンと同じような化合物、その1」とでもいった 意味になります。では、何がグルカゴンに似ているのでしょうか。まず、GLP−1は、インクレチンの一種なのですから、血糖値を下げるインスリンの分泌を促すことが挙げられます。
これは、 血糖値を上げる役割をするグルカゴンとはむしろ反対といえます。ここでの 「同じような」は、この物質をつくる遺伝子の配列に対してのもの。つまり、「グルカゴンと同じような遺伝子配列をし た化合物」という意味が込められています。
説明が少し長くなりましたが、「GLP‐1は 『グルカゴン様ペプチド-1』と名前が付いてい ても、役割はインスリンの分泌を促すものだ。つまリインクレチンだ」とだけ覚えていただければと思います。
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