HCB 1か月単位の変形労働時間制を導入していますが、固定残業代を支給している場合無効となるか? | 【公式ブログ】HCBほほえみオフィス

【公式ブログ】HCBほほえみオフィス

人の知恵や技術を結集して、新たな突破口を開くことを目指すのが、ヒューマン・チャレンジ・ブレイクスルーです。
選択制企業型確定拠出年金・中小企業の健康経営・人的資本・事業承継・労務DD・労務監査・PMI・人事評価など、人に関わる情報を発信。

1か月単位の変形労働時間制において固定残業代を支給している場合でも、そのシステム自体が無効となるわけではございません。しかし、重要な考慮事項がいくつかございます。

1か月単位の変形労働時間制は、対象期間を平均して1週間あたりの労働時間が法令(40時間または特例措置対象事業場では44時間)以下になるように設定する必要があります。こちらを確実に順守することが求められます。

固定残業代に関しては、その名目で支払われる残業代が、実際に労働した残業時間に対する適正な割増賃金を反映しているか、十分注意する必要がございます。法定労働時間を超えた労働に対して割増賃金を支払うことは労働基準法において義務付けられています。したがって、固定残業代が、実際の残業時間に対して不足している場合には、その差額を支払う必要があります。

さらに、1か月単位の変形労働時間制を運用している場合には、特に変形労働時間制の範囲内での労働時間の管理が重要です。もし、固定残業代の枠を超えて労働が発生した場合、追加の時間外労働に対する割増賃金が支払われるべきです。

以上、固定残業代を支給している場合でも、1か月単位の変形労働時間制自体が無効になるわけではないとご説明申し上げます。しかしながら、実際の労働時間と固定残業代の関係には注意が必要となります。恐れ入りますが、実務上では時間外労働が発生した際に適切な割増賃金を支払うことで法令遵守を確実にしていただきますようお願い申し上げます。以上、ご回答申し上げます。

 

■1ヶ月単位変形労働時間制における固定残業代の補足説明

1. 変形労働時間制の要件遵守

  • 1ヶ月単位の変形労働時間制は、1週間あたりの平均労働時間が法定労働時間以下になるように設定する必要があります。
    • 法定労働時間は、原則40時間/週ですが、特例措置対象事業場の場合は44時間/週となります。
    • 1ヶ月を通じて、繁忙期と閑散期をうまく調整し、法定労働時間を超えないようにすることが重要です。

2. 固定残業代の適正性検証

  • 固定残業代は、実際に労働した残業時間に対する適正な割増賃金を反映している必要があります。
    • 固定残業代が、実際の残業時間に対して不足している場合は、差額を支払う必要があります。
    • 例えば、固定残業代が1日1時間分として設定されている場合でも、実際には毎日2時間残業している場合は、1時間分の割増賃金を追加で支払う必要があります。

3. 変形労働時間制内労働時間の管理強化

  • 1ヶ月単位の変形労働時間制を運用している場合は、変形労働時間制の範囲内での労働時間の管理が特に重要です。
    • 勤怠管理システムなどを活用し、正確な労働時間を把握することが重要です。
    • 時間外労働が発生した場合は、原因を分析し、再発防止策を講じる必要があります。

4. 割増賃金の適切な支払い

  • 固定残業代の枠を超えて労働が発生した場合は、追加の時間外労働に対する割増賃金を支払う必要があります。
    • 割増率は、時間外労働時間によって以下の通り定められています。
      • 25%:法定時間外労働の場合
      • 50%:法定時間外労働時間が1ヶ月60時間を超えた場合
    • 深夜労働休日労働の場合は、割増率がさらに高くなります

5. 法令遵守の徹底

  • 固定残業代を支給している場合でも、1ヶ月単位の変形労働時間制自体は法令に基づいて導入・運用する必要があります。
    • 労働基準法関連省令などを遵守し、適切な労務管理を行うことが重要です。
    • 不明な点がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。

6. その他

  • 上記に加え、労使協定就業規則で定められている事項も遵守する必要があります。
  • 残業代の計算方法については、厚生労働省のホームページ等で確認することができます。

※ 注意事項

  • 本回答は一般的な情報提供のみを目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません