テレワーク中にケガをしたときは、通常の従業員と同じように労災保険を使うことができます。
労災保険を使うときは次の2つの要件を満たす必要があります。
①災害発生時、会社からの指揮命令を受けて業務を行っていた(業務遂行性)
②業務を行うことが原因となりケガや疾病が発生した(業務起因性)
テレワーク中にトイレに行き、仕事に戻るために椅子に座ろうとして転倒したときなどは①と②を満たすため、労災保険を使うことができます。
ただし、個人宛ての郵便を受け取る行為や洗濯・掃除中によるケガなど、私的行為が原因であるものは所定労働時間内であっても業務上の災害とはならず、労災保険を使うことはできません。
労働基準法 第75条の2(療養補償)
労働基準法施行規則 別表第1の2
■テレワーク中の労災保険についての補足
テレワーク中にケガをした場合、労災保険が適用されるかどうかは、状況によって異なります。
具体的な事例
以下のような場合は、労災保険が適用される可能性があります。
- オンライン会議中に椅子から転倒してケガをした
- 在宅勤務中に業務用パソコンを使用中に感電した
- 業務連絡のため外出中に交通事故にあった
- 長時間のデスクワークによる腰痛
一方、以下のような場合は、労災保険が適用されない可能性があります。
- 休憩中に転倒してケガをした
- 私用パソコンを使用中に発生したケガ
- 業務との関連性が認められない疾病
判断が難しい場合
上記のような、判断が難しい場合は、お近くの労働基準監督署に相談することをおすすめします。
労災申請の手順
- 労災保険指定病院を受診し、診断を受ける。
- 会社に労災申請の意思を伝え、必要な書類をもらう。
- 受診した病院に労災申請書類を提出する。
- 病院から労働基準監督署に書類が送付される。
- 労働基準監督署による審査が行われる。
- 審査結果に基づき、労災保険給付の可否が決定される。
参考情報
その他
- 労災認定には時間がかかる場合があるため、早めに申請することが重要です。
- 労災申請に関する書類や手続きについては、会社の人事労務担当者に相談することができます。
- 労災に関する法律や制度は複雑な場合がありますので、必要に応じて弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
テレワーク中の労災保険制度は、近年整備が進められています。しかし、従来のオフィスワークと比べて判断が難しいケースも多いため、上記の情報に加えて、お困りの場合は積極的に相談窓口を活用することをおすすめします。