Tokyo Conference 2017 Day4 | HCAP東京大学運営委員会(HCAP Tokyo)

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こんにちは。HCAP東京大学運営委員会11期の和田美紅です。この記事では、東京カンファレンス4日目の模様を、本日の目玉企画である「『千と千尋の神隠し』に見る日本の精神文化」を中心にお伝えします。
 
この企画には、2つの目的がありました。
1つ目は、『千と千尋の神隠し』の奥深さを伝えること。日本アニメの代表作である『千と千尋の神隠し』について、その細かい描写や独特な世界観を解説することで、作品、ひいては日本のアニメの魅力を堪能してもらいたいと考えました。
2つ目は、日本人の宗教観や伝統を理解してもらうこと。HCAPのメンバーには、海外で生活した際、日本の「無宗教」的価値観をうまく理解してもらえないという経験のある者がおります。彼らの体験談から、ハーバード生と深い相互理解の上での良好な関係構築をするために、日本人の精神文化をしっかりと伝える場を作らねばならないと感じたことが、この企画のもう一つのきっかけとなっています。
 
このように、メンバー一同強い思いを抱いてはじめた企画ですが、「宗教」という重くデリケートなテーマを扱い、かつ真面目でありながらハーバード生に面白いと思ってもらえるような内容を考えるのは難しいことでした。「この企画によって、日本人とは相容れないと思われてしまったらどうしよう」。そんな不安を抱えながら、日本人の宗教観に関する本を読んだり、ジブリ映画に関する本を多く執筆されている宗教学の教授・正木晃先生に事前講義をしていただいたり、宗教教育の専門家・藤原聖子先生にお話を伺ったり、各メンバーが自身の精神文化に関してのアンケートに答えて共有しあったり、寺社見学に伺って、宮司や神主の方にご案内いただいたり。様々なアプローチを通じて、「日本の精神文化」とは何か、どう伝えるかをじっくりと考えました。
 
こうして迎えた、3月15日当日。企画の前は、ご後援下さっている米国大使館からご用意いただいた、アメリカンセンターJAPANの会場のフリースペースで朝ごはんをいただきました。
大使館の方からWelcome Remarkをいただいた後は、「『千と千尋の神隠し』から考える日本の宗教と伝統」と題して、メンバーの髙佐綾菜さんが45分程度講義を行いました。正木晃先生のご著書や講義で伺った内容をもとに、場面の細かい見どころを伝えるとともに、日本独特の概念や考え方などを紹介出来ました。その後の15分程度の、『千と千尋の神隠し』についての意見交換では、神や精霊などのイメージの違いが浮き彫りになり興味深かったとともに、「ハクは千尋が帰った後どうなるんだろう」「八百万の神の話があったけど、絶対的な神様は信じていないの」といった質問に対して、答えに詰まってしまう場面もあり、考えさせられました。
昼食を挟んだ後は、神社本庁の方をお招きして、神道を中心に日本人の宗教観に関する講義をしていただきました。ユーモアのあり分かりやすいお話によって、午前の講義内容の理解がさらに深まったとともに、神社の見方が変わりました。
その後、HCAP東京大学運営委員会メンバー8人が、それぞれの精神文化についてハーバード生に話す、「HCAP Tokyoと日本の精神文化」のディスカッションを、日本人2人・ハーバード生2~3人の小グループに分かれて行いました。私は、幼小中高14年間キリスト教の学校に通っていた経験をもとに、自分が感じた「日本のキリスト教」の独自性について話しました。キリスト教のイメージの違いについて話し合うことになるだろうと思っていましたが、「キリスト教の学校なのに、洗礼を受けていない生徒がいるの?割合は?」「クリスマス休みやイースター休みはあった?」といった、母校に関する質問が相次いだのが意外でした。他のメンバーも、自分の話を聞いてハーバード生らが盛り上がってくれたことに感動し、ディスカッション後にアメリカンセンターJAPANを去る前には、「楽しかった、お疲れ様!」という言葉が飛び交っていました。
それから、飯田橋にある東京大神宮に伺いました。この神社は、伊勢神宮の遥拝殿として創設され、神前結婚式を創始したことや、恋愛成就のパワースポットとしても有名です。そんな神社で、絵馬など神社特有のものを紹介しながら、お手水や参拝など、神様に対し(worshipではなく)"show respect"する方法を学びました。その後で、境内内の披露宴会場であるマツヤサロンを見学。加賀の前田家の館を明治に移築した趣のある建物内をご案内いただいた後、境内を一望できる部屋でスイーツをいただきました。丁重なおもてなしに、一同驚くとともに、ありがたく感じました。東京大神宮を離れる前に、おみくじの結果に盛り上がったり、神社の写真を撮ったりするハーバード生とHCAP Tokyoメンバーを見て、楽しんでもらえてよかったと、満ち足りた思いでした。
その後、六本木に移動し、つるとんたんで夕食をいただきました。素敵な内装と、たまご、きつね、とろろ昆布など、様々な美味しいうどんを味わい、皆感動でした。
夕食後は、歩いて東京タワーに向かいました。映画などでしばしば登場する東京タワーを間近で見た後、展望台に上がって東京の夜景を一望し、喜んでもらうことが出来ました。
 
この1日を振り返ってみて、本当に多くの方のご協力があったからこそ、ハーバード生にとっても、私たちにとって幸せな日になったと、改めて感じております。ご協力いただいた全ての方に、この場をお借りして、心から感謝を述べさせていただきます。誠にありがとうございました。