こんばんは。HCAP6期山本紘子と申します。
この度は、先週参加させていただいたハーバードカンファレンスの三日目にあたる3/17の活動や印象について報告させていただきたいと思います。
3/17は、アカデミックな内容が盛り沢山な一日でした。まず、午前中には、小グループに分かれ、ハーバード・ビジネス・スクールで用いられるメソッドを模した“Case Study”を行いました。具体的には、子供一人につき一台のパソコンを与えることによる世界中の最も貧しい子供たちの教育水準向上を試みている非営利団体One Laptop Per Childについての論文を読んだ後、ディスカッションをし、カンファレンス中扱っていく事例の下ごしらえを行いました。
次に、各業界の著名人が「18分以内で人生一番のスピーチをする」というコンセプトを取るTEDトークスを模した形式で、四人の教授や社会人の方によるスピーチを拝聴しました。例えば、ノースウェスタン大学教授かつハーバード・ヒューマニタリアン・イニシアティブのJennifer Chan教授からは、人道的危機において、情報伝達・決定・迅速な反応というプロセスが必須であることを確認した上で、具体的事例を通して技術の革新に伴うコミュニケーション方法の変化について学びました。一例に、ハイチ地震の際には、ネット口コミ型地図作成によるオープンストリートマップやSMSメッセージによる被災情報の伝達など、アプローチの転換がおきていると伺いました。また、ハーバード大教授のJames Waldo教授からは主に内容の秘密性に関わる「プライバシー“privacy”」と人物の秘密性に関わる「無名性“anonymity”」の対峙等、インターネットにおけるプライバシーの概念についてのお話を伺いました。その後、4人の教授毎にデレゲートが数名付き、ディスカッションを行いました。
最後に、過去25年間、数々の予測を命中させてきた発明家・未来予想者Ray Kurzweilについてのドキュメンタリーを鑑賞しました。Kurzweilは、技術革新が比例的ではなく関数的に起きるため、技術革新は今後数十年以内に人間が追いつけるスピードを超えると予想しています。さらに、この結果、人間は自らをサイボーグとし、技術と合流するだろう、という革新的な説を訴えています。
数々のプログラムの中でも、特に興味深かったのは、“Case Study”で聞くことができた、各国学生の生の声です。例えば、ノートパソコンの無料配布に関して、主に学校等一般的インフラ建設との優先度等について意見交換をした際、将来ITスキルを求められない手工業などに従事する人に果たしてノートパソコンを与えることが効率的か、と私たち疑問を提示したことに対し、インドのデレゲートは、「子供がパソコンを持つことで、農業等を営んでいるご両親も農業価格の情報を得られる等、実際に恩恵が広くに浸透した例がインドにある」ことを指摘していました。また、実際にOne Laptop Per Childに類似した非営利団体で活動したことがあるハーバード生も複数名おり、実話に基づいた比較検証が行えました。
今回のカンファレンスを通し、最も印象に残ったことの一つは、各国のデレゲートが、アカデミックプログラム内だけでなく通常の会話の中でも、社会問題(例えば、トルコ東西の政治的分裂や香港の一国二制度等)についての質問に真摯に答え、ディスカッションに応じてくれたことです。確かに、このような情報は書籍や記事を通して学ぶことができ、今迄も自分なりに、それらの情報源からできるだけ多くのことを学ぼうとしてきたつもりでした。しかしながら、帰国後、economist.comで例えばトルコの最新記事を見た際、以前と異なり躊躇わずクリックするようになり、また、それらの国々に対し、恣意的ながらも親近感が芽生え、それらの国の問題を自分と関わりを持つものとして捉えようとする姿勢が以前と比して内面化したことを実感しています。漠然とているものの、このような新鮮な気持ちを生かし、より多くの事情について学ぶべく邁進したいと意気込んでいます。
最後にはなりましたが、この場をお借りして今迄お世話になってきた皆さまに御礼を述べさせていただきたいと思います。有難うございました。
また、最後までお読みいただき、有難うございました。
寒い日々が続いておりますが、どうぞご自愛下さい。