2019年5月、PFOAが国連会議で製造・使用の禁止が決議されました。
大きな発端となったのはデュポン社(テフロン製造)の裁判でしょう。
20年ほど前からテフロン加工製品が増え、
工場排水によるPFOA汚染が続き、
工場周辺の住民のPFOA濃度は一般市民の20倍に。
中でも血中濃度が高い人は、
高コレステロール、妊娠性高血圧、甲状腺疾患、
精巣がん、腎臓がん、
潰瘍性大腸炎(難病指定)の発症率が上昇していました。
これにより2005年にデュポン社は、
PFOAに関する健康リスクへの報告義務違反として
EPA(米国環境保護局)へ約18億円という異例の額の罰金を払う事で民事和解しています。
フライパンの使用をやめても、他の撥水・撥油加工製品を使い続けていれば、
あまり解決にはならないという事です。
フライドポテトにも使われている。
PFOSは、2009年に既に「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」で製造・使用・輸出入が制限されています。
またPFOSはPOPRC(残留性有機汚染物質検討委員会:183の国と地域が締約)の附属書B(除外すべき化学物質リスト:製造・輸出入・使用の制限)に記載されましたが、
PFOAのように『禁止』ではなく『制限』です。
液体燃料消化のための泡消火剤やハキリアリの防虫は使用が認められています。
ですが、PFOSもPFOAと同様に制限ではなく禁止にすべきではないかとの意見もあります。
有機フッ素化合物の水・土壌・地下水汚染と気になる体内残存
有機フッ素化合物の一番の懸念は血液中に長く蓄積して残る事です。
PFOAやPFOSが使用され始め、
自然界で分解されない物質であること、また蓄積性があることから、
長期間に渡って汚染された飲料水を飲む事で健康被害を訴える人が増加し、世界的な問題となりました。
これは日本も例外ではなく、関東の河川や関西、沖縄でも汚染が報告されています。
2016年には京都大学のグループが大阪市の寺の井戸を調査し、アメリカの勧告値の21倍を検出しました。
それからたった3年で最大125倍へとあがり、地下水汚染も懸念されています。
この近辺にはPFOAを使用していた工場があり、禁止以降も汚染物質が残り拡大していると見られています。
同じく、全国80箇所にも及ぶ調査では全国の河川から数ng~10数ngの汚染が見つかりましたが、いずれも勧告値以下です。
しかし兵庫県の猪名川(456ng)や大阪市の淀川(140ng)などでは高濃度な数値が見られ、
さらなる周辺調査では淀川支流域にある下水処理場周辺で採取したものから67000-87000ngと、
世界的にも最高レベルの汚染が確認されています。
環境省の行う調査は1都道府県に対し1-3か所。
飲料水を管轄する厚生労働省では全国の浄水施設6400箇所に対し122箇所の調査です。
日本は
たった1/10にも満たない箇所の調査だけで、
私たちの飲む飲料水は安全であると言えるのでしょうか?
2019年10月には、世界中で
PFOSの代替物質も禁止勧告へ
北海道大学の調査では、母親のPFOS濃度が高いグループでは、
低いグループに比べて赤ちゃんの出生体重が軽かったり、
精子形成に関わるホルモン濃度が40%低い結果に。
海外調査においても、水道水のフッ化汚染は生まれてくる子供への知的発達障害になりうるとの研究報告もあります。
沖縄では米軍基地周辺でPFOA,PFOS共に高濃度の検出があり、
活性炭による吸着など対策を行う自治体もあります。
また、住民に対する調査を行ったところ、PFOA、PFOS共に日本人のほぼ2倍。
これはさほど問題がない一方でPFHxSが65倍という数字が明らかになりました。
PFHxSとは、10年前に制限付きで禁止になったPFOSの代替物質です。
PFHxSは、PFOSよりも河川の汚染度合いが酷いことや、
成人の場合には肝臓や甲状腺の異常、
前立腺がんに加え免疫や生殖機能に影響を及ぼし、
血中濃度の濃い子供では免疫機能障害や神経行動学に問題が見られるとも。
最新の国連の報告書では、
肝機能への悪影響や、コレステロールの値を上昇させるなどの健康への影響を指摘。
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