令和7年のマンション関係法改正により、マンションの新たな再生手法(建物・敷地の一括売却、一棟リノベーション、建物の取壊し等)、それらに対応した事業手続等が創設されたことを踏まえ、既存のマニュアル等の見直しが検討されています。検討状況の資料を参照し、気になった点をメモ書きしましています。今回は令和8年1月23日の第4回の検討内容についてです。
第4回(開催:令和8年1月23日)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr2_000064.html
(1)資料1:マンション再生実務マニュアル(更新編)(抜粋)
・初期検討の段階で建物更新を選択肢の1つとして検討している具体のマンションは、大幅に既存不適格状態である。更新工事の中身にもよるとは思うが、建築確認が必要となる、すなわち、減築せざるを得ないとなると、建物更新が最終的には選択肢にはなり得ないこととなるため、柔軟な判断・解釈をお願いしたい。
・建物更新については、建替えと異なり、解体はしないものの、スケルトン状態では既に区分所有権は一旦消えているという理解も可能であり、もしそのような理解を前提とする場合、既存の管理組合は消滅することになっているはずであり、従来の管理組合の規約がそのまま続くのか、改正するのは誰なのか、といった問題は確かに発生するのではないか。
・新しい再生手法である建物更新について、一部で大きな期待もある一方、保留床が生じず、資金的な課題もあると考えるが、住宅金融支援機構(以下「JHF」という。)の取組や民間再開発促進基金の債務保証制度の活用可能性にも言及があるため、ご説明をお願いしたい。
→民間再開発促進基金の債務保証制度の活用可能性については、調整中・確認中の内容を含むため、活用可能であれば、その詳細を載せてまいりたい。
(2)資料4-1:区分所有法の賃貸借終了請求等に伴う補償金の算定方法等に関する研究会
・実務的な観点からお話させていただくと、営業補償の課題が非常に大きく、この点は検討いただいているものと思うが、その他用対連基準では、通常公開されていない単価表の中で、地域の標準家賃が中古・新築含めた相場をもとに定められ、それと実際の家賃との差額について、生活再建という公共事業的観点から、差額の大きさに応じて3年間又は2年間の補償が必要であると承知している。
・例えば老朽化マンションにおいて、区分所有者も賃借人もお年寄りであって、かなり昔から安く賃貸されているケースでは、2年間の生活、その間のこうした差額を埋め合わせる必要性について、賃貸人である区分所有者には説明しづらい気がしている。
・ 土地収用等の公共事業で適用される基準が、差額が2倍以内で2年間とすると、公共事業との異同を踏まえると、少なくとも2年を超えることはあり得ず、より減じてしかるべきと率直には感じているところ、あくまで意見としては述べさせていただきたい。
・営業借家と居住用借家の議論は分けていただけないか、という点。実務上は、賃貸借の終了時期、すなわち退去時期を決めた上で、その3か月前、長くて6か月前から家賃を取らない、という形で処理していることが多い。
(3)資料4-2:マンション敷地売却事業における時価(抜粋)
・難しいのは、最有効使用をどう決めるかという点であり、これまでの建替え決議の場合においても、マンション建替組合が決めた建替え計画に基づいて評価額を算出するため、マンション建替円滑化法に基づいて限定されるという意味では、これは正常価格ではなく、限定価格ではないか、という議論があった。
このような議論も含めると、例えばマンション等売却組合が示した条件、あるいは買受人によりホテルにする、といった条件があり、当該条件に基づいて時価を算出するとなると、限定価格的な考え方となり、必ずしも最有効使用ではないことになり、少し議論になる気はしている。