令和7年のマンション関係法改正により、マンションの新たな再生手法(建物・敷地の一括売却、一棟リノベーション、建物の取壊し等)、それらに対応した事業手続等が創設されたことを踏まえ、既存のマニュアル等の見直しが検討されています。検討状況の資料を参照し、気になった点をメモ書きしましています。今回は令和7年12月12日の第3回の検討内容についてです。
第3回(開催:令和7年12月12日)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr2_000064.html
(1)資料2:マンション再生実務マニュアル(概要)
1)借家人への補償
・現行の「マンション敷地売却ガイドライン」の P72 には、借家人に対する補償金の負担については、賦課金を充てることが可能、との文言があることから、賃貸借終了請求に要する専門家費用、裁判費用等の諸費用に賦課金を充てることも検討できる、等の文言があると、実務上大変ありがたいと考えるため、ご検討いただけると幸い。
→賦課金については、組合員に共通の経費を皆で負担する、という性質があり、例えば一専有部分にだけ賃借人がいる場合、その賃貸借の終了請求に当たっての補償金を全組合員に負担してもらうのは、公平性の要件を満たす必要がある観点からも、なかなか難しいのではないか。
2)マンション更新における更新実施計画の策定
・改修済の専有部分の評価項目についても、個別性が高く、各住戸が改修済みであることをもってプラスしていくのは疑問。「自分の住戸はもっと費用を掛けた」などの色々な意見が出てしまい、合意形成が難しくなる気がしている。
3)マンション更新における更新前後の資産評価額の算出
・更新前マンションの評価自体が、実務的には市場価格としていくらで売却できるのか、という議論であり、これを土地と建物に分けて評価するのは実務にはあまり合っていない気がしている。
・マンションの更新を行うことにより、土地と建物のトータルの価額として市場価額を上回ることができるかどうかが合意形成上のポイントであると考えられるため、土地と建物を分けて評価するのは、実務上疑問が残る。
・マンションの更新を権利変換で実行可能であると規定している以上、必ず評価を出す必要があり、それをどのように鑑定評価するのか、という点が決まらない限り、実務が全く動かなくなるため、ご提案のあった実態調査等から開始するというのも一案であると考えられる。
(2)資料3:マンション等売却実務マニュアル(概要)
1)地下も含めた解体費用
・マンション取壊し敷地売却の売却決議において地下も含めた解体費用を記載するということであるが、事務的には、地上部だけ解体して、地下部は本体工事とあわせて処理することがある。マンション取壊し敷地売却事業では、地下部は本体工事として処理することが可能なのか、あるいは、地下部まで完全に解体して埋め戻してからでないと買受人に引き渡すことができないのか。
→マンション取壊し敷地売却の場合、売却組合の費用と責任で解体を行うこととなるが、例えば、ここまでは売却組合で持つが、これ以降は例えば買受人で持つ、のような解体費用の分担に対する合意があれば、当該合意を前提とした決議が可能ではないか。
2)非賛成者等への対応
・ここでの非賛成者というのは、①売却自体に賛成していない人、②売却には賛成しているが、買受人に納得できない人及び③売却・買受人のいずれにも賛成であるが、分配金額に納得できない人の3パターンがあると想定され、各パターンへの対応方法や考慮事項を記載する必要があると考えられる。
(3)資料4-1:区分所有法の賃貸借終了請求等に伴う補償金の算定方法等に関する研究会
・お願いベースとなるが、再開発事業とは異なり、補助金が多く出る事業とは異なることから、「公共用地の取得の場合との異同」との記載も踏まえ、可能な限り安価な補償基準が設定されるように検討いただけると幸い。
・法的には難しいことは重々承知しているが、例えば店舗借家の場合、所有権価格よりも利用権価格が上回るケースも想定されるところであり、色々なご意見を踏まえ、妥当な補償基準としていただけると大変ありがたい。